風見鶏ローディー【毎週ショートショートnote】裏お題

「ローとディーはいつも同じ方向を向いてるね」

「そうよ。いつも向かい風に向かって、風の方向を私たちに教えてくれてるのよ」

「二人は仲がいいね」

「風見鶏のローとディーはいつも一緒よ」

港町の丘の上にある2つ並んだ風見鶏は『風見鶏ローディー』と呼ばれていてこの辺では有名な風見鶏だった。

あるときは風が吹くと、先にローがその方向に向き、後から続いてディーがその方向に向く。右を向いたり、左を向いたり、リズム良く方向を変えていた。

あの日から、ディーから音が聞こえてくるようになった。

ギィーギィーギィー、おい、ディー!大丈夫か?とローは思った。

ディーも何の気なしにいつも通りにローと同じ方向を向いていた。

あの日から、風見鶏ローディーを見に来る人もいなくなっていた。

しばらくすると、ディーはローと同じ方向を向かなくなっている。

「おい!ディー」とローは声をかけるように一人でリズム良く方向を変えていた。

いつの日からかローは一人になっていた。


(410字)




たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※今日のお昼は十割蕎麦を食べました。


*この記事は、以下の企画に参加しております。




サポートお願いいたします!執筆活動費にさせていただきます。