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トレーダー目線から見た『日本沈没』
毎朝、少しばかり暑い日差しと、窓際に遊びにくる小鳥のさえずりや、学校へ向かう子供たちの元気な声で目が覚める。
と同時にスマホとipadを開いてニュースや為替レートをチェックするのが専業トレーダーとしての私の1日の始まりだ。
2022年4月20日水曜日
スマホのアプリでレートを確認するとドル円が元気な陽線とともに129円40銭という最高値を付けていた。
ニュースにもなってたのでリンク載せておこう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/481b874aadb7db4b0cada82880d53e3f96b5429b
毎日相場を見ていて、嫌というほどの円安を思い知っている身としてはもはや今さら何の驚きもない。
20年ぶりの値を付けた最近の円は、はっきり言って異常な弱さだ。
紛争国や紛争国付近の通貨より弱いのだから、もはや『円』の通貨としての価値など、推して知るべし、である。
驚きよりも呆れている、というのが正確な表現だ。
それほどまでにわずか1カ月でドルに対して15円ほどの下落を見せた円の弱さはトレーダーに『日本円』という安全通貨の信頼を失墜させるには十分だった。
クロス円の燃え盛る上昇の炎は円買いのトレーダーをことごとく焼き殺したのではないだろうか。
ここ数年の相場を見てるトレーダーにとっては120円台後半という値段は本来ならユーロ円の値感覚だ。
だから、自分が出したチャートの通貨を間違えたのかとさえ錯覚する。(ちなみにこの記事を書いてる現在のユーロ円は139円後半)
止まらない円安は、沈みゆく日本の姿だ。
インフレ懸念も手伝って、普段は経済に興味のない人達にすらも波紋は広がり、『良い円安』『悪い円安』議論は続く。
どちらの意見もあるだろうが、ただ一つ確実に言えるのは『悲しい円安』という事だ。
日本円が『岸田コイン』、などとまで揶揄される始末。
おちょくりの中にも侮蔑の念がこもっている。
当然だろう。
政策というものは政治家が国民を代表して知恵を振り絞って生み出されるべきもの。
総理になった途端にいきなり「はい、増税します!」では新総理に期待を持った国民の心は脱兎のごとく離れていく。
最終的に増税は仕方ないにしても、国民も納得する答えを出す努力義務があるはずだ。
そんな国民の不安をよそに、相場様の意向はマイペースだ。
アメリカは年初のFOMCで今年7回の利上げを発表した。
対称的に日本は緩和の姿勢を崩さない。いや、崩せないのだ。
黒田総裁や日銀を非難する声は多い。『日本も利上げしたらいいやん』というのはあまりに率直で安直すぎる意見だ。
そこには背景がある。
それをここで語るにはあまりにも時間が足りないのでまた今度。
ここに来て『詰み』という日本の敗姿を先読みし、『投了』前に保身に走ったのは先見の明がある投資家たちだ。
資本主義社会を攻略し、『勝ち組』で呼ばれる彼らはこぞって海外へ流出し始めた。
棋士が終局を待たずして見切りをつけるように、彼らの損切りの早さはトレードだけにとどまらない。
そしてそれは日本の資金が海外に流出することを意味する。
その損失は経済圏だけでは済ませてくれない。
資本主義の頂点に君臨する資本家たちの行動規範は未来ある若者の将来の指標として崇拝される。
だから才能も流出する。悪循環のスパイラルだ。
もちろん日本だって馬鹿じゃない。
円安が進めば日銀は介入もするだろう。
過去にも介入で為替操作して凌いできた史実もある。
だがもはや事態は経済面だけにはとどまらない。
全てにおいて海外諸国との乖離は進むばかりだ。
日本が未だに先進国だと思っているのは、学生時代しか勉強をしていない昭和のお気楽なおいてけぼりだけだ。
https://ogawa-tech.jp/2021/12/18/imaginary-growth/
日本沈没というドラマがある。
未曾有の国難を主に政財界の視点から描いた内容なのだが原作の小説からの映像化が5回目という人気作品だ。
放映期間中に実際に地震が何度かあったりして話題を呼んだし、そのシーズン中で一番面白かったドラマだったと記憶している。
ただ、ドラマが終わった今でも『日本沈没』という言葉だけがパワーワードすぎて脳裏に尾を引いている。
今の円安を見てると、このドラマすら何かのフラグに思えてくるのは杞憂なのだろうか。
頼むからやめてくれよ。
私はドラマが好きだけど、ドラマの出来事はドラマの中だけにしてほしい。
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