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今年も主役は川田・ルメール騎手か?短期免許騎手は存在感のない新春競馬の振り返り(中山金杯・京都金杯・フェアリーS・シンザン記念回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.01.08 21:00~からの文字起こしです。


第62回京都金杯

第62回京都金杯 出馬表

蒼山サグ(以下、蒼):では時系列順に京都金杯の回顧をお願いします。

こひ(以下、こ):時系列順で先に振られたので、改めて京都金杯が先に行われたんだなと思いました。中山の照明灯が明るくなったことによりまして年始から京都が先で中山が後というような形になっているのがなんかちょっと新鮮なイメージがありますね。

このレース自体はマイル戦になってから、ハンデ戦ながらまずまずのメンバーが揃うというようなレースになってきたかなと思っております。今年はリステッドを連勝してきましたドーブネを筆頭に比較的実績馬というより、オープンクラスでいい競馬をしてきた馬たちが人気も含めて中心となったようなレースで、新興勢力のどの馬が名乗りを上げるかというような構図のレースだったかなというふうに思います。あとやはり一番ちょっと特徴的だったのが京都の芝が重くて時計がかかるなというような印象だったことですね。シンザン記念の回顧でも触れられるかと思いますが、関西方面あまり天気として荒れてなかったんですが、なんでこんなに時計がかかるんだろうというような印象がありました。この日は朝から比較的内の馬場がまだ使えているような状態ではありまして、こういったちょっと緩い馬場への適性とあと枠順の並びというのがほぼほぼ結果に直結したレースになったかなという印象です。

レースの方ですがセッションが序盤から先行する構えを積極的に見せていったものの、外からドルチェモアが強引にハナに行きまして、2番手になりましたセッションが実質も逃げというような形で進んでいったレースでした。ドルチェモアは気性的なものもありまして、かなり飛ばしていっていたんですが、2番手にポツンとセッション。その後3番手以降の集団というような形になっておりまして、この2番手以降ですね、特に3番手以降の集団についてはかなりペースとしては緩んでいたとちょっと見えておりまして、結果的には内を回ってこないとなかなか勝ち負けができないというレースになったかな思います。離れた2番手というような絶好のポジションでしたセッションの方が抜け出したところに、外からトゥードジボンが並びかけて、ほぼこの併せ馬で決まったかなと思いましたがそこからコレペティトール岩田スペシャルが鮮やかに決まったというような形のレースだったかなと思います。

勝ったコレペティトールなんですが、前走はオレンジ枠を引きながらインに入れていった岩田スペシャルで内から突き抜けるという形で、今回は内枠からの岩田スペシャルというような形で、この岩田らしいイン突きが2走連続で決まるというのはすごいなと。前走も今回もパトロールフィルムを見直してみたんですが、この馬のイン突きが決まるというのはやはり操縦性が高いという特徴があるのかなと思います。前走は何回か詰まってブレーキがかかる場面がありながら突き抜け、今回はスムーズに加速をしていって突き抜ける形の競馬でした。最終的にインの方を突いていて、鞭はずっと左鞭だけを叩いているんですが、うまく鞍上の操縦に応えまして内から外に行って、さらに外から内にというような形でうまく切り替えしながら鮮やかに立ち回ったかなという風に思います。こういった操縦性、機動力こそがこの馬の魅力でして、岩田パパとの巡り合いでパフォーマンスが大幅にぶち上がってきたというところも馬の特徴を考えて非常に納得感があるなと思います。能力的に突き抜けたものですとか、そういった印象はないんですが、競馬がうまいので枠の並びを見て継続的に買いたいタイプの馬かなと思います。

2着しましたセッション。積極策で離れた番手という形のベストポジションを取りまして、実質勝ちに等しい内容だったかなと思います。やはりハンデが軽かった点と、坂井瑠星騎手の先行してやろうというような思い切りが感じられる好騎乗がうまくかみ合っての結果だったなと思います。3着のトゥードジボン。前の2頭がうまくはまりすぎた中で、逃げなくても競馬をしてある程度結果を出せたという点では収穫があったレースだったかなと思います。ただこのレース単体の勝ち負けという点ですと、セッションが行く気を見せた時にあっさりとハナを譲ったというところが藤岡佑介騎手らしさというところをほんのり感じたところではありました。

負け組についてはドーブネも含めて馬場の影響ペースの影響というのは大きかったかなと思います。ピックアップしたいなと思うのはピンク枠で終始外を回すしかなかったんですが、最後はしっかり掲示場まで足を使ってきましたアヴェラーレフリームファクシの2頭ですね。この2頭は能力的なところの高さは示したと思います。特にフリームファクシは一時期のスランプ気味なところから戻ってきたのかなと。

蒼:ありがとうございました。ゆたさんいかがでしょう?

