見出し画像

第52話 「松本市民オペラ」

12月、友人のお蕎麦屋さんご夫婦のお誘いで市民芸術館にオペラを観に行ってきました。

お誘いと言っても一緒に行こうという訳ではなく、今回の目的はステージに出演している彼らを観に行くこと。彼らはご夫婦揃って松本市民オペラ合唱団の団員なのです。

一般的な人にとって、数百人の人が見守るステージ上で何かをするというのはおそらく学生の頃の何かの発表会くらいではないでしょうか。僕自身振り返ると、覚えているのは小学校の合唱の発表とか社会人になったばかりの頃のバンドのコンテストくらいでしょうか。40代50代になってからの大きなステージへの出演というのはなかなか無いことだと思います。さぞかし緊張するだろうと思いますが、晴れの舞台で堂々と胸を張って演じた団員さん達は皆さんとても華やかで素敵な舞台でした。

しかしやはり全員の声がピッタリ合ってこその合唱団。全員が足並みをそろえての努力が必要でしょうし、仕事と両立しながらの日々の練習は大変なことも多いと思います。何ヶ月もの練習を続けてこその晴れの舞台。市民オペラの素晴らしさをしっかりと感じた日でした。

今回の「旅する歌・オペラへ」は、1800人収容の市民芸術館主ホールをほぼ埋め尽くす盛況ぶり。4名のプロのオペラ歌手をゲストに迎えてはいるものの、主演はあくまでも市民合唱団の皆さん。
今回はガラコンサートという事で今までの演奏会からの名場面集などの上演でしたが、どの演目もまとまりが素晴らしくその力強さに感動しました。蕎麦屋さんご夫婦もタキシードとドレスで決めて、見違えるような主役級の格好良さに見惚れてしまいました。

松本市は楽都と呼ばれる街ですから、セイジオザワフェスティバルのような大きなイベントやプロのコンサートも様々あります。でもこれからは市民レベルのコンサートや小さなライブ演奏会ももっと盛り上がって欲しいなと思っています。
僕らも時々ギターやウクレレの演奏会を企画するのですが実は正直に言うとなかなか観客が集まらないのです。東京ではすぐにチケットが売り切れてしまうアーティストのライブでも、松本ではなかなか席が埋まらない。本当にもったいない残念な事です。

実際のところ自宅から市街地の会場に足を運ぶのは交通手段や駐車場の事もあり大変な方も多いと思います。友達と誘い合うなどの都合をつけて今年はテレビでは感じられない生の芸術を楽しむ機会を増やしてはいかがでしょうか。

(松本市民タイムス リレーコラム 2020年1月6日掲載分)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?