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2023年第59回函館記念・第55回函館2歳S・名鉄杯・ジャパンダートダービー回顧

この記事は、2023年7月16日16時30分〜 芯力休憩所#54 津々浦々群雄割拠からの文字起こしです。


第59回函館記念

蒼山サグ(以下、蒼):函館記念の回顧、お願いします。

くらみゆた(以下、ゆ):今日については、函館の馬場状態がだいぶ回復してきて、函館らしい洋芝のパワー優位の馬場でもあったんですけれども、ドロドロの馬場というものではなくなっていたと思います。完全な外優位というわけでもなくて、結構馬場はフラットに近い状態で、どちらかというと道中無駄なく競馬ができるかというのが問われる馬場状況になっていたのかなという予想でおりました。

レースの方ですけれども、ユニコーンライオンが出鞭入れながらハナを取る展開で、外からテーオーシリウスキングオブドラゴンが前に行くというところで、ほぼほぼ予想通りの展開。1コーナーの手前では隊列が決まる展開になりました。ユニコーンライオンが結構飛ばしたので、ペース自体結構流れて、本当に凹凸のない淡々とした、しかも12秒台前半が続くラップというところで、かなりスタミナとあったりとか追走力が問われる展開だったのかなというふうに思います。3コーナー過ぎで、そういう流れでしたので、先行組が手応えが悪くなったところで、好位からどっと押し寄せるところ、経済コースもあったルビーカサブランカが内から抜け出しかけるも外からローシャムパークが突き抜けての勝利という形になりました。

勝ったローシャムパークですね。これ一番人気なので、当たり前のように勝ったように見えますけれども、結構ルメールが丁寧に乗っているというか、いろいろ手を尽くしているのが印象的だったところです。スタート直後からルメールにしたら、結構積極的にポジションを取りに行ったというところがあります。こちらやっぱり父親がハービンジャーというところもあって、3,4コーナーで内に入っちゃうとかなり厳しいのが目に見えていましたので、そこを伸び伸びと外からスムーズに加速できるようなポジションをちゃんと取りに行く、向こう正面で好位の後ろ外目を取れたというのは大きかったと思います。あれだけ出していって、しかも1コーナー手前で少し挟まれて接触もあったりしているので、下手だとすごいバタバタになっちゃいそうなんですけど、ここもさっと折り合わせて。本当に2コーナーぐらいからは普通に走っているというところが、やっぱりルメールの上手さだったと思います。そして、3コーナーからも先行勢を先に行かせた後に外から進出して、フラットとはいえやっぱり馬場がいい外を出して伸び伸び走らせての勝利というところでしたので、本当に実力がもちろん上だったというのもありますけれども、誰が乗っても勝っていたかというと、やっぱりルメールだから勝っていた部分はあったのかなと思います。この馬、中央場所のオープン重賞になってくるとキレ勝負になってくると厳しい血統である馬だと思うんですけれども、この馬まだ4歳馬というところもありますので、それこそ来年の函館記念とか踏めて適性がハマるレースでは楽しみになる馬だというふうに思いました。

2着のルビーカサブランカ。こちらは個人的に馬券的に本命にしていて、道中内ラチ沿いしっかり追走して、3コーナーでも迷わず仕掛けると、4コーナーで迷わず内を取って抜け出しを図るというところで、(馬場状態読み違えると)ちょっと外の馬場狙いたくなるんですけれども、内側で走ってというのをよく考えられたいい騎乗だったので、馬券を買ってましたけれども、納得の騎乗だったかなと思います。一方、3着のブローザホーンですね。こちらは最後方から2番手を追走して、4コーナーから一気に伸びてきたんです。しかし、鞍上が岩田康誠騎手にしては珍しく一回外に進路を取っているんですよね。その後、ハヤヤッコが外に来ちゃったので内に切り替えての3着というところで、いつも通り内ラチ沿い狙っていれば2着あったんじゃないかなと思えたので、ちょっと鞍上失敗したかなと思っているかもしれません。

