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音声燻製【毎週ショートショートnote】

 20XX年、地球温暖化の影響で木材が希少化した。ヒッコリー、サクラ、クルミなどが伐採に規制がかかり、燻製業者は次々と倒産した。

 それと同時期くらいにとある発明家が『音声燻製機』なるものを開発した。電子レンジのような機械でマイクが附属されていた。その機械の中に食材を入れ、音声で燻製を作ることができるようになったのだ。

 歌の種類やリズム、歌う人の声質によって燻製の味が変わってくるという不思議な機械だった。

 しばらくすると町内でカラオケが上手な銀次さんが歌って作った燻製が一番美味しいと話題になり始めた。

 銀次さんの持ち歌は『雪国』でそれで作ったスモークサーモンが絶品で、本物の燻製よりも美味しいのではないかとちょっとしたニュースにもなった。

 演歌で作ると美味しくなるということが次第にわかってきて、みんな演歌で燻製を作るのだが銀次さんには勝てなかった。

 銀次さんは日本で有名になり『燻し銀』と呼ばれるようになっていた。

(410字)



たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※ちょっとしたおやじギャグSFのようになってしまいました。


*この記事は、以下の企画に参加しております。


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