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闘病FXトレーダーの私に【リコリス・リコイル】が与えてくれたモノ

作品との出会い

普段私はFXトレードの傍らに、日々の執筆活動の素材としてテレビやラジオだけでなくサブスクのアマプラやネトフリなどから教材をさぐることは多い。
年間に数えきれないほどの物語と接している私としては当然経験値としてそういう鼻が人より利く。そんな中で見つけたのは埋もれた数多の中に咲く新芽のような作品。

今日語るのは、最近新しく生まれた名作の一つ、先日最終回を迎えた2022夏オリジナルアニメの『リコリス・リコイル』。

紺が『たきな』で、赤が『ちさと』

犯罪を未然に防ぎ、人知れず平穏な日々をもたらす秘密組織の支部である和カフェ喫茶リコリコの店員でリコリスと呼ばれる二人の少女が様々な事件に立ち向かう姿を描く物語。

一見、ありがちな設定に万人受けしそうな作画で、『良質』を安全に置きに行ったような作品に見えて、原作なしのアニオリというハンデすらも「物語の先が分からない」という利点を活かし、ストーリーの組み立ても視聴者を飽きさせず、それでいてキャラクターの立て方も逸筆だ。

個性豊かなキャラクター達

制作会社のA-1 Picturesはソニー傘下のアニプレックス子会社で歴史も浅いが何と言っても勢いがある。そして同社の同期のアニオリ作品で前評判の高かった『エンゲージキス』をかすませるくらいまでにバズったというのは足立監督の手腕とそれを支える盤石の制作陣といっていいだろう。これで初監督というのだから『才能』というのはやはりどこの世界にも本当にあるんだなと痛感しかない。

それにしてもアニオリ史に残るほどのここまでの世間の反響は制作側にとっても『嬉しい誤算』だったのではないだろうか。

なぜここまでの人気作に?

視聴者を盲目にさせる作品というのは必ず理由がある。
もちろんリコリコも例外ではない。

バディものといえばもともと海外のイメージが強かった。
シャーロックホームズや、メン・イン・ブラックなどは誰もが知る名作だ。

人気王道『メン・イン・ブラック』

そしてその文化は日本カルチャーにも反映されている。
ぱっと思いついたところをあげれば、相棒。トリック。宇宙兄弟。数え上げればキリがない。

相棒もseason21まで続く人気作。亀山君の帰還に期待。

そしてその多くが作品として成功している。
リコリコに近いバディもの作品は強いて言うならダーティペアだろうか。 

高千穂遙によるSF小説シリーズ。アニメはサンライズ制作。

バディものならではこその武器はやはり【対比】だと私は思う。
さりげなく、時に大胆に。
リコリスリコイルもまたその表現の露出が『バディもの』というジャンルの一画としてうまくミックスさせている。それは『ちさと』と『たきな』のキャラの対比だけにとどまらない。シンボルや構成、伏線が見事なまでに表と裏になっている。

安西&若山声優コンビ。おまけに主題歌を歌うClariSまで2人組バディ。

youtubeやSNSなどインターネットの台頭でアニメに『考察』という新しい要素を取り入れた現代ならではの楽しみ方をするコア層も唸らせてしまうほどだ。

『ちさと』と私の共通点は【心臓】と【覚悟】

少しネタバレになるが『ちさと』は作中最強だが幼いころから心臓が弱く、人工心臓で生き伸びているので常に死と隣り合わせという環境。

心臓が弱く、キャプテン翼の『三杉君』設定のちさと。

そしてこれを書いている私もまた『心臓』が弱く、心不全や心筋梗塞などのリスクが高い環境。

過去に私自身も4歳の時、交通事故に合っている。
打ち所が悪ければ既にこの世から消えていたとしてもおかしくなかった。
作品愛というバイアスはあれど、どうしてもちさとに己の境遇を重ねたくなってしまう。

ちさとの生き様は見ていて気持ちが良いし応援したくなる。
生き様が清々しいのだ。
それに比べて私は凡人でかつては泥沼のような人生だった。
人に評価されても自分自身では負け犬としか思えなかった過去とトラウマがある。
私はちさとのように強くも美しくもないがそれでも今は『覚悟』だけは同等かそれ以上の自信はある。

病気は苦しい。
決して楽じゃない。
でも強がりでもなんでもなく、今が今までの人生で一番幸せな状態だ。この幸せな状態を作るために犠牲にしてきたモノは計り知れない。

話数が進んでいく度にその共感は増えていった。

リコリスとは彼岸花。
その花の意味は「悲しき思い出」「情熱」「諦め」「独立」。
まさに自分の人生を例えたかのような意味合いでここまで共感させに来られると色んなフラグがたって逆に怖い。

「彼岸花は毒があるので絶対に真似しないように」とこの11話アイキャッチがネットで炎上。

最終回を終えて

私はもともと偏見が嫌いなので『たかがアニメ』などと思わないがここまで感情を揺さぶられたのは久しぶりで嬉しいサプライズ作品だった。

名作に出会え、名シーンに感動し、生きててよかったって思える瞬間。
これだからサブカルは人間の創造と可能性の宝庫だ。

映画スタンドバイミーをパロディにしたOP人気のキックシーン

何気にブランクだったトレードの調子も最近改善してきている事も全くの無関係ではないかもしれない。

あと、作中で平和を保つために『隠蔽』(いんぺい)がキーとなっているのだが、これがまた今の時代の在り方に疑問を投げかけるような皮肉とも受け止められる。
一つ前の私の記事の後半でも軽く示唆したがこれからの時代は透明性が前提になってくるべきだと私は思う。

平和のための隠蔽を悪とする『真島』。果たして正義とは?

真島のようなダークヒーローこそ新しい時代の価値観の象徴なのかもしれない。

謎も多く残してるし、次に繋げれるような最終回だったので2期はワンチャンあると予想。また楽しみが増えた。
こうやって日々の小さな幸せのピースを積み上げていく。

正直な話、私は長生きはしたくない。
でもそれは病気から逃げているわけじゃない。
生きている間を全力で楽しむために凝縮させたいだけ。
人生は太く短く。
これからも命を燃やして生きていく。

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