また、マイネルウィルトスが1年ぶりで最後方を追走しながら、上がり1位の脚で4着というところで、やっぱりこのレース、リピーターというか適性が合う馬というのは走れるんだなというのがハヤヤッコも5着にも来てますので、改めて思ったところではあります。勝ち馬が今回ルメールの好騎乗と馬場状態いろいろ噛み合ったレースだったと思いますので、この後多分凡走したりして人気落ちる可能性あるかなと思いますので、またうまく適性がはまったところで狙いたいなというふうに思いました。はい、以上になります。

蒼:ありがとうございました。それでは、こひさんの方からも何か補足などございましたら、よろしくお願いします。

こひ(以下、こ):はい、このレースですか。ラップが結構重ための馬場にもかかわらず、ずっと平均ペースで刻み続けるような、かなりタフなレースになったなと思ってまして。結局、うまく立ち回ったルビーカサブランカや、最後まで溜めて直線だけで競馬をした勝ち馬ですとか、3、4着馬みたいな形で、3、4コーナーとかで自分から動かなかった馬が来たレースかなというような、ちょっと感想がありました。こういったところの北海道シリーズというのは、レースの度に着順がコロコロ変わっていくレースもあるので、そういう意味ですと、3、4コーナーで外を回して自分で動いちゃった組を、今後の札幌ですとか、そういったところで見直していくのが良いかなという印象を受けました。

あとちょっとレースぶりを見ていて、どこかで穴を開けるんじゃないのかなと思ったのが、7着に来たキングオブドラゴンですね。これは押して押して前に取り付けて、結構早めに手が動きながらも、最後までバテ切らないような脚を使って、7着というようなところで。この馬、好走するパターンというのが割と時計がかかる条件という分かりやすい性質もありますので、その辺りで自分から動けるようなポジションが取れるような枠みたいなところでありますと、日経新春杯での2着みたいなパターンもありましたように、やはりどこかでハマるタイプのままなのかというところを思いました。こういう条件ではケアしていきたいなというところ。以上です。ありがとうございました。

第55回函館2歳S

蒼:函館2歳Sの方からゆたさん、お願いします。

ゆ:はい、よろしくお願いします。まず、函館2歳Sにつきましては、昨日はですね、朝から函館競馬場は雨が降り注いでいて、かなり馬場状態が悪化しているという中でのレースでした。朝から結構ノーザンダンサー系がブイブイを言わしている形で、サンデー系は壊滅的というところだったので、函館2歳Sのタイミングでは雨がやんでいたんですけれども、馬場状態というのはかなり問われる一戦になったのかなという風に思います。

レースの方ですけれども、1枠からスカイキャンバスが好スタートで逃げる形、ナスティウェザーが2番手、クールベイビーが3番手という形。そこそこすんなりと隊列が決まったのかなと。ただ馬場が悪い中でも2ハロンの目、3ハロンの目が10秒9、11秒6という速い流れでバラけた隊列というところで、なかなか厳しいレースになったのかなと思います。そんな中で後位から素晴らしい手応えで取り付いたのが勝ったゼルトザーム。直線そのまま入ってくると馬場の真ん中を突き抜ける形となりました。2着が好位追走のナナオ、逃げたスカイキャンバスが3着という結果でした。

勝ったゼルトザームは、前走のダートの1000mを逃げではなくて好位の後ろから差し切るという味のある競馬での勝ち上がりをした馬だったんですけれども、今日も早い流れの道中を馬群の外を気持ちよく追想して、ほんと唸るような手応えで差し切るという形。昨日の函館についてはストームキャットは結構走ってる印象はあったんですけれども、この馬もヘニーヒューズ産駒というところもあって馬場も合いましたし、あとは終始ストレスとない走りができたというところも印象的だったところではあります。このお母さんがバラ一族のロザリウムを社台の繁殖セールで売られて出てきている馬ですので、結構血統的には奥がありそうというところと、今日1200という距離以上にかなりスタミナ求められる競馬だったというところもありますので、この辺の血統の筋の良さというのも効いたと思います。多分内枠とかストレスかかる競馬になると、凡走するかなという気はするんですけれども、外枠とか時計のかかる馬とかそういう条件がかみ合った時には、再度好走するポテンシャルはあるのかなと思いますので、馬券的にはちょっと楽しみが多い馬なのかなと思いました。

