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令和の競馬ファンよ、これが武豊だ!エモマシマシで日本競馬の中心が生んだ勝因を叫ぶ(第68回有馬記念・第18回阪神カップ回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のレース展望スペース2023.12.24 16:30~からの文字起こしです。


第68回有馬記念

第68回有馬記念 出馬表

蒼山サグ(以下、蒼):有馬記念の回顧RTA一発勝負といきたいんですが、いやなんかもうぼーっとしちゃうぐらいすごいものを見たなっていう気持ちなんですが、まずこちら全体的な総括、ゆたさんの方からお願いできますでしょうか。

くらみゆた(以下、ゆ):本当に武豊が武豊であること役者が違うということを見せつけた有馬記念だと思います。15年ぐらい前に武豊っていつまで競馬の中心にいるんだろうみたいなブログを書いた記憶があるんですけれども、2023年でも競馬界の千両役者は武豊しかいないなと思いました。

レースの方を振り返っていきたいんですけれども、まずやっぱり最高のスタートを切ったスターズオンアースですね。こちらが序盤は主役だったと思います。展望では静かな競馬をするのかなと思ったんですけど、これは完全に外した形になっています。今回も積極的な競馬で内を取るという形を取りました。タイトルホルダーが注文取りという逃げの形になったんですけれども、ホームストレッチではその逃げるタイトルホルダーのインにはまる形でスターズオンアースがいましたので、完璧にルメール騎手が前半を乗り切ったというか、正直このタイミングではスターズオンアースがもう勝ち負け確定、いやもう勝つんじゃないかなというふうに思っていました。スルーセブンシーズの方はちょっとどっちつかずという折り合い位置取りで苦労している感じになっていました。あとはタスティエーラですね。こちらもちょっと思ったよりポジション取れずに結構周りに邪魔される形でいる中位という形になっています。後方で2番手にドウデュースで最後方にジャスティンパレスと実はこの2頭、直線では全然離れているように見えたんですけどこの辺では3馬身ぐらいしか離れていないという状況でした。

タイトルホルダーの刻んだペース、これが500から1100の間が11秒9、12秒0、12秒0で前半1000mが60秒4。ミドルよりもちょっと遅いぐらいのペースでうまく入ってきました。さらにコーナー回ったところでうまく2番手を離す形をとってコームストレッチでは、緩めて12秒2、12秒5。一回緩めてその後はじわっとペースを上げていくという形。これはもうセイウンスカイの頃から受け継がれている横山家伝統の美しい逃げラップ。完璧だったと思います。この流れで後方から差すというのは相当難しいと思うのですが、このあと3コーナーの手前からぐっとドウデュースが上がっていく。これは散々横山家の逃げに苦渋を舐めさせられた武豊じゃないとできない動きだったのかもしれないなと思います。そういう意味で言うと今年のダービーで武豊か道中緩んだところで受けなかったところを結構悔しそうにしていたというところがありましたので、この反省というかちょっと失敗したなという思いというのが、ここで繋がってきたのかなというふうにも思いました。結果的には4コーナーの手前では唸るような手応えで外の3番手という形になっています。道中はスターズオンアースが勝つかなと思ってもいったんですけれども、これが有馬記念をスーパーホースが勝つパターン、見てる側は脳汁がでるような4コーナーの捲り、もうディープインパクトを思い出させるようなコーナリングでしたので、この時点でこの有馬記念は武豊のものだなと思いました。直線はある意味予定調和のように抜け出したタイトルホルダースターズオンアースドウデュースが追いかけるのも、脚色は明らかにドウデュース。余裕すら感じさせる差し切りでの武豊、ドウデュースの勝利となりました。

勝ったドウデュース。スタートから展望でも触れたとおり、前進気勢はかなり強かったんですけれども、武豊が最後方に近いところから我慢させているという形。結果的にはヒートオンザビート、友道厩舎と前後するという形になりましたので、もしかしたらある意味ラインみたいな形で、更には内の馬を締めるような形で上手く坂井瑠星騎手がフォローしたのかなとも思いました。1,2コーナーはとにかく我慢。800すぎからぐぐっと動く走り。他馬をどうこうというよりもドウデュースの力をとにかく全て解放させることを走りでしたね。後は先ほど話した流れで勝ちきったわけですが、この横山家の逃げを上手く道中で押し上げて、ハーツクライしたルメールを、ハーツクライ産駒で4コーナーではディープインパクトして差し切るという競馬だったとなったわけで、本当に長く競馬を見ている人にはご褒美のようなというレースだと思います。更に言えば、今年のダービーでの不甲斐なさ、それから秋はケガからの復活というところで、(2023年という意味でも)本当にドラマとしては完璧だったと思います。

