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立方体の思い出【毎週ショートショートnote】

「君、どこの町から来たの?」

「あなたの知らない町よ」

「この立方体の岩知ってる?この海岸に昔からあって『立方体』って呼ばれてるんだよ」

「そうなのね。綺麗な岩。すごく大きいけどどこか儚さもあるわね」

俺は大学の夏休みに海の近くに住んでいる祖父の実家に家族で来ていて、祖父のところでは他にすることがなくて毎日一人で海に釣りをしていた。

そこで俺は白いワンピースの少女と出会った。

俺が立方体の近くで釣りをしている間、その少女は俺の近くでずっと釣りを見ていた。

2人で雑談をしながら釣りをしていた。俺はいつしかその少女のことが好きになっていた。

だが、そんな日が続いたある日、海岸の『立方体』が消え少女もいなかった。

すぐに祖父の家に戻った。

「母さん、海岸の『立方体』が突然なくなってたよ」

「『立方体』って何。あの海岸には元々そんなものないわよ」

それ以来、あの少女と『立方体』を見ていない。

30年経った今も『立方体の思い出』が忘れられない。

(410字)



たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※エモSFを目指しました。


*この記事は、以下の企画に参加しております。


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