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LS V.リーグ2-2022・第4節・フォーヒエンFC 対 コンアン・ニャンザン

個人的な印象批評を備忘のために記します。いろいろご教示ください。

2022年6月26日(日)LS V.リーグ2・第4節
ベトナム・PVFスタジアム(有観客)
インドシナ時間18:00キックオフ
スタジアム観戦
フォーヒエンFC(赤)2(前半1-2、後半0-1)2 コンアン・ニャンザン(黄)

昨シーズンはCOVID-19の影響で途中で打ち切られたベトナムのプロサッカーリーグ2部(V.リーグ2)。2022シーズンは、5月にSEA Games(「東南アジアのオリンピック」と呼ばれる総合競技会)がハノイで開催されていたので中断されていました。

6月25日、26日の土日に第4節から再開。フンイェン省の地元チーム・フォーヒエンFC(PHFC)は、ホームのPVFスタジアムで、コンアン・ニャンザン(CAND)を迎え撃ちました。

もちろん、有観客で、日本でのような「声出し禁止」規制はなし。両チームサポーター、エスコートキッズとその家族たちも、楽しく観戦。もはや手指消毒のアルコールすら用意されていない状態。「もはや戦後ではない」よろしく、「もはや『コロナ後』ではない」くらいの勢い。

ベトナム北部の6月は、とにかく暑い。おおまかに乾季と雨季しかないホーチミン市などの南部の地域と違って、ハノイ市やその隣町のフンイェン省などの北部地域には四季があって、6月は夏真っ盛りという感じです。ゲームがあった6月26日は、旧暦では5月28日(皐月廿八日というべきか)で、言われてみれば仲夏にあたりますね。

18:00キックオフなので、少し涼しくなってきた頃ではあります。一応、PVFスタジアムの観客席の屋根には、送風扇があります。

アップが始まるまではVIPルームで涼んでいたのですが、以前のようにアオザイを着た英語話者がいるわけでもなく、スタッフが2人、どなたかを迎える準備に勤しんでいました。対戦相手がコンアン・ニャンザン(人民警察)ですので、その関係者が来るのでしょう。

フォーヒエン側のスタッフは、この日のゲームは負けられないと、並々ならぬモチベーションを見せていました。もちろん、すべてのゲームにモチベーションを保っているわけですが、この日はさらに特別にそうだったということです。理由はそのうちわかるでしょう。

フォーヒエンのスタメン、30歳のGKを含めると平均年齢22.8歳。フィールドの10人の平均年齢は19.8歳。サブメンバーを含めると平均20.7歳。対するコンアンは、スタメンに20代後半以上の選手が6人いて、平均では27.7歳。サブを含めると23.5歳。スタメンだけ見ると、体躯が違うなという印象もあり。

とはいえ、フォーヒエンにはSEA Gamesでも活躍したレ・ヴァン・ドー、フィン・コン・デン(どちらも2001年生まれの21歳)がいますからね。体躯だけが勝負を分けるものではないことを示してくれるでしょう。

さて、ゲームです。

フォーヒエンは、4-4-2ダイヤで中盤の底に⑲ドゥック・フューを配置しているような感じに見える。コンアンは4-4-2の模様。

3分、フォーヒエン⑩レ・ヴァン・ドー、ボックス内左サイドで反転してシュート、GKがはじく。その後、⑭スァン・バックもふかしてしまった。

5分、フォーヒエンの銀髪・29ヴァン・トアンが相手GKにプレス。カバーシャドウになっておらず無駄足。

7分、フォーヒエン⑩レ・ヴァン・ドーがミドルサードで相手ビルドアップを阻むパスカット。ビッグチャンスを感じさせるトランジションで、私も「キター!」と快哉。

スポーツをしている時、人は一瞬でいろいろなことを感じる。後から言葉にすると長くなって、そんなにたくさんのことをそんな一瞬で考えていたのかと疑問に思われるかもしれない。しかし、実際にそうなのだから仕方ない。