あとは長く見ていると意味で言えば、芯力内ではイクイノックスがいないドウデュースが勝ったら、カスケードがいなくなったマキバオーの有馬記念みたいだねと話していたのだけど、まさにその通りで直線では黒い風が吹いていました。つの丸先生とも解釈一致です。それにしてもやっぱり競馬を見ている人にはこのドラマチックな有馬記念のレース後インタビューで武豊に「競馬は本当にいいですね」と言われたらもう何も言えないというか。昔はアンチ武豊だったはずなんですが、インタビューそして、その後のユタカコールを聞いていると、いやもうホントに競馬ファンにはユタカコールからしか摂取できない栄養ってあるんだなと。そんなことを思わせる有馬記念だったと思います。

ドウデュースという馬について言いますと、まあ昨日サグ先生もちょっと触れていたところが。小回りで機動力を発揮するというのが最大の強さというタイプになってきたと思います。阪神マイルの朝日杯FS、東京芝2400のダービーを勝ってはいんですけれども、現状では実はグランプリという舞台が似合う馬になってきたのかなと思います。グランプリ、非根幹距離で勝てる、そしてドラマ性を生む勝利をするのであれば、もう武豊で凱旋門賞向かうしかないのかなと。まあ適性とか、あの芋掘りのような馬場とか、色々ハードルはあるんですけれど、それすら武豊が日本競馬にいるというストーリーの強さで勝ってしまうんじゃないかと思わせる。本当にそういう勝利だったと思います。

蒼:では、こひさんにお願いしましょう。

こ:はい、皆さんが色々お話しいただいた通り。今回3着以内の馬の騎手は本当に馬の能力を100以上に発揮させたレースだったのではないかと。その中でレースの質自体を大きく決めたのは、やはりスターズオンアースルメール騎手が外から番手を取ったところかなと思っておりまして。当然スターズオンアースが最高のパフォーマンスをするという意味でも最高の位置取りでしたが、タイトルホルダーが逃げて番手にルメールがいるという状態になりましたので、もともと前に行きたい宣言をしていた馬が、もうこの隊列ができた時点で前に競りかけられないというような設定ができたなというような印象です。あまり戦前に思われていたほど出入りがが激しいわけではなく、2番手以降の馬群はある程度きっちり固まって流れていくというような形。そういう有馬記念になったかなと思います。このあたりがルメール騎手が番手に行ったということによって、副次的に起こったいうふうに思います。

有馬記念、例年ですと内枠から台頭する馬というのがいる舞台設定と思いますが、今回そういった形で番手にスターズオンアースが収まったと言うところ。あとはハーパーですとかアイアンバローズですとかプラダリア、そういったあたりの先行馬が、若干馬の能力とパンチが足りないというようなところもありまして、内側で進めて直線に入るとある程度壁になってしまった。そういったところもあってこそのドウデュースの捲りが綺麗に決まったというようなところかなと思います。逆にドウデュース武豊。先ほど横山家のペースが染み付いているというお話がありましたが、そういうところまで見抜いて動いていった可能性すらあるなぁと思うと、なかなか痺れる騎乗だったと思います。今回はあそこで一番初めに外から動いたっていうところ。武豊の決断とドウデュースへの信頼感ですね。そこが本当にこの結果に結びついたなと思います。特にパトロールを見直して、惚れ惚れしたのがドウデュースの3コーナーから4コーナーの捌きでして。外からまくっていくんですが、まあ一頭パスするごとにちゃんと内側に入っていきまして、無駄がないコーナーリングをしながら捲っていくと。先ほどもありました実はこの馬は機動力が問われる方が向くタイプになってきてるんじゃないかなというところは、私も意見が一致しているところですね。本来はこの走りをスルーセブンシーズにしてほしかったという感じではあったんですが、まあやっぱりこういう競馬ができると、内回りコースではストロングポイントになるかなと思います。

今回一番人気になりましたジャスティンパレスですね。こちらは若干騎乗内容を叩かれているだろうなぁと思うんですが、ドウデュースの後ろで回っては来てはいるんですよね。ただやはりこのコーナーリングのところのコース取りというところが、馬の特性、まあひょっとした騎手的なところもあるかもしれませんが、差が出てしまいまして。直線に入った時には内を回ったドウデュースと、外にコーナリングで振られるような形になってしまったジャスティンパレスというようなところで。同じように後ろから動いていったにも関わらず、直線ではもう絶望的な差がついていたというところも、結構馬とコースの特性というところがしっかり出た部分ではなかったなというふうに思います。そういうところでジャスティンパレスは上位に絡みきるシナリオも、この展開の時点でなかったのかなというのはちょっと印象で見ておりました。

