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mizu_mi_kata09
グリム童話ATM【毎週ショートショートnote】
その街はグリム童話が足りない人々で溢れかえっていた。
ー誰かグリム童話をください……
ーおお、どうか私にグリム童話を……
AIの台頭で人々は小説、漫画、美術、テレビ、映画、動画などの創作活動ができなくなり、創作が世界から消えた。
文化活動の消失。
人々は思考が停止し、何事にも消極的になった。
その世界での唯一の娯楽(と言って良いかはわからない)はグリム童話だった。
人々はグリム童話を読むと心が踊り、心が安らぎ、多幸感を得られる。
それはもう『欲』と言ってもよかった。
ーグリム童話欲
人々は労働の対価としてグリム童話が配給される。
そしてそれはグリム童話ATMにためておくことができる。
そのATMで出し入れができるが、一度引き出して読むとそれは消費されもう預けることができない。
僕はグリム童話を求めにグリム童話ATMに向かった。
引き出そうとすると画面には「残高がありません」の文字が表示された。
さあ、労働をしなければ。グリム童話のために。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※困ったときのディストピアSFです。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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