レ・ヴァン・ドーのパスカットの瞬間、私は「キター!」と口にしながら、さっきの反転からのシュートといい、今日のレ・ヴァン・ドーは身体がキレているなと感じた。その後の一瞬で、相手㉑と等距離のルーズボールの争いになるのを見て「危ない」と感じた。身体のキレが良い時、選手はルーズボールに対して強気でチャレンジする。怯んだ方が負け。ただ、そこにはアクシデントが付きものだ。

2秒程度でそんなことを感じながら、一瞬後に起こったレ・ヴァン・ドーと相手㉑との接触を見て、「やっぱりな」と思った。駆け寄るレフェリーを見て、隣の席でフォーヒエンのタイン会長が「レッドを出すつもりだな」と即座に「予言」。フォーヒエン⑧フィン・コン・デンは、ポケットのカードに手をやるレフェリーの手を押さえて偶発性を必死にアピールするも、結局レ・ヴァン・ドーにはレッドカードが出されてしまった。

コンアンの㉑クアン・フイは、そのまま担架でアウト、③クアン・ティンがイン。フォーヒエンは早い時間帯から10人での戦いになってしまった。

10分、コンアン⑩がシュート、その前にフォーヒエンの⑭スァン・バックがファールを受けていたように見えたので、フォーヒエンの選手たちがエキサイトして抗議。マウロ監督(登録上はTD)がイエローカードを受ける。

18分、コンアンがビルドアップに失敗、フォーヒエンがパスカットして、⑲→㉙→㉘とつなぐ。㉘チュン・ヒエウがボックスのすぐ外でコンアンのDFに顔を殴られたように見え、倒されたが、ノーファールの判定。フォーヒエンの選手、ベンチ、観客席とも猛烈に抗議。フォーヒエンのスタッフのナムさんがスマホで映像をチェックしたところ、コンアンの⑤がチュン・ヒエウの首から上に2回、手を当てていると言う。観客席でタイン会長が審判に悪態をつく。

ゲームは荒れたまま進む。19分、フォーヒエンのファール。フォーヒエンの㉘が倒れたままなので、トレーナーが走る。他の選手はクーリングタイム的に給水。

22分、フォーヒエン㉘、ノープレッシャーで倒れて担架でOUT。結局、㊲アィン・クアンに交代。アィン・クアンは足の速い選手。

25分、コンアン、DFから縦パス、簡単にゲートを通し⑯→㉒、シュートしてゴール前で交錯、⑯ニュー・トゥアンの前にこぼれてシュート、ゴール。0-1。

観客席では、10人だしリードされてしまったしということで、嫌な空気が漂う。レフェリーへの不満ばかり表明されるようになってきた。ただ、私は、さっきの㉘チュン・ヒエウが倒されてDOGSOではないかと思われる場面で「ミスジャッジ」をしたレフェリーが、ゲームの後半で帳尻を合わせてくるだろうと予想した。ゲーム全体で両チームへの判定のバランスをとるというのは、レベルの低いレフェリーでは、よくあることだ。

27分、フォーヒエン、ハーフウェーより高い位置左サイドで軽いプレーをしてロスト、一気にピンチに。コンアンの選手のシュートがGK正面だったので事なきを得たが、10人でプレーしていることを認識するべき。

30分、フォーヒエン、パスカットから速攻。⑧フィン・コン・デンがプレーエリアを上げる。この意識は良い。

31分、フォーヒエン⑧、ボックス内でファーストタッチで反転して右足でシュート、1-1の同点とする。さっき一度、左足でふかして外しているが、今回は技あり。
*後で映像を見たら、フォーヒエンの㊲アィン・クアンがオフサイドポジションで相手GKの視界を遮っていたと疑われるところだった。VARがあったら、Possible offsideで審査されてノーゴールだったように思う(2021年11月のW杯アジア最終予選、ベトナム対日本のゲームで、伊東純也選手のぶっちぎり独走でのゴールが、長いVARチェックの後、走り抜けた田中碧選手がベトナムのGK・タン・チュオンの視界を遮る位置にいたと判定されてノーゴールになったのと同じ)。ただ、このオフサイドには誰も気づいていないので、コンアンからも不満は出ず、レフェリーはまだ「後半にフォーヒエン有利の判定をして全体でバランスをとる」動機を持ち続けていると見えた)。

