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旅館とは①

ぼくは「旅館とは日本の文化」と考えている。
しかし、時として旅館という業界は金融機関にとって全くコントロール出来ない代物となる事が往々にある。

完全な装置産業であり、多額な金融債務、脆弱な収益体質等々。
ぼくのエリアのトップ地銀は決して手を出して来ない業種である。
しかし観光も地域の主力業種である以上、ぼくら信用金庫は守らないといけないのだ。

地域の旅館が集まる一帯は旅館オーナーたちが口を揃える。
[心筋梗塞地帯](信金拘束地帯)と(笑)


ぼくは10年前ぐらいにその地帯の支店の融資課長だった。
「別に拘束してねーし」とか言っちゃっていたが、めっちゃ苦労した。

ある日、支援協議会のコンサルがある旅館に着手した。ぼくは、そのコンサルと旅館を隈なく見学した。ちょうど厨房に入った時、板長さんがぼくを呼んだ。

「おーい、奥山くん。これ見てくれよ!」と。
丸々太ったマグロが出てきた!


「築地の知り合いがさ、俺のために送ってくれたんだよ。今日のお客様は喜ぶぜー!」と。

ぼくは「めっちゃ喜ぶんじゃないですか?生のマグロ!すごいなぁ。今日はマグロプランのツアーとか団体のお客様なんですか?」

板長「いや?とりあえず俺の顔で築地から来たから出してやろうと思ってんだ。喜ぶぞー!笑」

早速、コンサルのおじさんはビビっていた。
原価管理のコントロール、全くアウト!


そして、社長の知らないメニュー構成の変更。
【旅館には社長が2人いる】
まさしく、その通りだ。

そのあと、コンサルのおじさんが諏訪湖を眺めながら仰った。

「奥山さん、諏訪湖を目の前にしてマグロ食べたいですか?海なし県に旅行に来て築地のマグロ、食べたいですかね?当館のお客様は9割が県外です、ここより新鮮な海の幸、食べてますよねー笑」

ぼくは「御意かと」としかお答え出来なかった…。

つづく

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