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文学トリマー【毎週ショートショートnote】

10歳の誕生日を迎えた私は、町外れにある鑑定士の家にやってきた。

この国では10歳になるとそれぞれスキルが発現する。その与えられたスキルによって大まかな職業が決まるのだ。

「では始めるわね」

鑑定士は私の頭の上で呪文を唱えた。

「見えてきたわ。あなたのスキルは文学スキルね」

「ぶ、文学スキル?」

「小説や詩を書けるのよ。いいスキルよ。あ、ちょっと待って。もうひとつスキルが見えるわ」

「……もうひとつですか?」

「もう一つのスキルはトリマーね。あなたは文学とトリマーのスキルがあるわね。両方とも珍しいスキルで、さらにスキルが2つあるのも珍しいのよ。その両方のスキルを合わせて『文学トリマー』になるのもいいかもね」

「『文学トリマー』……」その瞬間、私の頭の中にプロットが浮かんだ。

そのプロットはトリマーの少女が苦難の末に世界を救うという内容だった。

「私、やってみます」

私は鑑定士の家を飛び出した。すぐにも執筆したいという衝動に駆られて。


(410字)


たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※ ファンタジー系ショートショートにしました。


*この記事は、以下の企画に参加しております。


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