35分ごろから、コンアン、右サイドを中心にボールがよく回る。フォーヒエンとしては、レ・ヴァン・ドーが左のインナーを担当していたところをカバーしないといけない状態。

36分、コンアン、右CK。ニアでフォーヒエンの選手がヘディングするも、スラした形でファーに流れ、コンアン98トゥアン・ズオンがシュートしてゴール、1-2。

40分、フォーヒエン⑲ドゥック・フュー、30mのミドルシュート、バーの上。ナイストライ。ドゥック・フューは、サブに入っている⑪タイン・ニャンとともに、PVFのTD・エリックが高く評価している選手(2人とも2003生まれの19歳)。

44分、コンアン、⑩レ・ミン・ビンを中心に攻める。シュートはフォーヒエンのGKがはじいた。レ・ミン・ビンは、先日のU23アジアカップにもU23ベトナム代表として出場して、準々決勝のサウジアラビア戦でクロスバーをかすめるシュートを放ったのが印象的だった選手。ホアン・アイン・ザーライからレンタルでコンアンに加入しているらしい(ちなみにU23アジアカップでは、U23ベトナム代表はこの準々決勝でサウジに0-2で敗れた)。

アディショナルタイムは2分。レッドカードやらマウロ監督へのイエローやら複数回の担架やらいろいろあったが、これも後半のアディショナルタイムで帳尻を合わせてくるだろう。

ハーフタイムは、普段はタイン会長らとVIPルームに行くところながら、この日はタイン会長も他のフォーヒエンのスタッフも動かない。私もそのままVIP席にとどまった。私は冗談ではなく "The referee seems to feel somewhat unbalance for his judgement himself. We'll get penalty kick in the second half because he wants to balance for the game" と「予言」したものの、誰もまともに取り合ってくれなかった。

後半が始まる。

49分、フォーヒエン⑧フィン・コン・デン、相手をきれいにかわしたところ、後ろから両腕で掴まれて引き倒される。イエローを出すようレフェリーに抗議。ファールは取ってもらったが、こうして「イエロー相当」と主張することで、レフェリーにプレッシャーをかけ続ければ、全体でバランスをとろうという方向に向かうことになる。

52分、フォーヒエン⑲ドゥック・フューが倒されてFK。⑭スァン・バックが左足でファーサイドに上げ、㉗ゴック・ソンが走りこむも枠外。

53分、フォーヒエン⑭スァン・バック、フリーで受けて左足シュート、GK正面。

55分、フォーヒエン⑲→㊲で右サイドのスペースへ。やはり㊲アィン・クアンが速い。⑭につないで中央から左へと展開。しかしスペースに出すべきところを足元に出してしまってプレーエリア上がらず。それでもクロスを上げるも、ブロックされ、こぼれたところに⑭がきて左足でシュート、大きく外す。今日だけなのか普段からなのか、⑭スァン・バックのキックの精度が低すぎるのが目立つ。

56分、フォーヒエン③ミン・ドアンがアウト、⑱ティエン・ディンがイン。⑤ハイ・ナムが右サイドへ移動。

57分、フォーヒエン、左サイドから縦のスペースへ。㉙ヴァン・トアンが追いついてシュート、GKがはじく。

フォーヒエンの良い時間帯が続く中、59分、フォーヒエンの左CKのタイミングで、コンアンが3人交代。④⑦⑨がイン、⑪⑭㉒がアウト。新たに入った選手がセットプレーのポジション取りで混乱してくれるかと思ったが、そんなこともなかった。

