shingo umehara

旅とアートが好きな人。仕事で関わり深いため、地域芸術祭の話が多いかも。

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最近の記事

「現実」の対義語はなにか?(村上春樹「街とその不確かな壁」の書評あるいは考察のようなもの)

村上春樹の6年ぶりの長編小説が刊行された。 物語として面白いかどうかは人によるとして、「この本はなぜ書かれなければならなかったのか」を考察しがいのある本だと思った。 以下ネタバレを含むため未読の方はご注意ください。 逆に、既読で「結局どういうこと?」というモヤモヤを抱えている方には是非読んでもらいたい。 ここから本編「"現実"の対義語はなにか?」 「この本は誰に向けて書かれているのか?」 街とその不確かな壁を読み終えて、僕が抱えたのは上記の2つの問いだった。 本書の中

    • 国際芸術祭あいち2022、常滑市会場/有松会場の鑑賞メモ

      国際芸術祭あいち2022、常滑市会場/有松会場。地場産業と現代アートの接点を模索している印象 常滑焼で有名な「やきもの」のまち常滑市。至る所にレンガや煙突のある景観が美しい。散策コースが整備され飲食店や土産物屋も賑わっているなどほどよい観光地感がありながら、昔ながらの工場や住宅が続く街並みに分け入っていくthe芸術祭感もあって楽しいエリア。 有松絞りなど染め物で有名な有松地区は、ぎゅっと狭い範囲に立ち並ぶ旧家や工場に作品展開。どことなくこじんまりとした作品が多く、今年初め

      • 国際芸術祭あいち2022、一宮市会場の鑑賞メモ

        国際芸術祭あいち2022、一宮市会場。朝出遅れて絶妙なタイミングで有名なモーニングを食べ損ねる。 一宮市内に作品散らばっているが、徒歩+バスでぎりぎり回れる感じがthe芸術祭感あって良い。 旧名古屋銀行一宮支店の重厚感ある建物だったり、旧看護専門学校の巨大な校舎だったり、住宅街にいきなり現れる異様に建築的質の高い公民館だったり、都市型芸術祭ならではユニークべニューの活用図られており、純粋に街歩きとして楽しい。 以下、いくつか作品ピックアップ。 奈良美智、miss mo

        • 国際芸術祭あいち2022、愛知芸術文化センター会場の鑑賞メモ

          国際芸術祭あいち2022、愛知芸術文化センター会場。作品ひとつひとつのクオリティが驚くほど高い。 一連見て回ると、どんな体験があると自分にとって満足度の高い作品鑑賞になるのか軸が見えてくる。僕の場合は、自然に潜む見逃されてきた美しさに気付くこと、単純な仕掛けで生み出された想像以上の快に触れること、凝縮された時間を想像力で解きほぐすこと、知らないだけで身近にある社会の実相を認知すること。このあたりが得られると、個人的満足度が高い鑑賞体験になるということを実感。この会場だけでも

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          アートプログラムEGAKUに参加して気付いた、「誤読し合う関係性」の心地よさ

          この週末、仕事仲間に招待してもらい、株式会社ホワイトシップ/一般社団法人ELABが提供するEGAKUというアートプログラムを体験してきました。 他人の絵画作品を鑑賞したり、自分自身の内面を掘り下げたりしながら、パステルを使って50分間で1人一枚の絵を描き上げるワークショップです。 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの特集として、現・東京都副知事の宮坂学さんや星野リゾート代表の星野佳路さんなど、錚々たる経営者の方々も体験されているとのこと。 学生時代の通知表では

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