リスクマネジメントについ考えてみました。

成長志向のMBA@福岡2021で「リスクマネジメントへの招待」
平野 琢 先生 20210630@zoomを受講しました。
この講座は統一テーマとして変革への視座を得るというものがあります。
その中から今回は「リスクマネジメントへの招待」という内容で講義が進んでいきました。

 今回は、リスクマネジメントの目的、リスクマネジメントの基本、ケーススタディ、リスクマネジメントの観点から見たケースの構図と教訓という内容で講義が進んでいきました。リスクマネジメントとは何か物事を判断するときに、そのことによって得ることができる価値と、捨てる価値があるのであれば捨てる価値を最小にしながら得ることができる価値を最大にすることだと定義しました。
 リスクマネジメントのフレームワークとしてリスクマネジメントサイクルというモノがあります。これはリスクの発見、リスクの分析、リスクの評価、リスクへの対応からなっており、この一つ一つにリスクコミュニケーションが必要になります。
 リスクマネジメントは一回やって終わりではなく、継続的なPDCAサイクルとして回して、最適化を続けていく必要があります。特定の環境条件を前提としたリスクマネジメントを行っていていは、ある時点で適切なリスクマネジメントであっても、その後不適切となる場合もあるのでリスクマネジメントの継続的な改善が必要になるということです。
 これをまとめるとリスクマネジメントは、リスクの発見、リスクの分析、リスクの評価、リスクへの対応という4つのプロセスをベースにして、各プロセスにおいてリスクコミュニケーションが必要になります。さらにこれらをリスクマネジメントサイクルとして回して改善していく必要があります。逆にいえばこのサイクルが健全に回っていれば、適切なリスクマネジメントが行われているといえます。

 自分事ですが、インシデントを起こしてしまいました。その時の自分の行動を振り返ってみると、リスクコミュニケーションをきちんととれていませんでした。リスクの評価を自分で行ってしまいリスクを過少に評価してしまっていました。これはステークホルダーと意思疎通を図って合意形成をきちんとしておけば簡単に回避できた問題です。これを元に自分の行動を改善するリスクマネジメントサイクルを回す必要があります。単純なことですが、実行する前に一言相談するだけで結果が変わっていたと考えられます。

 さらにリスク分析の結果の曖昧性とリスク評価の多様性という問題があります。リスク分析の結果に曖昧性や不確実性が高い状況ではリスク評価も多義的になります。特にぼんやりとしたリスクは不確実性が高くなり、自分に都合のいい判断をしがちになります。
 今回の私の失敗も、おそらくこうに違いないと自分の中で思い込みがありました。なのでこの行動をしても問題ないと自分に都合のよい判断をして誤ることになりました。

 リスクには客観リスクと主観リスクというものもあります。そのために同じリスク分析の情報を見聞きしても人は経験や感情によって同じ危険性の認識ができるとは限りません。むしろ経験や知識の差によって、リスクの認識や察知能力にかなりの差が出ると考えるべきだと思います。
 これを防ぐには、リスク認知のバイアスのメカニズムをよく知ってそれを前提に考えることです。今回の私の場合で言えば、実行する前に相談するというひと手間を省かなければ主観的な判断をしなかったと考えられます。

 代表的なリスク認知バイアスの例として。正常化バイアスと利用可能性ヒューリスティックというものがあります。正常化バイアスについてはよく聞きますが利用可能性ヒューリスティックとは、取り出しやすい記憶情報を優先的に頼って判断してしまう心理的な傾向のことです。記憶に残っているものほど、頻度や確立を高く見積もる傾向があります。
これはどういうことなのかというと、人はモノを考えることがストレスなので、考えることを放棄して思い出しやすいことを優先的に判断してしまうということです。
 今回私が思い込みで行動してしまったということは、考えることを放棄してしまった、利用可能性ヒューリスティックの罠にはまってしまったといえるかもしれません。

今回のまとめです。
人間の本質とバイアスを含めてリスクマネジメントを考える必要があります。自分一人で考えるとどうしても、「こうなってほしい」という自分勝手な判断をしてしまいがちになります。何か判断する必要があるときには、専門家やステークホルダーとリスクコミュニケーションをとり、リスクマネジメントサイクルを回していくべきだと考えられます。

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