61分、フォーヒエン⑲ドゥック・フュー、コンアンの⑦ヴァン・フオンに後ろから両腕で掴まれて倒される。その間にコンアンのキャプテン⑧タイン・ソンが傷んで時間を取る。

62分、フォーヒエンの左からのクロス、ボックス内でバウンドしたボールがコンアン⑦の手に当たり、PK。帳尻合わせてきました。フォーヒエン㊲アィン・クアンが決めて2-2同点。

同点になったのはいいが、フォーヒエンはネガティブトランジションでだらだらと下がってしまい、ボールに対してプレスに行かない傾向があり、プレーエリアがどんどん下がってしまうのが気になる。

67分、フォーヒエン㉙ヴァン・トアンがアウト、期待の⑪タイン・ニャンがイン。

フォーヒエンは、再三、左サイドを破られている。前半からレ・ヴァン・ドーが退場して空いたスペースをカバーするのが遅れているのを修正できていない。㊲アィン・クアン、⑱ティエン・ディンらのディフェンスが軽すぎる。

68分、コンアン⑥チュン・グエンがイン、キャプテンの⑧タイン・ソンがアウト。キャプテンマークが誰に渡ったか不明。

72分、コンアン⑥、フォーヒエン⑲に後ろからスライディングタックルで倒してイエロー。

73分、フォーヒエン⑭スァン・バック、担架で外へ。

コンアンの攻撃の時間帯が続く。

79分、フォーヒエンのGK㉕ヒュー・ギア、ハイボールの競り合いで倒れる。とはいえ、まったくファールはないように見えたが、昔の「キーパーチャージ」のようなことでファールを取っていた。VIP席でもGKが倒れた瞬間に "Foul!" という声が上がっていたので、気持ちはわかるがファールではないでしょうと思った。

81分、フォーヒエン㊲アィン・クアン、縦に見事に抜け出すもシュートせずに味方を待ってマイナスに出し、⑲ドゥック・フューがシュート、GK正面。アィン・クアンの消極的なプレーに観客席がガッカリ。その後、㊲傷んで外に出る。

85分、フォーヒエン⑧フィン・コン・デン、担架で外へ。足が攣った模様。

87分、フォーヒエンは相変わらず左サイドを支配されて、コンアンのシュートを許す。GK正面でラッキー。

このあたりで、タイン会長が「もう90分経った。レフェリーはコンアンのチャンスが続いているから終わらせない」と不満を言い出す。いえいえ、まだ87分ですし、前半を含めてかなりゲーム止まってますから、アディショナルタイム長いと思いますよ。

89分、フォーヒエン㊲アィン・クアン、足が攣った模様で、担架で外へ。スタッフのナムさんによれば、この18歳の選手は、まだメンタル面が安定していないとのこと。

アディショナルタイムは5分。6分以上取るだろうと思っていましたが。

92分、フォーヒエン⑪タイン・ニャン、縦に抜け出してGKと1対1。しかしシュートせず、ファーサイドの⑱ティエン・ディンへ緩いパス。トラップミスしてGKと交錯、決定機を逃す。そしてすぐに、コンアンのカウンターを浴びて大ピンチを招く。観客席、呆れた雰囲気。

94分、フォーヒエン⑪タイン・ニャン、自陣ゴール前でサボってコンアンの選手に先にボールに触られる。途中出場でこういうプレーはよろしくない。

タイムアップ。なんとか引き分け。しかし次節以降、中心選手のレ・ヴァン・ドーが3試合の出場停止となるのが痛い。


因縁のゲームでした。その後、VIPルームで、タイン会長がコンアン側と思しきVIPに「明らかなファールを取ってもらえなかった。2回も手で顔を押さえていた。動画を見た」と、結構な勢いで不満を言っていました。言われたコンアン側の人は、苦笑いしながら「動画は見た。ファールじゃないよ」と言ってVIPルームを去って行きました。

本日は以上。