くらみゆた(以下、ゆ):新春競馬にはシルバーステートがあうのかなというのは改めて思いました。来年まで覚えておきたいなと。

蒼:サンデー系ながらロベルトのしぶとさみたいなところがあうんでしょうね。

第73回中山金杯

第73回中山金杯 出馬表

蒼:中山金杯の方に移りましょう。こちらはゆたさんの方からよろしくお願いします。

ゆ:はい、お願いします。年末開催から連続という形になる中山競馬場での中山金杯ということで、こちらは土曜のクッション値がやや固めの10.3。年末からいい天気に恵まれていたというところと、結構秋から冬にかけて暖かかったというところもあるので、野芝の根も残った割と時計の出やすい状態でこちらは行われたのかなと思います。そんな中で中山金杯ですが、前半が緩んだ中で後半が11秒台の後半が続くという形になりましたので、ちょっと距離適性が短いまには難しい厳しいレースだったのかなと思いました。

レースなんですけれども、ゴールデンハインドが積極的にハナを奪う形で2番手にホウオウアマゾン、好位にボーンディスウェイ。ちょっと抑えが効かない形でエピファニー。マウンテンレオは中段より後方に控えるという競馬になっています。先行馬がスタミナ自慢というタイプではなかったというところもありましたので、向こう正面に入るとこれでグッとペースが落ちると、3ハロン目からは12秒8、12秒0、12秒4とかなり緩い流れで、前半1000mを60秒後という競馬で進んでいます。ただその割には馬群は縦長の展開でしたので後方が差を詰めるというのはちょっと難しい流れになったのかなと思います。そんな中でさらに後半ボーンディスウェイが中途半端に前にプレッシャーをかけた競馬をしましたので、そこそこ流れで12秒切るペースで続きました。ロングスパースというにはちょっと緩いっちゃ緩いんですけども、後半むやみにに動いたり、外を回すと脚をなくすような展開になっています。G3のハンデ戦らしいポジション優位の競馬となったのかなと。結果的に好位の内でじっくり足を溜めたりリカンカブールが抜け出して1着。田中克典調教師が重賞初勝利という形になっています。

勝ったリカンカブールですね。津村騎手が冷静に乗った形。道中先手を取る意思を見せて好位のポケットを取れたというのが最大の勝因だったと思います。津村騎手は去年キャリアハイだったんですけれども、引き続き調子は良さそうだなというふうに思いました。あとは4コーナーでエピファニーがタイトに回らなかったので進路がよくスカッと空いた、そこがやっぱ大きかったと思います。その流れでいうとこの11着に終わったエピファニーというか乗っていたピーヒュレク騎手ですね。行きたがるエピファニーと折り合いがついていられずに進んだ上で、4コーナーでも勝ち馬を締められない形。直線もずっと右鞭で、馬が結構左に寄っていっても持ち替える気配はないという形になっていました。正月競馬を見ているともう十分話題になっている気がするんですけれども、ちょっと今回来ている短期免許の外国人騎手は怪しいところがある中で、特にこのピーヒュレク騎手はちょっと危ないかなというところがあります。シルクが契約して来ているのである程度は今後乗るんでしょうけど正直馬券的には切った方が美味しいのかなと。ただ予想以上に世間が外国人騎手乗れていって話をしている気がしていて(笑)、オッズにこの後どんどん反映されていくと、どっかで買った方がいいのかなというところでちょっと悩ましいですね。なかなか情報が速い難しい時代だなと思いました。

2着のククナ。今回もツメが甘いところ。取り立て何が悪いというレースはないんですけれども、ちょっとなかなか届かないというところで戸崎騎手が乗ってこういうレースっていうのはありがちだなと思いました。あとは3着のマイネルクリソーラ。結構外枠から頑張ったんですけれども上位の中では1番苦しいポジショニングだったと思います。次に期待したいと思います。あとボーンディスウェイ。こちらもちょっと木幡騎手が中途半端な傾向をしてしまったようなイメージがあります。行くなら行く、溜めるなら溜める、もうちょっとはっきりした方が良かったと思います。この後継続騎乗になるかわからないんですけれども、乗り変わったら結構あっさり勝つんじゃないかなというイメージがありました。

