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やさしさにふれる

やさしさにふれたとき、何を感じるだろうか。

やさしさだけにふれたのか。

その人がもつ、やさしさにふれたのか。

自分の身に危険が降りかかってきたとき、その人がもつ、やさしさにふれたのか。

やさしさには、温度がある。

やさしさには、香りがついている。

やさしさには、重さがある。

やさしさには、速度がある。

やさしさには、期限がある。

あの人が亡くなったとき、今まで自分にしてくれた

やさしさにふれることができた。

暖かくてどこか懐かしく、まといたくなるような、

ゆっくり、ゆっくりと身体の中に沁み込んでいく。

生きているあのときには、そのやさしさの存在に気付かなかった。

そのやさしさが、何度も送られていることも知らなかった。

二度と戻らない、あの人のやさしさ。

やさしさにふれて、感じることができていたら、また変わっていたかな。


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