肋骨貸す魔法【毎週ショートショートnote】裏お題
魔法使いの私は娘と一緒に冬の森に素材を探しに来た。
「雪が降りそうね」
二人が空を見上げた瞬間、娘は木の根っこに足を取られてつまずいた。
「痛い!」
娘はあばらをぶつけた。苦悶の表情を浮かべている。
骨が折れているのかもしれない。
私は急いで呪文を唱えた。
「ヒール!」
しかし、治らない。
私の魔法レベルでは小さな傷ぐらいしか治せないのだ。
娘を助けたい。できることなら自分が身代わりになりたい。
そう思ったとき、はらいはらりと大きなぼたん雪が降ってきた。
「雪の精霊様、どうか私に力をお与えください」
そう祈ると、降ってきた雪が舞い上がり雪の精霊が現れた。
「あなたに魔法を授けます」
自分のステータスを見ると『肋骨貸す魔法』が追加されていた。
私は迷わずその魔法を使った。
ポクッという小さな音が聞こえ、私の肋骨が一本なくなったような気がした。
娘はやさしい笑顔を見せている。
そして、小さな声で娘がつぶやいた。
「ママ、ありがとう。今はもう痛くないよ」
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※執筆だ!執筆だ!執筆だ!
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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