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2023年第58回札幌2歳S・第43回小倉2歳S・第59回新潟記念回顧

この記事は、2023年8月20日16時30分〜 サークル芯力の競馬談義スペース2023.09.03からの文字起こしです。

https://twitter.com/shindikara2023/status/1698236329191239765?s=20

第58回札幌2歳S

蒼山サグ(以下、蒼):まずゆたさんから、札幌2歳の回顧をお願いします。

くらみゆた(以下、ゆ):はい、よろしくお願いします。札幌2歳ステークスですけれども、やはり今週札幌最終週というところで、ちょうど馬場開放も始まっていると思うんですが、洋芝というところで、馬場がだいぶ荒れてしまって、開催が進んでも全く状態が回復しないという状況でした。やはりスピードよりも荒れた馬場でも体力というかスタミナ、きちんとフォームを崩さずに走れるかというところが重要視されるレースになっていたのかな思います。

レースですが、ガイアメンテに人気だったんですけど、こちらがちょっと出遅れという形。内からセットアップがハナに立つ展開で、2番手にパワーホール、外からギャンブルルームが追走する形で向こう正面に入っています。残り1000を過ぎたところで、後方からガイアメンテは進出を開始するんですけれども、逃げているセットアップは軽快な形で4コーナーも後ろを突き放す形になりました。2番手集団も追いかけていったんですけれども、直線も各馬バテ合あというような走りになってしまって、その中でセットアップが粘り腰を発揮するという形の1着。ガイアメンテは手応えを失ってしまって抵抗できないというところで、結果的には1コーナーで通過した順位そのままで、1.2.3番手がゴールインという形になりました。

勝ったのはセットアップ。荒れた馬場を他馬が苦戦するようなレースで前に行けると滅法強いというところは実にデグラレーションオブオー産駒らしい走りだったかなと思います。トップナイフを思い起こされる走りだったかなと。こちらは鞍上は横山武史でしたが、やっぱりこういう肉を切らせて骨を断つというか、他馬が苦戦するところポジションを取って走るというところは横山家が強いなという、本当に横山家伝統の走りだなと思いました。

蒼:いかにも横山家という感じですね。

ゆ:はい、そう考えると、ロジユニヴァースで横山典弘がダービーを勝ったというのは、今思えばなるほどな、と改めて思わせるんですけども(笑)。その横山典弘が騎乗したパワーホールは、2着というところでこれはちょっとナイスアシストという感じ。絶対に武史が逃げてるんだから、追いかけなくちゃいけないのは分かっていたはずだと思うんですけれども、追い掛けませんでした。無理せず走れば賞金積めるというところもあったというところもありますし、八百長とは言えませんけど無理に潰しにはいかなかったなと。あとは改めて洋芝は一度悪くなると、開催中に根が張らないので、馬場状態が回復しないなというのを改めて思わされる札幌2歳ステークスでしたし、その点ダービーって考えるとちょっと先ほどのロジユニヴァースみたいな形にならないと繋がらないかなって気がするんですが。ただ結構中山芝2000のホープフルステークスとかになってくると、各馬脚をなくしてみたいなパターンがあるので、トップナイフの再現というのは十分あり得るかなというふうに思います。

パワーホールは、先ほど触れたんですけれどもスワーブリチャード産駒らしい競馬センスというところで2着。これはやっぱり賞金詰めたのが大きいかなと思いますが、どれくらい走るかはちょっと中央場所の芝のレース見てから評価かなというふうに思います。3着のギャンブルルーム、ちょっと気配よくなさそうみたいな話もあったんですけれども、3着確保してこちらはどちらかというともうちょっと時計が出る馬場で走らせた方がいい馬かなと思いますので、次回に期待していいのかなと思います。ガイアメンテ。こちら、武豊の期待馬というところで結構威勢のいいコメントも出ていて、私も期待したのですが、気性的に入れ込んでレース前に終わってしまったと。ただ気性難というのは簡単に治るものではないと思うので、この後、今回が参考外だったら、次はすぐに巻き返せるとは思えなかったレースだったかなという感じです。私からは以上です。ありがとうございました。

蒼:こひさんの方から、いかがでしょうか。

こひ(以下、こ):はい、このレース結果的には馬場の状態の影響が大きくて、前に言った隊列がそのままと、上がりのタイムも結局ワンツーが1着2着みたいな感じで、かなり馬場に引きずられたレースだったなと思います。

ちょうど私は土曜日に北海道に行ってまして、キャロットクラブのツアーに参加していました。雨が降った翌日の放牧地を歩いていたんですが、あまり湿ってなかったんですね。それで次の日に結構天気が良くて、稍重だったにもかかわらず、やはりこれだけ芝の状態が露骨に出てしまうというのは、まさに先ほどゆたさんのコメントからもあったとおり、一度死んでしまった洋芝はなかなか治らないなというところが、ちょっと歩いてみた感覚とかあったなというところを、すごく思いました。以上です。ありがとうございました。

