メリーさんの〇〇 (朗読:絢河岸 苺様)

メリーさんの電話。
有名な話ですね。
でも、いまは固定電話がない家も増えてますし、あってもIP電話だとかで、昔と勝手が違ったり。
だから、メリーさんもいなくなるだろうって私は思っていました。
ところがこの間、小学校2年の娘が私に聞くんです。
「メリーさんって誰?」って。
私もいきなりなんだろうと思って、どういうこと?って聞いたらこんな話を聞かせてくれました。

これは娘がクラスメイトから聞かされた話です。

クラスメイトの従妹がある朝の登校すると自分の机の中にある四つ折りのメモ用紙を見つけました。
そこには「私メリーさん、いま、アナタの家に向かっているの」と書かれていたそうです。周りに聞いたけれど、誰もそんなイタズラをしていないと口を揃えました。
なので、困った女の子はその紙を担任に見せました。
担任の先生は手紙をみながら面白そうに「メリーさんの電話」の話を聞かせました。
児童たちもキャーキャー言いながらも楽しく聞いて、結局、手紙は誰かがイタズラで入れたものだろうってことになってその日は終ったんです。
ところが次の日も、また次の日も紙は机に入っていたそうで、そして、お気づきの通り、だんだんと少女に近づいてきました。
最寄りの駅に着き、大通りを抜け、そして学校の校門の前に立ちました。
その間、先生は一日の終わりに少女の机の中を確認し、次の朝も一番早く来て、児童たちを迎え入れ、そして誰も少女に机には近づかなかったはずなのに、少女が椅子に座って教科書を取り出そうとすると、メモが入っていました。
もちろん、先生は少女自身のイタズラも考えて、持ち物を全部確認していました。それにも関わらずです。
そしていよいよ、メリーさんが校舎にはいったところで少女は学校に来なくなってしまいました。学校には風邪と連絡が入っていましたが三日経っても風邪のままでした。
心配した担任が少女の家を訪れましたが部屋からは一歩も出てきません。
少女の母親がいうには自分では一切なにも開けなくなったとのことでした。
引き出しやクローゼット、そしてトイレや自分の部屋のドアでさえ。
「メリーさんが来る。私が学校にいなかったから、家に来るって!」
そうずっと呟いているのだそうです。
諦めた担任が帰ろうとした瞬間、少女の悲鳴が聞こえました。
慌てて担任と母親が少女の部屋のドアをこじあけると、少女が着ていたらしいパーカーがあるだけで、中には誰もいませんでした。
担任の先生は何かを感じたのか、パーカーのポケットに手を入れたそうです。
そのポケットには四つ折りの紙が入っていました。
しかし、紙には何も書かれていなかったそうです。

なぜ少女がメリーさんに取りつかれてしまったのか、それは娘も知らないとのことでした。
ただ、クラスメイトは何かを知っているようだったと言います。
そのクラスメイトは話の最後に娘に向かって「知らない方がいいよ」とだけ言ったそうです。

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