サービス産業における生産性理論とマネジメントついて受講しました

 日経ビジネススクールと京都大学MBAの共同講座を受講しました。この講座はサービス経営のフロンティアセオリー・モノからコトへポストコロナで新たなビジネスモデルを実験する組織というタイトルの連続講座になっています。

 2022年6月9日はサービス産業における生産性理論とマネジメントというテーマで新村猛先生による講義が行われました。

 イントロダクションとして産業革命から経済のサービス化まで説明が行なわれました。産業革命には、工学的なアプローチによる生産性向上と、経済学的アプローチによる生産性向上があります。
 工学的なアプローチとは動力とマシンの開発によって行なわれ、ジェームズワットによる蒸気機関が有名です。
 経済学的なアプローチによる生産性の向上は分業によって行われました。こちらはアダムスミスの考え方が有名です。

 産業革命以降はサービス業の生産性が低いことが問題になってきました。なぜサービス業の生産性が低いことが問題になるのかというと、ある一国の経済が発展すると、それに伴い国民経済の中心の産業が第一次産業から第二次産業、第三次産業へと変遷します。このことをペティ=クラークの法則といいます。ペティ=クラークの法則により経済の中心が製造業からサービス業に移ってきました。つまり経済の成熟化とともに産業構造はサービス化するということです。サービス産業の労働生産性は製造業と比較して低いため、経済の成長が止まってしまうということが課題になります。まさに今、先進国といわれている国がおかれている状態だと考えられます。

 ここでなぜサービス業は労働生産性が低いのかという問いを立ててみると、サービス業は在庫をすることが困難なため、需要と供給の最大公約数しか付加価値が生まれないためだと考えられています。
 そのような課題を考えていくために、サービスサイエンスという概念が発達してきました。サービスも人が生み出しているので、人工物と考え工学的に分析していくサービス工学というアプローチです。サービス工学は概念は簡単ですがそれを実現するのは難しく、さらに社会科学、人文科学の知識も必要になるためサービス学の考え方へと拡張されていきました。

 ここで製造業が発展した経緯を見てみると、「在庫可能な有形物を大量生産すること」で生産性を生産性を向上させましたが、在庫が可能ゆえに物が飽和するという問題が起こりました。
 このことから在庫可能な有形財が常に生産性を向上をもたらすわけでなく、ある条件下で生産性向上をもたらすということがいえます。
 これをサービス財に応用すると、ある条件下では生産性向上を阻害するが、別の条件下では必ずしも生産性低下要因ではないと考えることができます。最近ではサービス財も在庫することができるようになり、ストック効果といってサービス財も飽和することが分かってきました。

サービス財といっても、無形財だけでなく有形財も様々な形でかかわっています、サービスの有形財の介在要素の多さに注目する場合、同時性を高めて生産性を上げる、同時性を低めて生産性を上げること両方のアプローチができる。そのためには勘や経験に頼った判断を行うのではなく、データとシミュレーションを行いながら判断を行うサービスサイエンスの視点が必要になります。

 ここまで見てきたことでいえることは、単純に有形財がよくて無形財が悪いわけではないということです。
 自分に置き換えて考えてみると実際に提供するIoTデバイスは物としての価値を高める方法がいくつか考えられるのでそこはもちろん考慮する必要があります。無形財はデータ、アフターサービス、取付工事、安心感等になるのかなと考えました。
 さらに講義の中で、「顧客の信頼や満足といった、サービスに対する心象評価は飽和することがない。長年のリレーションシップ確率の結果、障害スイッチすることのない高い信頼の確立が可能である」とありましたので、アフターサービスや安心感は武器になるのかなと考えました。

 続いて価値とは何かについて考えていきました。付加価値の向上と効率化は両立可能かという問題に対して、Service Dominant LogocやValue Co Creationの考え方を説明して、顧客を価値創造の中に組み込んでいくことの大切さを習いました。焼肉を焼くという具体的な例を出して、顧客が作ることの方が、サービスの提供側が作ることよりも価値が高いことがあると説明があり、主目的は価値創造であるが結果として効率化も実現する。つまり、付加価値の向上と効率化の料率は可能だという結論になりました。

 ブランドという無形の価値設計の大切さも解かれていました。サービスの要素を深めていくとレバレッジが効いてくるということを寿司屋の話を例に出しながら説明してもらいました。
 
 ウェーバーの法則、フェヒナーの法則、情報の非対称性という考え方があるので、それを知って製品設計、サービス設計に非常に重要だと教えていただきました。


 内容が非常に濃く自分の中で消化不良を起こしてしまっているので、うまくまとめて切れていないのですが、今回の講義を自分達の事業これからの行動に生かしていくためには、顧客を価値創造の中に組み込んでいくこと、情報の非対称性を利用するということが重要になってくるのかなと思います。  
 情報の非対称性は、相手が知らないことをいいことにこちらの都合の良いようにやるということではなく、製品に関する情報をたくさん出して、顧客と一緒に作り上げていくことです。場合によっては、顧客自身に開発してもらうことも視野に入れて製品を展開していくとよいのかなと考えました。

 初めて触れる概念も多く学びの多い2時間でした。

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