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騎手と小回り適性には反省点あり?日本馬は好走止まりだったBC雑感(2023年ブリーダーズカップ回顧)


蒼山サグ(以下、蒼):早朝といいますか、米国のブリーダーズカップも行われた直後ということもございますので、まず軽く総括的にもしよかったらスピーカーのお二人に感想など聞かせていただければと思うんですが、まずはゆたさん、米国BCの感想などございましたらお願いできますでしょうか。

くらみゆた(以下、ゆ):はい、お願いします。今年のブリーダーズカップですけれども、日本馬は結構出走していて、昨日名馬さんにもいろいろ解説していただいたと思うんですけれども、頭数のわりには絶対勝てそうというようなレースのイメージはない状態でした。結果としてもなかなか簡単ではないなというふうには思わされたレース結果になったかと思います。

ブリーダーズカップフィリー&メアターフ

ゆ:こちらは勝ったのがインスパイラルというところですね。道中ではインでじっくり脚を溜めて、コーナーで外に導くと、短い直線で爆発的な末脚を見せての勝利というところ。さすがデットーリというような競馬だったと思います。その真後ろにポジションを取っていたのがウインマリリンですね。クリスチャン・デムーロが見事に真後ろを取ってコーナーも我慢すると、こちらは馬群を割って伸びての4着という結果になりました。直近の成績を見たら大健闘だったのかなという挑戦だと思います。

ブリーダーズカップフィリー&メアスプリント

ゆ:こちらはグッドナイトオリーブが力が違うような形での圧勝になりました。日本から出走のメイケイエールですね。こちらはほぼ競馬に参加できないというような内容だったと思います。正直日本でもうまく操れていないというか、乗れていない馬を何のために連れて行ったのかなと。しかもダートでというところがあるので。これレース前からどのレース出るんだというところも含めて、個人的には遠征ありきのレースだったのかなと思います。クセ馬人気に関しては若干引いてみてしまったところがあるかもしれないですけれども。ちょっと微妙な感じだったと思いますね。

ブリーダーズカップマイル

ゆ:こちらは後方から鍛えたマスターオブザシーズが、短い直線を一気に差し切っての勝利となりました。ソングラインは積極的にポジションを取るに行ったんですけれども、なかなか伸びきれずというところでの5着になりました。春、府中でのG1連勝も自分から動いてというよりは、戸崎騎手が柔らかく乗って長い直線で末脚を生かす競馬という形をしていました。この小回りを意識しての作戦ということで、早めにつけたんだと思うんですけれども、正直も人も準備ができていなかったのかなという印象でした。ベストかどうかは分からないんですけど、やっぱり1回は小回りのレースを使った方が良かったかなと。まあそうすると2000mだと札幌記念は厳しいし、みたいなところもあると思うんですけれども、だったらもうちょっと毎日王冠で前につけるとか、そこも少しやりようはあったのかなと思いました。

ブリーダーズカップターフ

ゆ:こちらはオーギュストロダンムーアが素晴らしかった、その素晴らしさ堪能できたレースだと思います。レース後のコメントだとムーア騎手「プランFだった」と言っているんですけれども、内ラチ沿いを追走して前にいたシャフリヤールが4コーナーで外を選んだ瞬間に、もう鋭角コーナリングでポジションを確保。もういつ入れ替わったの?みたいな感じのポジショニングですね。そのポジショニングで脚を溜めると、そこから本当に馬もそれに応える操縦性を見せて直線はもう一度伸びての勝利と。本当にとにかく強さ、馬も人も普通にそんな簡単にできるようなことではないレースをしたと思います。このレースを見ると来年も現役と言いたくなるのもわかるんですけれども、個人的にはというか、やっぱりディープの血をヨーロッパに残すことを優先してほしいなと思うところであります。シャフリヤールもよく頑張ったと思いますが、パンチに欠けるというかスタリオンの馬房争いにと言うともう一つ何か欲しいなという気がします。