他の負け組に触れていきますと、5着のシャフリヤール。こちらは内から巧くセコ乗りできた唯一の馬かなと思います。スターズオンアースの後ろのポジションを枠の利もありまして、なんなく収まってきれいに回ってきたというところで能力をきっちり発揮した。そういったの結果だったのかなというふうに思います。可哀想でしたのがの6着タスティエーラでして。先ほど言いました内側が渋滞していたところもありまして、ムーア騎手らしい捌きを見せることも結構難しい状態になってしまいました。結局外の方に行きましたが、直線は直線で若干エンジンのかかりが遅いところもありまして。更にはジャスティンパレスが内に切れ込んできたところで1回完全にパッチンコされて、加速ができないというところがありました。このあたり一瞬のキレのなさと、枠順を含めたちょっと運のなさというところでの6着だと思います。このパフォーマンスだけで3歳のレベルがというふうに断じる必要というのはないかなと思います。

ソールオリエンスの川田騎手については、昨日この馬を外に出すのか、内のまま行くのかというところはちょっと注目だなという話させていただいたんですが、出したい意志があったのかすらわからない、そんなレースになっちゃったなというような印象でした。先ほど言いましたスターズオンアースが前に行って隊列がピタッと固まって凝縮されてしまったことで、もう内にいる以外選択肢がない、プラス前にいるのがアイアンバローズという割と詰んだ状態に早々と追い込まれてもしたので。川田騎手がというよりは枠を含めた並びとルメールが番手に行ったことによって終わってしまったなというのはちょっとそんな印象でした。

最後に私が昨日強調してましたスルーセブンシーズでありますが、もうこの馬は前に壁が全く作れない状態で、しかも状態もパキパキに仕上がっていたというところが誰の目に見ても明らかだったかなと思いまして。やはりそういったところも含めてまあの直線1周目の直線に入るところでもかかっていたりというようなところ。我慢が効かない形の競馬になってしまったなというところが、もうシンプルに反映された結果かなというふうに思います。改めて見直してみても、外枠から内に入れるタイミングというのは、スタートの出が悪かったことで、その時点で腹をくくって内に入れられたかどうかくらい。その後ですとほぼほぼタイミングは来なかったのかなというふうにも思っておりまして。こういう隊列になって馬群が凝縮するという展開は後付けで我々は語れるところではありますが、レースの前からそこまで読み切るというのは難しいと思います。結果的に枠順があのアダになったなとないうような競馬だったかなと思います。

レース全体で見てましても、本当に特殊なラップ、特殊な隊列になったところで。武豊騎手は後方にいるんで、前の状況見えないはずなんですけれど、最適解を自らの手で動いてつかみ取ったというところ。ああ本当に武豊すごいなぁと。ルメール騎手は今回完璧な競馬をしたと思うんですが、それ以上の打点を出せる騎手がいてそれがやはりこの時代であっても武豊だったというところで非常に見応えがあるレースだと思います。

蒼:ゆたさんのほうから、いかがですか?

ゆ:コーナーの回り方っていう意味で言うと、東スポのyoutubeで田原成貴元騎手が解説やってるんですけど、「小回りのコーナーは円で回っちゃダメだ。直線が何本もある、多角形を意識して馬を動かしていくと、遠心力に振られない」という話をしているんですね。まあわかるような、わかりきっていないようなと聞いてたんですけれども、今日の武豊コーナーリング。先ほどこひさんから前のを1頭ずつ交わしながら、ピタッと回っていくというのは、まさにそれを具現化したのかなと。まあ競馬を長く、田原氏を現役の時から見ていると、いろいろありましたけれども、こうフラットな解説が聞ける2023年っていうのはなかなか面白いなと思いました。

あとは武豊の名騎乗色々あると思うんですけども、今回は本当に武豊の腕で打たせた勝利だったような気がしますので、ベストライドのうちの1つとして上げられるようなレースだったなと思いました。馬が強いだけでなく、積み重ね、ベテランゆえの円熟の勝利っていうのを、50代の武豊が見せてくれたなという点。いやもう50代で本当にこんな競馬するんだなっていうのは、驚きというか感動というかしかないなと。

