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年間計画の立案と実践 ①

こちらの記事では、試合で良いパフォーマンスを発揮するための準備について取り上げます。

筋力を高める、除脂肪体重を増やす、持久力を高める、といった教科書的なS&Cアプローチではなく、もっと別の切り口からスポーツのパフォーマンスを捉えていきます。

現場ではBigger Stronger Faster ! を目指すことに変わりは無いのですが、そこに至るプロセスのひとつとして興味を持って頂ければ幸いです。






1-1 良いパフォーマンスの定義をする

パフォーマンスは質的評価、量的な評価の両方から見る必要があります。
質的な評価はスタッツが代表的なものです。


スキルそのものやスキルに関わる領域なので、S&Cコーチとしてはスタッツの良し悪しに関わる体力要素を論理的に推察することで、パフォーマンス向上に貢献出来ると考えられます。

また、競技を構成する特徴的な各種動作を分析し、介入出来る部分を探していきます。

引用:日本スポーツ協会HP


普段、試合会場でリアルタイムのGPSモニタリングをしながら観戦していますが

①通常速度でBall in Playのみ再生
②2.5倍速でBall in Playのみ再生

と、追加で2回はビデオを確認しています。


Hudlというサービスにアップロードされているので、PCやスマートフォンでいつでも映像をチェックすることができます。



HudlではアナリストがBall in Playのみ再生できるようにしてくれているので、50分ほどあれば上記の作業は終わります。


(余談ですが)GPS関係のデータ処理にAIを使うようになってから、試合後の作業が圧倒的に速くなりました。


先述の50分はデータ処理にかかっていた苦行ともいえる時間をAIが捻り出してくれたものなので、睡眠時間を削ったりライフワークバランスを破綻させることなく、生産性が高まりました。

AIの活用法はいつか記事にしたいと考えています。


1-2 Game Demandsを明らかにする

パフォーマンスの量的な評価において、良し悪しではなくまずニーズがどんなものなのか? = Game Demands を分析します。


こちらはGame Demandsを数値化した実例です。データは全てダミーのデータを使用しています。

ポジション別のGame Demands


1試合の出場時間は選手ごとに同じポジションでもばらつきがあります。


上記のGame Demandsは

1試合に出場したら身体にかかるであろう外的負荷(GPSデータ)

なので、1分あたりの各測定項目を算出したうえで80分あたりの値に再計算しています。



そのGame Demandsに対して、日々の練習でキャパシティを養い強度とボリュームへの耐性を身につけていきます。


1-3 試合のレビューをして練習に反映させる

練習とは運動学習の観点からみると

出来ないことを出来るようにする

が大前提です。

過負荷の原則からみても、適応しきった負荷をかけ続けることで長いシーズンの後半にはパフォーマンスが低下していきます。

またGame Demandsのみならず、Worst Case Scenarioも試合ごとに更新されているか確認が必要です。

試合において要求される強度に対して、日々の練習が適切な負荷をかけられているか?は外的負荷のモニタリングによって明らかになります。  



選手がキツいと感じる練習は内的負荷が高いだけであって、試合に対する準備として適切か否か?は判断しかねます。


毎試合の後に確認すべきポイントは、Game Demandsに対して準備が出来ていたか?です。





以上、しばらくは抽象度の高い記事が続きます。

シーズンが深まるにつれて、現場における日々の対応に追われて目先の付け焼き刃的な意思決定と行動に終始しがちです。

そんな時、立ち返る場所を持つことで一貫したプログラムを提供することが出来ます。





◆引用
日本スポーツ協会
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/ikusei/doc/k3-39.pdf

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