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私が思う選択の基準

数十年「レンガタイル」を扱ってきて、誰も気にしてませんが、私にとって使用したくないタイルの基準があります。

一般的に、商業建築や大規模共同住宅など、個人の持ち物ではない建築に関しては仕方がないとは思ってます。

私が昔から、気付いてしまったことなのです。

大きく建築業界、タイル業界的なことではありません。「良いタイルをアドバイスしてください。」という、施主様や設計事務所様の案件に関しての時です。もちろん、私の専門の湿式レンガタイルに関してです。

設計事務所の方々は、カタログ記載の内容や材質の細かな選別に関してさほど関心が無いと思われます。皆、実物見本を見て検討するわけですから。

私が、注意をお伝えするのは、材質表記の「せっ器質 施釉、うす釉」に関してのことです。

上記の文字で表記した内容で、細かな製造法や分類が理解できる方々は、通常ほぼいないので、施工後壁面になった段階で大きな違いがわかります。

文章でご説明しても、なかなか難しいことですが、焼き物のベストな色合いにならないと言う事です。

昔から、ほとんどレンガもレンガタイルも素地原料の土を押出成形して、乾燥して焼くだけだったのですが、数十年前から、成形後の生地に釉薬を施して、色の変化をつけたり、ベースの色を変えずに釉薬色数を増やしたり、私自身にとって嫌いな結果の壁面となるものがあるのです。

商品管理上、都合の良いものかもしてません。無釉の強還元焼成・酸化のレンガタイルから比較して考えると、マニアの私にとって薦められるものではありません。

おおげさに言うと、日本の建築外装壁面において、タイルが魅力的なものに感じられなくなった理由の一つでもあるのです。「焼き物風」が焼き物と判断され、日常、なんとなく魅力を感じられなくなったしまった感があります。

特に遠方から眺めると、太陽の下での反射される色彩が、人の感性で美しいと言われる「」として目に写って来ません。私が、感じるやきもの「冴え」は、絶対に得られません。いかにも管理されているかの工業生産品の匂いが強いのです。

昨今、特に湿式レンガタイルの注文生産化が当たり前になり、常備品を在庫する方向性が年々激減し、現場ごとに求められる焼き物の期待度としては、なにか個性的なものが求められつつあります。

昔からある手法ではあるのですが、懐古調的な雰囲気や、ヨーロッパ風のハンドメイド的な表現が目新しく思われ、分類では施釉となるのですが、本来の釉薬というよりは、土の塗布する二重構造というものが設計事務所の好まれる傾向になってきているようです。

下記画像は、その事例で、本来の広く行き渡っている施釉品とは、違った表現の範囲になるのです。

見本. 1

ベースの焼成後のレンガに、焼き物用の釉薬の中にドブ付けして乾燥後、焼成

施工例. 2

見本1. の施工例 いわゆる白掛け(ジルコニット掛け)

施工例. 3

グレー土原料ボディに化粧土を塗布 二次加工

施工例. 4

ベージュ系土原料ボディに化粧土を手作業でまぶし上げる いわゆる二次加工

以上、こうしたご説明は、ほんのごく一部であって、焼き物の作業工程の様々な手法を理解して焼成しなければ、納得するような試作品にあがっても来ませんし、「ほんとうは、こうなんです。。。。。」と設計士に本音の部分でお伝えしたい事が、「つくりて」の私にとって山ほどあるわけなんです。

長年、自称マニアは、さんざん壁面を比較検討してきた中で、はじめから分かっていることはお伝えしたいですよね。

他社の常備品や施主・設計士の方々がすでに選んで決定しているものになかなか「実は、、、、。」とは言えませんから。

「私が思う選択の基準」と題して、綴りましたが 湿式のレンガタイルは、まだまだ、注意点がたくさん存在するのです。
また、思うところをピックアップして行きたいと思います。


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