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【ラグビーにおけるワークロードモニタリングについて#6】Session RPEを用いた運動負荷のモニタリング①

◆はじめに
Session RPE(sRPE)は、運動時の主観的な強度を反映した負荷量を数値化する手法です。
内的負荷のsRPEとGPSデータなどの外的負荷を組み合わせることで、負荷の量や強度を中長期的にプランニングし、必要に応じて調整することが可能です。
特に、予算が限られた環境や屋内でのトレーニングにおいても、負荷のモニタリングが行える利点があります。

*本記事におけるデータは全て架空のダミーデータとなっています



◆RPEとsRPE

RPEは運動後に選手が感じた強度を0から10のスケールで評価します。この方法は簡便でありながら、トレーニングセッションの主観的な強度を効果的に捉えることができます。

RPEをヒアリングする際の基本情報は選手とコンセンサスが必要です


ONE TAP SPORTSに代表されるAthlete Management System (AMS)をはじめ、無料サービスのGoogle Formやアナログのペンと紙で数値を集めます。

セッションが終わった直後(終了から30分以内)にヒアリングするのが好ましく、ラグビーのように

・グランドでのセッション
・ジムでのセッション
・屋内でのレスリング形式セッション

と、様々な種類のセッションを実施する場合はセッションごとにRPEを入力してもらいます。

Google Formで作成したアンケート


このRPEにセッションの実施時間をかけてsRPEを算出します。

sRPEの算出


sRPEとRPEのグラフ

◆内的負荷と外的負荷の統合モニタリング

内的負荷(sRPE)と外的負荷(GPSデータなど)を組み合わせることで、トレーニングの全体的な負荷をより正確に評価することができます。
この統合アプローチにより、トレーニングの効果を最大化し、過負荷や過少負荷を避けることが可能になります。

内的負荷と外的負荷を一画面に表示したダッシュボード


先述のとおり、ラグビー界ではグランドで費やす時間と同じ程度にジムなどで体力と時間を費やすセッションを実施します。
そういったアスリートにかかる負荷を、外的負荷のGPSデバイスだけでモニタリングするのでは情報が足りません。

また外的負荷のみでモニタリングする課題として、同じ運動を実施してもアスリートごとに身体の反応は異なるということです。
同じアスリートが同じ運動を別の日に実施しても、キャパシティのレベルや疲労感によって身体の反応は異なります。

・外的負荷のみモニタリングするリスク
  絶対値としての負荷が各選手に与える影響を推察しきれない
・内的負荷のみモニタリングするリスク
  選手が感じる強度の高さとGame DemandsやWorst Case Scenarioのギャップ


sRPEを活用することで、選手個々の感じる負荷の差異を理解し、個別化されたトレーニングプログラムの開発に役立ちます。また、シーズンを通じた負荷の変動を追跡し、選手のコンディション管理にも寄与します。

実際の利用法は今後の記事で詳しく紹介します。


◆まとめ

Session RPEは、スポーツトレーニングにおける負荷管理の重要なツールです。特に予算や設備の制約がある環境でも有効に活用できるため、幅広いスポーツ現場での導入が期待されます。

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