第43回小倉2歳S

こ:今年の小倉2歳Sなんですが、結構、いろんなところからメンバーが集まってきたという印象です。阪神開催からは人気どころのミルテンベルクで、中京からはキャンシーエンゼル、福島からはビッグドリームという形で、小倉だけではなく、いろんなところで、短い距離でしっかりといい勝ち方をしてきた馬が揃ったという印象です。やはり2歳の各路線が徐々に分かれてきたところもありまして、新馬戦を経てスプリントの馬もちょっと休ませてここを使う、というパターンも増えてきます。そういった形が増えると、このレースのレベルも上がってくるんじゃないかという印象を持ちました。レースに出るメンバーも、それぞれに個性があるなと思いました。

レース自体は、2ハロン目から3ハロン目が10秒4、11秒0秒と、速めのラップで進みました。最終的には後半が消耗戦となり、勝負が決まるような展開になったレースでした。最終的には、8枠の2頭が1着, 2着、アスクワンタイムミルテンベルクという形になったんですが、この勝ち馬と2着馬の差はコーナーの回し方かなとを思いました。前目につけたミルテンベルクの藤岡康太騎手は内から6頭目あたり、かなり外で3コーナーから回して行っていました。そこをちょっと後ろで見ていた岩田望来のアスクワンタイムが、最後の直線で外に出して最後アタマ差出たというところで、この辺りの仕掛けどころの差が結果には出てきたかなというような印象でした。

勝ち馬のアスクワンタイムですが、こちら実況等でも出ておりましたが、小倉2歳ステークスの兄弟制覇プラス、小倉スプリント重賞の3兄弟制覇というような形で、最後、こういった混戦のゴール前の中での押し込みというところにはやっぱり血統の力というところを感じるようなレースだったなと思います。アスクワンタイムの馬名由来を見ると、冠名プラス、「もう一度再び」みたいなことが書いてありまして、もう2歳の夏にして早々と「もう一度再び」を達成したなと。

2着のミルテンビルクも惜しい競馬でしたが、先ほど仕掛けどころのところだったかなと思いますので、内容としては全然悪くなく、この路線では十二分に楽しめそうかなと思います。母のペルレンケッテは、みんないつも見栄えがいい仔が出てくるが、結果が出ないというタイプが多かったんですが、ようやく結果につながったな。ちょうど昨日、キャロットクラブで募集中の1歳の下を見てきたんですが、これはダンカークで逆にちょっと薄くて、ただちょっと一味違ったペルレンケッテ産駒が出てきたなというような印象です。

今回、3着、4着。先行して自ら勝ちにいって、最後まで踏ん張ったキャンシーエンゼルですとか、ちょっと位置取りが中途半端で外々回ってビッグドリームもかなりロスの多い競馬になったかなと思います。福島1200mのレースでは、メンバーが揃わないというところもあってスローペースをついていって、ドンと抜けたレースでした。今回は結構なハイラップにも対応できていましたし、この辺りは展開やキャリアを積んで一つで順位というのは変わってくるレースだったと思います。結構事前にはメンバーが揃ったと思う割には、地味なゴール前の絵面ではありましたが、この後の上位馬の結果によっては、なかなかメンバーが揃ったレースだと後々評価されるケースというのはあるかと思います。はい、以上です。

蒼:はい、ありがとうございました。それでは、ゆたさんの方はいかがでしょうか?

ゆ:そうですね、ビッグドリームが結構人気になってましたが、結果的には新馬で負かした相手がその後の好走していなかったというところもありました。それだけが今日の負けの理由ではないでしょうが、一番人気はちょっと評価されすぎたのかなと思います。あとは勝ったのはアスクワンタイムですね。こちらを担当の調教助手が元女性騎手の西原玲奈さん。今は前原玲奈というお名前だそうです。アスクワンタイムのお兄さんも見ていたんですね。最近は女性騎手の活躍が目立ちますが、初代の女性騎手もみんな競馬サークルで頑張っているんだなと改めて思いました。

第59回新潟記念

蒼:新潟記念の方の回顧に移っていきましょう。ゆたさん、お願いいたします。

ゆ:はい、お願いします。こちらはですね、札幌とは打って変わって新潟。今年は全然雨が降らないというところで、野芝オンリーということもあり、最後まで馬場が悪化せずに、内ラチ沿いも伸びていたという状況です。やはりその内ラチ沿いが伸びるというのがレース結果に影響した結果になったなと思いました。