蒼:ありがとうございました。こひさんの方から補足ございますでしょうか。

こ:あまりレースの本筋ではないところですが勝ちました、リカンカブール田中克典調教師の義理の父である矢作先生が口取り写真で田中師より内側に収まっていたのが印象的でした(笑)。

第40回フェアリーS

第40回フェアリーS 出馬表

蒼:フェアリーステークスの回顧をこひさんの方からよろしくお願いします。

こ:フェアリーステークスは毎年ペースが流れたり流れなかったり扱いがすごく難しいレースでしたが、今年もその流れに続いて難しいレースになったという印象です。レース前の構図としては阪神ジュベナイルフィリーズでちょっと気性的な問題もあって人気を裏切る形になりましたキャットファイト。あとは比較的ハイレベルなレースとして知られておりますアルテミスS3着スティールブルーといったところに対して、新興勢力がどれくらいに走れるかというようなレースだったかなと思います。今年はそれにもとりわけ特殊な展開ラップになりまして、今後の取り扱いがさっぱりわからないなというのが印象です。

レースの流れで言いますと先ほど申しました阪神ジュベナイルフィリーズでスムーズに前に行かなかったというところの失敗を繰り返さないようにというような形で。今回はテン乗りになった坂井瑠星騎手がスタートから先行しに行くんだよというようなところを見せていきました、外からキングスコート騎手が乗っていますジークルーネですね。これが並びかけていきまして2頭並走という形でかなり息が入らないというような展開になったかなと思います。600mまでは速いという入り方をしたんですが、そこから併走の形になりますと、逆にペースが緩みまして800mからの2ハロンですね。これが12秒3、12秒0という形で12秒台が並ぶとような形。結果的に上がり2ハロンの競馬になったというレースでした。最近の比較的速めにラップを踏んでいくタイプの競馬の質からすると、非常に珍しい展開になったかなと思います。こうなってきますとやはりコーナーがタイトの中山ですので、その緩んだところでうまくコーナーを捌いていった馬が上位に進出した、そういったレースかなと思います。

勝ちましたイフェイオン西村騎手ですね。外の4番手からラップの緩んだ4コーナーでしっかり外に進出する形で、直線に入ったら早々と先頭に立って抜け出す競馬。結果的に非常にこのペースでやってうまく乗ったなというふうに思います。2着しましたマスクオールウィン。道中はほぼほぼ後方の方にいたんですがこれも3コーナー4コーナーでしっかり外からまくっていきまして、直線でも末脚繰り出して2着。金杯に引き続きまして津村騎手の動きどころというのが非常に良かったな、冴えているなというような印象です。逆にこの後先で割を食ってしまったのがスティールブルー。早めに動いていきたいところで前から下がってくる馬というところの影響も多少ありまして、ちょっと動き出しが後手。マスクオールウィンの方が先にまくっていきまして、この馬を追いかけるというような形になってしまいました。さすがにその並びでは万事休すというようなところで、正月でよくある休み明けのルメール騎手らしい若干読み違いというものを感じたレースでした。

3着に入りましたラヴスコールについては横山武史騎手が上手く立ち回った結果かなというふうに思っております。結果的にこういったペースを作った原因になります、キャットファイト。乗り難しいなというところを改めて感じさせられました。最後に止まってはいないだけに、結果的には残り2ハロンの瞬発力勝負に持ち込んでしまったことが敗因だなというふうに言えそうですが、それまで見ていていた気性面の脆さを思うと、そこで攻めきれない気持ちもわかるなというところで、気持ちの部分をどうやって立て直していくかというような課題。あとは今後の路線選択に向けて、1勝クラスの賞金までしかない状態ですので、どこで積むのかという問題。なかなか悩ましい話になりそうなという話でした。先ほども言いましたように、残り2ハロンの瞬発力勝負という特殊なレースでなかなか再現性がないパターンかなと思いますので、きっと今の時点で今後どこに繋がっていくのかというところもわかんないなという印象です。一旦以上になります。