あとは2着のナナオですね。こちらは内枠を粘り強く追走していて、ちょっとオルフェーブルみを感じたというところがあったところですね。あとは3着のスカイキャンバス。これも結構ペース速い中で逃げていて、もっと垂れるかと思ったんですけども、3着にまとめたのは結構強い競馬だったと思います。前走時計も早かったですし、距離に限界はあると思うんですけれども、次走以降楽しみだなというふうに思います。

あとは負けた馬は結構馬場状態とか展開が向かなかったと思うんですけど、ちょっと気になったのがバスターコールですね。ルーラーシップ産駒でいい競馬して勝ち上がったんですけれども、1200のここを使ってずっと押っつける競馬をするという形になってしまったので、ちょっと馬に悪い癖がつくような負けにならないかなというところが気になりました。以上になります。

蒼:ありがとうございました。こひさんから函館2歳ステークスについて何か補足などございますでしょうか。

こ:函館2歳ステークスといいますと、今回も勝ちタイムは1分11秒台のような感じで、さっきもお話しした馬場状態が影響したところがあります。実は去年のブトンドールが勝ったのも同じような馬場状態だったんですが、そこでは3着に先ほどのジャパンダートダービーに出ていたオマツリオトコが出走していたりしています。やはりダートっぽさというのが求められる条件になるんだなというのが、改めて今回の勝ち馬の父ヘニーヒューズというプロフィールを見ていても思ったところでございます。

あとは、このゼルトザームという馬なんですが、ヘニーヒューズで母父キングカメハメハで、今回こういった形で芝の1200の重賞を勝ったんですが、この重賞の賞金があれば割とダートの交流を含めたという選択肢があると思っています。この馬が来年に向けての新しいダート三冠に向けてかなり強いポジションを賞金的にいきなり確保したなと。この後の路線選択はわからないんですが、JBC2歳優駿とか出てきていても面白いと思いますし、路線選択の幅がすごく広がったという意味では陣営は本当に嬉しい賞金かなというふうに思いました。

蒼:血統的にも字面だけだと、むしろスプリンターにも見えないですからね。見えないし、普通に全日本2歳優駿走ってそうな血統にも見えますので、今後のレース選びというのはそういう意味でもあると思います。面白い視点ですね。ありがとうございます。

名鉄杯

蒼:重賞ではないんですが、名鉄杯の勝ち馬がダートグレード競走牝馬戦線で活躍しているアーテルアストレアだということもありますので、こひさんから名鉄杯の方の総評や感想などもお願いできればと思うんですが、よろしいでしょうか?

こ:はい、名鉄杯の方ですが、私もアーテルアストレアが一番いい舞台だなと思って馬券も購入していたんですけど、こんなに強く勝ち切るのかなというのが、ちょっと正直な印象で、なかなか鮮やかかつ中京コース巧者というところを非常に見せつけてくれたレースだったなと思っております。

特にこのレースにはすごく内容があったなと思いますのが、2着に入ったのが完全な勝ちパターンだったメイクアリープというところが、その評価に値するレースかなと思っております。メイクアリープ自体が1勝クラスから3連勝でオープンまで上がってきまして、前走もキングズソードのハナ差の2着というような形で、多分今後のダート戦線でかなり上を目指していける馬かなという風に見ております。その馬が完全に先に抜け出した勝ちパターンというところを、外から36.7秒というすごい脚で突っ込んでいって差し切ったというところを見ますと、本当に充実ぶりというようなところとコース巧者というところが非常によく分かる素晴らしい内容だったなという風に思います。特にこのアーテルアストレアという馬は、だいたい中京の時には本当は持ったままコーナーを上がっていけるんですよね。中京のダートで、結構3,4コーナーのところで動いていった馬が外から動いていった馬が直線で脚をなくすようなケースというのはよく見られるコースかなというような印象がありますが、この馬はそこでしっかりと持ったままで上がっていけて、そこから自分の脚を使えるというところが、非常にこの舞台での高い適性を見せているかなと思っております。もし今後のステップですとか次第ではありますが、どこかでチャンピオンズカップのゲートに入ることがあった時には絶対に人気はないでしょうし、気をつけておくべきそんな馬かなという風に思います。

