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創造と破壊(詞、短文、フィクション)

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主に詩や短文、フィクションなど書き連ねています
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2018年6月の記事一覧

コルコヴァド Getz/Gilberto

彼女と出会ったのは僕がまだ20代前半、世間で大人と認められて間もない頃。当時働いていたバーの客だった彼女はいつも女友達と二人で飲みにきていた。 僕と同年代に見える彼女達はしかし僕より遥かに精神的に自立をしているのが二人の会話から読んで取れた。同じ大学を出て、同じ化粧品販売の仕事に従事している自他ともに認める親友だった。 はじめから何かしら互いを意識するムードはあったものの、バーなんて商売そんなの日常茶飯事、とりたてて気にも留めなかった。 客とスタッフが頻繁に会話をする類いの

短文 #001 #002

#001 古代遺跡の中に入った。 綺麗な円を描く太さ20センチはある枠(リム)は鍛造で形成されたようなものでとても美しく、その当時どんな金属が存在し加工にどれだけの労力を要したのか想像を掻き立てられる。 テニスコート3つは飲み込めるその円を二つに分断するように一本のフェンスが設けられていて、枠と同じ高さのそれは人の身長の2~3倍はあるように見えた。 太陽と逆側の半円の端の一番てっぺんから、灘らかな曲線と直線を融合した面を持った透き通った液体が地面へと連なり、留まっている。 ま