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三菱信託銀行員が横浜銀行から3億8,000万円の融資詐欺事件についての違和感

1事件概要

横浜銀行から不動産購入の名目で3億8000万円の融資金を詐取した疑いで、三菱UFJ信託銀行の行員を含む4人が逮捕されました。不動産コンサルティング会社の社長を含む4人で、2019年3月から5月にかけて、アパート購入のための融資申請時に、偽造した源泉徴収票や預金口座の残高証明を使用して、大手地方銀行である横浜銀行から融資を不正に受けた疑いが持たれています。警視庁は、このグループが同様の手口で横浜銀行以外にも複数の銀行から総額32億円以上を詐取していた可能性があると見て、余罪についても調査を進めています。

2.事件の問題点

・融資審査プロセスの脆弱性

一番の問題点は杜撰な審査体制にあります。
偽造された文書を使用して融資が承認されたことは、金融機関の融資審査プロセスに脆弱性があることを示しています。
特に、大規模な融資に関しては、より厳密な審査が必要ですが、この事件ではその審査プロセスが悪用されました。

・源泉徴収票の改竄

まず、融資審査においては通常、源泉徴収票や確定申告書に加えて、住民税関連の書類も確認することが一般的です。
源泉徴収票は容易に偽造可能ですが、役所発行の住民税関連書類は改竄が困難で、これらには所得額が記載されています。にもかかわらず、源泉徴収票のみで融資審査を進めたことは、横浜銀行の融資審査プロセスに疑問が残ります。更に、横浜銀行の融資担当者も何かしらの関与を疑われても仕方ありません。

・預金口座の残高証明書の改竄

預金残高についても、融資担当者の面前でネットバンキングにログインをし、残高を表示するように促されます。
ネットバンキングの画面を改竄したのか、残高証明書を改竄したのか定かではありませんが、横浜銀行側は、自己資金の額が融資条件に加えてあるのであれば、単純に確認不足だった若しくは融資担当者も関与していたと言わざるを得ません。

・事件に対する違和感

本件は3億8,000万円の融資詐欺とあります。
つまり、物件の金額は自己資金額を売買代金の10%と仮定すると、約4億2,300万円になります。改竄した自己資金額は4,300万円です。

収益不動産は住宅ローンと違い、賃料収入を加えて審査を行いますので、物件の情報がない状態で正確に計算は難しいですが、少なくとも1,500万円以上の年収が必要であると推察できます。

47歳の三菱信託銀行員で、年収1,500万円で更に4,300万円の自己資金がある方はどのくらい存在するでしょうか?
調べてみると、信託銀行の一部次長クラスで1,000万円〜1,600万円とあります。
更に4,000万円以上の自己資金はどのように資産を増やしたのでしょうか?
あり得ない話ではないとは言え、数億円の融資をする担当者であれば、少し違和感を抱き、本来慎重に進めるはずです。

結論

この事件は、横浜銀行からの不正融資を通じて、金融機関の審査プロセスの弱点と内部管理の不備を明らかにしました。
詐欺行為には金融知識を有する者が関与しており、複雑な手法でシステムの盲点を突いたことが問題の深刻さを際立たせています。

横浜銀行はあくまで被害者ではあるものの、何かしらの関与を疑われても仕方ないほどの杜撰な審査プロセスであると、違和感の拭えない事件だと感じました。
捜査がどのように進むのか随時確認していきます。

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