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理科室まがった【毎週ショートショートnote】

「放課後、理科室まがった裏のベンチで待ってなさいよ」

転校してきたばかりの女子生徒がいきなり僕に言ってきた。

前の学校の制服を着ているその転校生は同じクラスで、何回か挨拶をしたことあるくらいだ。

まあ何か大事な話でもあるのかなと思い、また予定も特になかったのでその場では何も聞かずに待っていることにした。

「いいよ。待ってるよ」と一言だけ言うと、彼女はパッと立ち去った。

放課後、僕は校舎の外れにある理科室に向かった。

僕は中学2年生で化学部所属だ。理科室の電気は消えているので化学部顧問は不在のようだ。

僕はそのまま理科室まがった裏のベンチに座り、ぼーっとしながら転校生を待っていた。

夕焼けの光が差し込んできたそのとき彼女がゆっくりと歩いてきた。

「なんで、まだいるのよ!」

「待ってたんだよ」

「もう授業終わって2時間近く経つのよ!」

「待ってるって言ったから待ってたんだよ」

「なんで待ってるのよ!」

真っ赤な夕焼けの中、彼女は泣いていた。


(410字)



たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※エモいのかエモくないのかそれが問題だ。


*この記事は、以下の企画に参加しております。



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