ドローンの課長【毎週ショートショートnote】
「あれ、課長は?」
「まだ、当直室で寝てますよ」
「夜勤は大変だったかな。ちょっと見てくるよ」
*
「課長、起きてください。もう、朝ですよ」
返事がない。
「課長!ドアを開けますよ!」
ドアを開けると、地面に一台のドローン、課長の姿はない。
「あれ、課長は?」と言うと、そのドローンが突然飛び上がった。
「わっ」
ドローンは空中に停止したまま、附属カメラをこちらに向けている。
まるでこちらを見ているようだ。
「もしかして課長ですか?」
ドローンが上下に動いた。
「課長がそのカメラで見ているんですか?」
ドローンが左右に動いた。何か規則性がありそうなのと、そのドローンはまるで生きているような素早い反応を見せる。
「もしかして課長はドローンになってしまったんですか?」僕はピンときて尋ねた。
ドローンは上下に動き、そのあと大きく円を描いた。
「いや、大正解!じゃないんですよ。とりあえず、こっち来てください」
ドローンの課長を連れて、僕は事務室へ向かった。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※カフカ『変身』オマージュです。それだけです。オチなしです。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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