蒼:フランFですが、F1フェラーリが使った用語らしいですね。僕知らなかったので調べたんですけど、それのオマージュかパロディーかだとのことです(笑)。

ブリーダーズカップクラシック

ゆ:こちらはホワイトアバリオが先行して押し切るという、夏から再上昇した力が本物だなというところですね。このレースは2着のデルマソトガケが立派なレースで、4コーナーでも手応え悪くなりながらも、直線を盛り返して勝ち馬に迫るというレースで、これまでの日本のダートを挑戦している馬とは一味違うところを見せてくれたと思います。若い頃から海外を使って先行力を磨いた結果だと思いますし、本当に来年も吉田照哉おじいちゃんとの夢を乗せて、音無調教師引退ワールドツアーを敢行してもらいたいものです。今日もサングラスがお似合いでした。(笑)

ウシュバテソーロは5着。早めに動いていったことで、ドバイワールドカップのときのペースと比べても厳しい競馬をしてしまったというところはあるんですけれども、やっぱり結果としては前が残っている。小回りの中で、どこかで加速して追いかけないといけないとなると、向こう正面から動かざるを得なかったのかなというところもあります。日本のダートで後ろから行って勝ってきた馬がアメリカで結果出すというのは難しいのかなと。もっと速いペースでの追走力を積まないといけないのかなと思いました。

総括

ゆ:全般的にはデルマソトガケの好走もあったんですけれども、ちょっとちぐはぐな感じがある日本馬の遠征だった気がします。2点あって、1つは騎手の選択ですね。ウインマリリンシャフリヤールクリスチャンデルマソトガケではルメール。何より小回り向きとは思えないオーギュストロダンを走らせているムーア。やっぱり乗り慣れていない競馬場で結果を求めるんだったら現地経験のある世界的なレベルの騎手にはこだわったほうがいいのかなとは思いますので。日本の騎手で乗せてよかったのは、この日は川田騎手だけだったのかなという気がしました。あとは小回りとペースのところですね。やっぱり馬をフィットさせる準備ができているのかなというところはありましたので、この辺は今回出走頭数が多かったので改めてわかった課題というか宿題だったと思うんですけれども、やっぱり府中で強い馬を普通に持って行ってもなかなか勝てないというところはありますので、その辺のワンポイント、バフを効かせる方法が必要なのかなというふうには思いました。ただ、ムーア乗せれば解決みたいなところもあるかもしれないので。一概に府中で勝ってるからダメとは言えないところがちょっと難しいなと。

蒼:ムーアも英国騎手なんですけどね(笑)。

ゆ:(笑)まあやっぱり今日の日本で大活躍したモレイラじゃないですけど、トップオブトップの騎手なら、そういう馬の慣れとかデバフも解消されちゃう面もあるのかなと思いました。

蒼:続きまして、こひさん一言お願いできるとありがたいのですが、大丈夫でしょうか?

こひ(以下、こ):今回のブリーダーズカップは結果的に日本馬勝つことはできなかったんですけど、割と連れて行った馬の中では実力が出せた馬もいたり出せなかったりもいたりというような形で、とはいえある程度チャレンジをするとそこそこは走れるんだなというところが見せてくれた結果だったかなと思います。私もやっぱり小回りもそうなんですが、タイトな馬群をさばける騎手が必要だなあというところがすごく思ったところではありまして、ちょうどオーストラリアのゴールデンイーグルオバンブルマイが勝ったレースも似たような形だったんですけど、やっぱり馬群がタイトな中で、勇気を持って囲まれてちゃんと抜け出してくれる、そういう経験をしてる騎手が最後の一押しには必要なんじゃないかなというようなところは、アメリカであってもオーストラリアであっても、ある程度ヨーロッパであっても変わらないところかなと思います。なかなか日本でその条件を再現するのは、日本の馬場が綺麗であったりとかそういったところも含めて難しいところがあるかなと思います。海外経験が豊富な騎手や、国内の騎手でも武者修行等を含めてそういった経験を積んでる騎手を育てていく。そういった形でなんとか壁を越えられたらなというようなところは思いました。また馬自身も今回、小回りがどうしてもダメっぽい動きをした馬も何頭かいたような印象ではあるので、そういったところの適性というところは冷静に見定めていったほうがいいんじゃないかなというところは思いましたし、逆にそういったところで適性のある馬は積極的にチャレンジしてもいいのかなというふうに思いました。印象的だったのはジャスパークローネターフスプリントで3コーナーで逸走しかけたような。ああいうところを見ていると、適性をしっかり見定めていく必要性、主にスタートからコーナーの距離やターンの数、最後のコーナーの角度から適性のある馬を炙り出していくと、より精度が上がるんじゃないかなと思いました。

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