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秘密警察を宣伝してみる【毎週ショートショートnote】

男はとあるマンションの郵便受けから郵便物をとった。男のそばには女の姿があった。

女は男に尋ねた。「その郵便物は何?」

「これは本だよ」男は答えた。

「なんの本なの?」

「ただの古本だよ。アマゾンで買ったんだよ」男は女の顔を見ながら恐る恐る答えた。

女は何かに気付いたような表情をして、郵便受けのある場所から、エレベーターへダッシュした。

「ママー、パパがまたアマゾンで古本買ってるよ~」

「あなた!またゴミを買ってるの?」

「ゴミじゃないよ。希少な書物なんだよ」

我が家の秘密警察は凄腕だ。おちおちうかつに買い物もできない。

そんな可愛い秘密警察を宣伝してみるのも一つの小説になるかなと思った。

そんな僕は公募勢の小説家だ。

僕は小説を書くための資料という名目で古本を購入している。

ただ、もはや小説を書くために古本を購入しているのか、古本を購入するために小説を書いているのかわからない状態だ。

秘密警察に書籍を捨てられないうちに実績を作らねば。


(410字)


たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※もはやショートショートとは呼べない代物になりました。『当事者性』は高めです。


*この記事は、以下の企画に参加しております。


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