ちなみに、話が少し逸れますが、新潟には陸上競技場で「デンカビッグスワンスタジアム」というスタジアムがあるんですが、これは芝が洋芝オンリーなんですよね。先週週中にサッカーを見ていたら芝がボロボロで、新潟なのにこんなに芝がボロボロなんだなと思いましたら、全部洋芝だから生育が進まなかったと。冬に積雪があるから洋芝のピッチらしいんですけど、やはりこれだけ暑いと、野芝にオーバーシードかないと無理じゃないかなと改めて思いました。

レースの方なんですけど、サリエラが一番人気だったのですが、ちょっと安めのスタートでした。そんな中でハナを強く主張する馬がなかったので、各馬が若干周りを伺うような流れでスタートしました。結局はサトノルークスフラーズダルム辺りが先行。内ラチ沿いにノッキングポイント、外にプラダリア、その後ろにサリエラ も押し上げていって、ノッキングポイントの後ろにつけていきました。マイネルウィルトスが外から好位の後ろぐらいにつけるという形で、スローということもあって、割と団子というかみんな前目につけたいというような流れだったかと思います。直線、そのまま4コーナーに入ると、フラーズダルムが抜け出したところを横各馬が一団で追い掛けるという形。ただノッキングポイントが追い出されたら、すっと一瞬で先頭に立ち、そのまま先頭を走り続けるという形に。内からはインプレス、外からはユーキャンスマイルが伸びてくるのですが、そのまま押し切ってという形での勝利となりました。

勝ったのはノッキングポイント。こちらはモーリス産駒というところで、中山や小回りでの一瞬のキレ味というのはなかなかないんですが、大回りのコースや直線の長いコースでギアを踏むと、しっかりと最後までの速い脚で伸びていく傾向があります。毎日杯2着、ダービー5着というのも、伊達ではないというところに加えて、コースも向いていたのかなと思います。また、祖母がハッピーパス、母がチェッキンで、3代連続重賞、鞍上には北村宏司騎手というところもありまして。藤沢和雄元調教師も喜んでいたでしょうと。で、そうなると、やっぱりG1天皇賞秋というのがちらつき始めますが、相手が強いというところがあります。古馬をこの時点倒しての重賞制覇は本当に素晴らしい結果でしたが、秋のG1に出てくるような馬ではなかったのも事実です。成長力があり、もう一団上がってくるのも不思議ではないですが、どう評価するかは難しいかなと思います。ただ、大回りのコースでゆったりと流れると、意外と強い馬ではあると思うので、有馬記念などに出てきて人気になったら、狙いたいと思います。

2着のユーキャンスマイルは、去年に続いての2着というところで、8歳馬というところもあって、もう一丁というところは難しいと思います。しかし、この父キンカメで母父ダンスという形で、ちょっと古いというかステイヤーっぽい血統なので、こういう馬が新潟記念で来るというのは覚えておいたほうがいいのかなと思いました。3着のインプレスは、枠を活かしたというか内側伸びるというのを活かした好騎乗だったと思います。綺麗な馬場の合うタイプなので、条件が揃えば、どこかでまた一発あるかもしれないなと思います。プラダリアはちょっと一押し足りない競馬が続いていて、ディープインパクト産駒なんですけれども、この新潟で34秒でしか上がれないというのはなかなか難しく、なかなか買うところがないなと。一番人気のサリエラ。こちらは体調の問題という感じでした。今回は参考外ですし、ちょっとレース自体も合わなかったのかなと思います。以上になります、

蒼:ありがとうございました。それでは、こひさん。何か補足などございますでしょうか?

こ:はい、そうですね。サリエラの方は、確かシルクの公式を見てますと一週前の状況で落鉄して挫石というのがあったので、多分その影響だと思います。今回その挫石になったというところとあわせて、天栄から新潟に直接入ってレース使うっていうのが話題になってました。そういう意味でもちょっとサリエラに注目していたんですけれど、実際に新潟に一緒に持って行って併せ馬をしていた馬や、今日の1レースを勝ちましたルージュスエルテ、あとは1勝クラスで人気薄で5着に入った馬などがいましたので、今回結果出なかったんですけれど、他の新潟滞在馬は割と結果が出ているように見えます。

これが美浦の坂路が今閉鎖されていることによる一時的なものなのか、来年以降もちょっと輸送の距離とかそういったところも含めて増えていくのかというところは注目して見ていきたいなと思います。どこかの記事で馬房にエアコンがあるからいいみたいなのを見た記憶もありますし、そういうところも考えていきたいですね。一旦わざわざトレセンに持って行って、新潟から輸送するよりはいいよねという感覚も分かりますし、2週間ちょっと前ぐらいから、新潟に入れて使っていくパターンっていうのが増えていくかっていうのはちょっと来年の夏に注目したいなと思いました。

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