蒼:サンビスタになれればということですね。

こ:そうですね、ああいうハマり方があり得るぐらい、この馬はやっぱりこのコースが上手いなと思いますね。あとは今回名鉄杯、リステッド競争を勝てましたので、アーテルアストリア賞金的にも今後頻繁のダートグレード路線ですね。上の方の馬が全部揃った時にはじかれる可能性ゼロではないんですが、一言で言うと順位的には6、7番手ぐらいの賞金ぐらいに取れましたので、多分ちょっと枠が広がるレディースクラシックあたり含めて入れる可能性が出てきたという意味でも非常に馬にとっても価値のあるレースだったんではないかなと思います。

これまでエンプレス杯しか確かダートグレード使ってなくて、完全に東京と中京だけ狙い撃ちみたいな所に出ていましたけれど、今後左回りの川崎ですとかそういった所も狙っていける可能性が出てきましたし、こういったパフォーマンスはまればすごいという所を見せつけたという点で、非常に良いレースだったなという風に思っています。

ジャパンダートダービー

こ:はい、もうレースの結果としては、多分皆さんご存知の通り、ミックファイアが無敗の三冠ということで、素晴らしいレースになったなと思います。やはり今年ですと、3歳のダート路線が粒揃いじゃないかということは、結構以前から言われてきていたところかなと思います。今回、海外遠征している組を除けば、デルマソトガケですとかコンティノアールですね、そこを除けばJRA馬もほぼほぼフルメンバーが揃ったなというような意味と、それに対してミックファイアが南関東で無敗という形で、どれだけやれるかというようなレースだったかなと思います。終わってみれば、完勝も完勝というような感じで、もうちょっとデルマソトガケコンティノアールとの力関係は分からないんですが、少なくとも今の時点でこの世代でのダートナンバーワンというようなところに上り詰めたレースだったかなというふうに思います。

特にこのレースにJRA馬が出遅れたオーロイプラータは思った通りのレースにはならなかったかなと思いますが、それ以外の大体思った通りのレースをしっかりやりながら、その全てを退けたというところが、すごく価値がある勝ちっぷりだったなというように思います。まず、ミトノオーの方はしっかり自分の形でペースを握って、後続が来る前にセーフティリードを取りに行くというような形で、多分馬の特性を理解した上での武豊騎手の手綱捌きがあって、それでもミックファイアが退けたというところ。また、キリンジについては、こういう前がかりになりそうなレースのところで、JRAの能力のある馬がちゃんと後ろに構えてロスなくインとかを立ち回って差し込んできたという形で、非常に藤岡佑介騎手がいい騎乗していたなと思って見ていたんですが、それでも全く届かなかったというところです。あと、人気の一角JRAで一番人気していたのがユティタムでしたが、このまま終始外にミックファイアユティタムを右前に見るというような形で並走していて、完全に潰したというような形で、それぞれJRAの有力勢が自分の能力を発揮したにもかかわらず、2馬身半以上の差がついたというところでも、たまたまハマって勝ったようなケースはジャパンダートダービーというのは過去歴史上あったかなと思いますが、そういったものとは完全に一線を画した完勝と言い切れる内容だったというところが、本当に素晴らしいパフォーマンスだったと思います。

本当これはニューヒーローの誕生ということ。今年はJBCがちょうど大井の開催というところもありまして、陣営のレース後のコメントもありましたが、多分そこまでしっかり大井の路線を踏んでいってチャンピオンズカップというような話も出ていました。そういったプロセスが進めるというところも考えても、まずは次は古馬との対決でどうかというところ。そして舞台を変えてどうかというようなところで、今後それぞれのステージでさらにパフォーマンスをどれだけ上げていけるかというと、非常に楽しみにある素晴らしいレースだったなと思います。レース後の御神本コールとか、コロナ諸々もありまして、ああいったコールが起こることも久しぶりでしたたから、大井でああいうのが発生するというところを見ていても、なかなかダートの三冠路線自体が来年から違った形になりますが、本当に最後に相応しいような素晴らしいレースだったなというふうに思います。


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