蒼:今年の競馬10代ニュースもちょっと少し書き換えなきゃいけないぐらいのニュースだった気もしますね。

ゆ:この秋はスポーツ的な要素でイクイノックスの強さにが感動してましたけど、ギャンブルとスポーツの狭間に生まれる、このエモーショナルのところをついてくる武豊のすごさというか競馬の面白さというのがね。ジャパンカップまでは綺麗な「スポーツとしての競馬ブーム」みたいな感じなんですけど、最後の有馬記念でちょっとそういう人情味というか、過去からの積み重ねというところでの競馬の面白さを見せられたっていうのは、競馬の1つの見方として非常に良かったレースだったのかなというふうに思いました。

蒼:何というかそういうレースはことあるごとに有馬記念なんですよね。

ゆ:いや本当に。オグリキャップ有馬記念とか散々擦られてきてるわけですけど、ここで改めてま武豊有馬記念に歴史が積み重なったっていうのはすごいなというふうに思いますね。

蒼:あとちょっと余談というか付け足しているかなんですけれども。田原成貴さんの話で。彼はかつて「ありゃ馬こりゃ馬」という漫画の原作もやってたんですけども、ゆたさんがさっきお話ししたコーナーの回り方がちょっと違う言葉で結構語られてました。買えるかわからないんですけど、漫画自体その面白いんでもし読んだことない人には強くお勧めしておきます。

ゆ:あーちょっと読んでたんですよ記憶はなかったです。そんな話したんですね。

蒼:コーナーを円で回らないっていうことを「ドリフトさせる」っていう言い方だったのですが、核のところは同じだったかなっていう気がします。

ゆ:令和の時代に武豊で、マキバオーの話をして、ありゃ馬こりゃ馬の話をする回顧っていうのは、ちょっと最近の競馬ファンを置いていってしまっているので申し訳ないんですけども、正直面白いですね。

蒼:そうですね。ぜひそういう昔のコンテンツ的なところでも面白い競馬物っていっぱいあるんで、まだ触れられるようであればぜひ遡ってみてほしいという思いも込めて、ちょっと掘り下げてみた感じです。ちょっとこひさんを置き去りというか黙らせたままにしてしまいましたが。

こ:いえいえめっちゃ面白く聞いてます(笑)。改めて結果を見てちょっと思ったところで言いますとあの今回あの1着から5着までの種牡馬ですね。ハーツクライドゥラメンテディープインパクトというところで、もうつけられない状態の種牡馬が上位を独占したなと。種牡馬も新時代が始まりかかっているという話が、どんどん盛り上がってきてますけど、こういう舞台設定ですと、まだそういったの新興勢力が食い込めないんだなところがちょっと思わされました。

あとスターズオンアースが今年あの最終的にG1だけ4戦使って2着2回3着2回みたいな形になっていたんですが、ふといくら稼いでるんだろうなぁと調べてみたら、4億円以上稼いでるんですよね。昨今の賞金が上昇していくことにより、1年を勝つことなく回って、4億円が稼げるというのは、ちょっと夢があるなと。何よりも今回この上位2頭がまだ来年も現役を続けていくであるというところですね。それに加えて4着ジャスティンパレスも含めて、4歳のところがまだまだ元気だなというようなところを見せつけてくれましたので。来年行くイクイノックスがいなくなりますが、やっぱり強い世代として競馬界を回していくんじゃないのかなというところは、改めて有馬記念に見て思ったところです。

ゆ:ドウデュースは上がり1位34秒3なんですね。改めて結果を見て思いましたし、武豊の追い込みっていうのは本当に癖になるというかすごいなというふうに思わされますね。前受けが強い時代になってきている中でも、こういうポジショニングの妙。でまあ4角では3番手にありましたけれども、上がり1位で上がってきて有馬記念を勝つと。昨日の展望ではルメールに想像を回られましたが、武豊はその遥か上を飛んだなと。

こ:あとはインタビューや場内の雰囲気ですね。やっぱりすごくいいなぁというのがすごく改めて思いましたね。人がもういっぱいな状態で行われる有馬記念で武豊のセリフの1言ずつに大きな歓声が上がるというのを見ていると、競馬ブームだと実感しますし、そんな有馬記念にまた行きたいなぁと。

ゆ:いつまでも武豊かに頼ってても良くないんですけれども、武豊のレース後のインタビューの雰囲気を若い競馬ファンにも味わってもらえたのは良かったかなと思います。インタビューの最初に「帰ってきました」と言ったときは、そのワード擦りすぎなんじゃないかなあとちょっと思いましたが、最後に「競馬はいいものですね」って言われたら、もう良いインタビュー、競馬は武豊と言うしかなかったですね。

