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オノマトペピアノ【毎週ショートショートnote】

灼熱の赤き太陽はこれでもかとその怒りを地球にぶつけていた。

植物は育つことができず、海は煮えたぎり熱帯魚すら生存は難しく、生存している人間が住んでいるのは南極と北極、エジプトの3カ所のみになった。

生存をするために必要な物資のみの生産で人類は手がいっぱいになっていた。

ただ、人類文化の象徴として1台のピアノが保管されていた。

だが、そのピアノの弦はすべて錆びて朽ちていた。

ピアノの弦はもう地球上に存在をしていない。

人類がそれを製造することは不可能なのだ。

今は弦の代わりにピアノのハンマーの下に音の出るものを置いて音を出したり、音が出ない場合には口から声で音を出していた。

それは『オノマトペピアノ』と呼ばれていた。

「おじいちゃん、このピアノ面白いね」

「昔はな、ようけ綺麗な音が出るもんだったんじゃよ」

「私の声よりも?」

「まあ、もちろん、おぬしの声の方が綺麗かもしれんな」

「ポポパポペ~」

「綺麗な声じゃ、ほんとうに綺麗な声じゃよ」


(410字)



たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※ディストピアSF+エモにしました。


*この記事は、以下の企画に参加しております。


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