購買交渉とアンカーイフェクト

今回は購買業務における交渉について、書きたいと思います。交渉と言っても一般的に認知されている値段交渉から契約の交渉やサービス/品質に関する交渉まで様々ですが、汎用性のあるテクニック/心構えのような事をシェアします。また、地方都市の中小企業では、和を好む風潮や取引先との長年の関わりなど関係性がより大事など様々な要因から強く交渉出来ない傾向があると思います。地元の名士や長年付き合いがある業者に強い要求をする事は、言う易しですがやるは難しです。

アンカーイフェクト(Anchor effect)という言葉を聞いた事があるでしょうか?認知バイアスとして日本ではマーケティング活動や営業で使われる事が多いようです。例えば、『通常1万円する商品を期間限定で30%割引で買える』とセールストークをかけられたら、どう思いますか?買うかどうかは別にしてお得だと感じるはずです。この例えは営業側の話ですがアンカイフェクトを使った交渉テクニックの一つです。そもそもアンカーイフェクトとは自分が交渉で達成したい数字があったとしたら、その数字よりもより先にアンカー(船のアンカー)を起き、その数字を起点に交渉を進める事です。購買業務で考えると、例えば年間3%のコスト削減を達成しようと思ったらサプライヤーへは何%のコスト削減要求をしなければいけないでしょうか?3%と要求してしまっては、サプライヤーからすれば日々の改善活動から得られた利益なので1円たりとも顧客に奪われなくないと考えますので、少なくとも3%よりも低い数値で回答をしてくるでしょう。だとしたら、絶対に3%よりも大きな数字を要求しなければいけません。きりの良い5%? 3%の倍の6%?若しくは思いきって10%? などなど

良い頃合は相手によりけりですが、10%を要求したら恐らく取引先の社長から怒られるでしょう。。。もしかしたら嫌われてしまうかも知れません。しかしバイヤーはその10%を自身を持って言わなければいけません。ケースバイケースですが、『長年の取引でInitial costは既に償却済みだから』、『契約時の市況に対して10%下がっているから』、『納入頻度は以前に対して5分の1だから』など。様々な角度から10%の正当性を説明し、10%を起点に交渉する事が目標達成の交渉相手も百戦錬磨なので、単純に行かないかも知れません。ただ言える事は購買の交渉では実際の可能な値下げ幅を愚直に提示するより、アンカーイフェクトを使った交渉をする事で目標を達成できる確率も上がると思います。

買い手のパワー、売手のパワー、会社の立場等々があり複雑ですが、実験してみると意外な結果を得られるかも知れません。

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