蒼:ありがとうございました。ゆたさんから何かございますでしょうか。

ゆ:私もキャットファイトを注目してました。坂井瑠星騎手は正月競馬の初日はすごい調子良かったんで、どう乗るかなと思ったんですけども、ちょっと今回フェアリーステークスではあんまりうまく乗れなかったのかなという印象でした。勝った時はそれなりに溜めて勝つ競馬をしたものの、今回出していって伸びきれずという競馬。どう乗るのが正解だったのかなというところはちょっと難しいところかなというふうには思います。ただ母父パイロ父ディスクリートキャットという馬ですので、将来的なことを考えるとあんまり溜めて斬れることで上に切れるイメージもやっぱりわかない。どちらかというと緩急のない流れをどううまく作れるかというところがポイントになってくるのかなと思いました。

第58回シンザン記念

第58回シンザン記念 出馬表

蒼:シンザン記念の回顧に移っていきましょう。こちらはまずゆたさんの方からよろしくお願いします。

ゆ:はい、お願いします。こひさんの方からお話もありましたけれども、クッション値自体は9.3で良馬場という発表なので、数字上そんなに柔らかいイメージはなかったんですけれども、騎手からは結構馬場が柔らかいというコメントが見られました。ちょっとこの緩い理由というのはどこかでもうちょっと深く知りたいなというところではありますね。そのコメントの通りで、トラックバイアスとしても開催初日はまだ内が来たんですけど、だいぶ中から外が伸びるようになってきたという流れで、川田騎手がバチッと進路取りを決めたというレースだったというふうに思います。

レースの方なんですけれども、内からゼルトザームがハナに立つという形になりました。内からラーンザローブス、一番人気のエコロブルームも好位。外にショーマンフリートノーブルロジャーが促しながら中団という競馬になっております。前半の3ハロンですね。こちらが12秒2、10秒7、11秒4で34秒3という流れになりましたので、それなりに流れた形になっています。溜めて斬れる足を使うような馬が少なく先行してきた馬が多かったメンバー構成という形になりましたので、あまりここでゆっくりという形にはなりませんでした。その後もちょっと落ち着くところはない形で、坂の登りでも減速しないという形。12秒112秒012秒0と流れて、ほとんど12秒台が続くというラップになりました。本当にアメリカンな流れのレースとなったと思います。直線ではゼルトザームが粘るところをエコロブルームが追いかけるという形になりましたけれども、外からスムーズに上がってきたノーブルロジャーが一気に突き抜けてそのままゴール、重賞初勝利という形になりました。

勝ったノーブルロジャーは細工しながらの追走で、道中も馬群の中でちょっと揉まれるような形にはなったんですが、川田騎手がうまくバランスを取って走らせていました。特に3コーナーから4コーナーではよく見る形ですけど、スムーズに外の進路確保しまして、直線も無駄な動きしないで末脚を生かした勝利。馬場状態も考慮して見事な進路選択だったと思いました。後方に構えている末脚勝負だったら間に合わなかったと思いますので、こういう落ち着かないポジションでもしっかり追走できたというのも良かったと思います。ただ馬自体はやっぱり言い方古臭いですけどミスプロ系の外国産馬というような感じで、上のクラスになるとちょっと斬れ負けしそうな印象はあるかなと思いました。ただやっぱり持っているスピードが純粋に良いところがあるのかなというのはパレスマリスの良いところだと思いますので、ゴドルフィンはもう大喜びですね。

2着エコロブルームもこちらもダイワメジャーらしく先行してしぶとい脚を見せましたが、今回は勝ち馬が1枚上だったという風に思います。買うなら中山マイルかなというイメージですね。3着ウォーターリフトは最後方から追走して追い込んでくるという形だったんですが、馬場がやっぱり向いたのかなというイメージではありました。以上になります。ありがとうございました。

蒼:続きましてこひさんのほうから補足などございましたらお願いできますでしょうか。

こ:はい、そうですね。やはり京都の重たい芝との付き合い方ですね。今回人気薄で上位に来たのは先ほどのウォーターリフトドレフォン産駒で、4着のラーンザローブスキズナ産駒。6着にこれはダートで勝ち上がってきていたモーリス産駒母父ネオユニヴァーステイエムリステット。逃げたあのゼルトザームヘニーヒューズ産駒で兵庫ジュニアグランプリで3着のある馬ですが、この馬が逃げた割にはちゃんと残っているというところを見ても、ちょっと血統的なダートっぽさというところがひょっとしたらこの1月2月開催の京都芝のキーワードになってもおかしくないかなというような印象は受けました。


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