第18回阪神カップ

こ:阪神カップというのは、レース自体が時期を経て形が結構固まってきたなと思っております。やはり今回特徴的だったのがマイルチャンピオンシップというのはエエヤン1頭だけであったり、スワンステークスからここを使ってきているのが非常に多かったりというところで、マイル1400mの間、路線としてちょっと違いが出てきたなというところを改めてメンバーを見て思ったところです。この阪神の1400mという条件自体が非常にリピーターが出やすいようなコースであるという印象ではありますが、今回もやはりこういう条件が得意だなというのがしっかり結果を出してきたなというようなレースになったかなと思います。

レースの方ですがスタートして外からウイングレイテストが行ってピクシーナイトの方も先行していったり、内からエエヤンもある程度のポジションを取りに行ったりというところで、結構入りが早くなったなという印象です。2ハロン目10.2秒3ハロン目10.6秒という形で10秒台のラップが2つ並んでいくことになりまして、結果的にはちょっと前は厳しいペースで流れていたのかなというふうに思います。逆にそんな流れである程度のポジションの方を取りながら真ん中から突き抜けたウインマーベルの現状の充実ぶり強さというところがかなり際立ったレースだったかなというふうに思います。

ウインマーベル自体も何度かこの芯力の回顧では結構運がなくて結果に結びつかないというような話をしてきた馬ではありますが、ひょっとしたら1200mよりも競馬しやすいんじゃないのかなというようなところを、その前の今年の春の京王杯スプリングカップも含めて、そういった印象の方は持ちました。そういう1400mの特性みたいなところが出てきているのかなというところ。そしてこの阪神1400は結構レース数がある条件にはなりますので、今後リピーターとしてしっかり活躍してくるんじゃないのかなというところを思わされるレースだったかなと思います。着差は大きくないんですが他の馬と比べると比較的2、3着、4着が後ろからの馬が来ている中で前でしっかり離したというところでちょっと1枚上だったなという印象でした。

2着のグレナディアガーズもこの条件のスペシャリストオブスペシャリストですし、これが引退レースになるだろうというようなところでしたが、ムーア騎手を乗せて外から自分の競馬をしたが、今回はウインマーベルの充実ぶりに敵わなかったというような形の2着。最後までしっかり能力というのは出し切ったレースだったのかなというふうに思います。あとは上手かったなと思ったら3着のアグリに乗っていたルメール騎手ですね。この714番なんですが、3コーナーから4コーナー最内を通って上がってきているというような形で、隊列が固まってからある程度前が早かったこともありましてバラけたというところで、すっと内のほうまで誘導しきって、ロスのない立ち回りをして一瞬勝っちゃうんじゃないのかなというような突き抜け方をしたというところ。ルメール騎手の上手さを感じました。またアグリ自身も差す競馬ができるようになったのは、横山典弘騎手でセントウルステークスで、後ろからの競馬がうまくはまって2着になったところからだったかなと思いますが、どんな位置からでも競馬ができるようなタイプに変貌しつつあるなというような印象です。多分こういった立ち回りの巧さで、どこかで大きな仕事をしてもおかしくないなというようなところの印象は今回は強く持ちました。あとは4着に突っ込んできた人気をするグレイイングリーンですね。アグリの後ろにくっついてアグリのコースをうまく走ってきたなというような印象で、これは岩田望来騎手もうまくルメールの後ろのポジションで回ってきたなと思います。

あとは最後一番人気だったママコチャ。5着というような結果になりましたが、1200を使ってきて、速めのペースに流れていったところで、ある程度ついていかざるを得なくなったそんな形での負けかなと思いますので、悲観すべき内容ではないかなというところ。今年どんどん距離を短くしてきた馬なんですが、ベストは1400mよりは1200mかもしれないなというような印象は、今日前の方に行ってしまったというところも含めて思ったところです。

蒼:ゆたさんからいかがですか?

ゆ:ピクシーナイトがかなり調教では動いていて、今回深めのブリンカーを付けるというところでどうなるかなと思ったんですけれども、ハイペースを先行して沈んでしまったという競馬になりました。なかなか復活厳しいのかなと思ったんですけれども、ムルタザエフ騎手のレースのコメントを見ると、かなりムキになって走っていたのと、だいぶ気持ちの面では良い部分が出てきたというコメントもありました。次走おそらくブリンカー外してくると思うのでここが本当最後の試金石になるのかなというふうに思います。復帰後は結構加減して馬が走っていたイメージがあった中で、今回最初からフルスロットルで走れたというのは一応良い傾向なのかなと最後一縷の望みを信じて考えたところではあります。

C103同人誌頒布予定のお知らせ

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「ディープインパクト 未来に遺したゲート」
オフセットA5 500円 31日(日)東ホ-30bにぜひお越し下さいませ。

C103 お品書き


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