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新星誕生と兵庫の悲願達成!新時代の息吹を徹底分析(JBCクラシック・スプリント・2歳優駿・レディスクラシック回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のレース展望スペース2023.11.03からの文字起こしです。


JBCレディスクラシック

JBCレディスクラシック 出馬表

こひ(以下、こ):まずはJBCレディスクラシックからになりますが、もう史上最高メンバーと言ってもいいようなメンバーになりました。その中でこのメンバーでは唯一のダートグレード競走に対しては初参戦となるアイコンテーラーが人気で優勝というような形になりまして、もう完全に新時代の到来を告げるような、そんなレースだったかなというふうに思います。

このレースのポイントになるのはもうこの路線はいつもでありますが、テリオスベルがいつ捲るのかなんですが、まあ今回の答えとしては、捲れませんでしたというところが答えになりました。実はよく見直すと出遅れもしてなくて、むしろゲートはすっと出たんですが、ちょっと砂が変わった影響もあったのか何なのか、いつも以上に行き脚がつかないところで、さらに1コーナー過ぎではライオットガールに前をカットされるような形で、これは鞍上の森騎手がうまく乗っていたんですが、そういったところもありました。なかなか外からまくり上げるポジションに行けないというところで、結局3コーナーで前に並びかけたんですが、そこでは若干カメラにも大写しになっておりましたが、お行儀が悪い形でノーブルシルエットに接触しつつ、直線最後までアイコンテーラーをかわせないまま終わるというような形にはなりました。それでも直線の半ばまでしっかり抵抗はしておりまして、この馬らしさと力は見せていた形にはなりましたが、やはりベストではない形になったなというふうに思います。この馬がいつ捲れるかは、ペースがどうであったかに直結することになるんですが、改めてラップを見ていてもテリオスベルが前にまくりきれなかったのは、この馬がただ行けなかっただけではなくて、ヴァレーデラルナ、アイコンテーラー、ノーブルシルエットの3頭が並走してペースが全然緩んでいなかったというところがあったと思います。ですので前にいた馬にはめちゃくちゃ厳しいペースだったなというふうに見ておりまして、それなのにアイコンテーラーが上がり最速で後続を突き放しているのは、もう1頭だけ別格であったと、それぐらい言い切って良い、圧倒的な女王の誕生だったのではないかなというふうに思います。

特にやはり2着3着が人気通りに今回になりましたが、乗り変わりがありましてモレイラ騎手になったグランブリッジも、いつもの競馬をしっかりやりきって、この馬の能力分というのはきっちり走れていたんじゃないかなと思います。また3着のアーテルアストレアですね。これは当然前走とは違う立場なので色気が出てやや人気のグランブリッジについていったというような形はありましたが、多分それがなくてもグランブリッジとの差がちょっと縮まった程度かなというふうに見えていまして、能力的なものは出し切ったかなと思います。これらの2頭が能力を出し切っている状態でありながら、上がり最速で先行して押し切るというのは、ちょっとアイコンテーラーの次元が違ったなというところが改めてよく分かる状態かなと思います。

その後ろですが、4着のスピーディキックですね。これは完全に距離ロスを最低限に抑えて少しでも上位を狙うというような形で走り切っての内容かなと思います。6着はライオットガールですね。この馬は若干案外だったかなというふうに思いますが、この馬は結構道中、積極的に動かしていくシーンが目立ちました。それが1,2コーナーであったり3,4コーナーであったり多かったかなと思いまして、そのあたりが最後ある程度バテ合いになったこの重い馬場とで耐えられなかったのかなというふうに思いますし、ちょっと計画的な乗り継ぎができずに迷惑をかけました岩田望来騎手は大いに反省していただきたいなというふうに思います。あとの有力勢で言いますと、レディバグはやはり距離と右回りでバランスを崩したのかなというところと、ヴァレーデラルナは今年に入ってからのパフォーマンスを見ているとピークは越したてしまったのかなというふうな印象です。

やはり牡馬の一線級とも戦えるというところは、すでにここまで示してきましたアイコンテーラーですね。さらにレースの上手さ、安定感、新潟から阪神で今回の新しい大井の砂まで含めてどこでも結果を残したというところを見ていましても、元々今年度の牝馬のダートグレード戦線非常にレベルが高いという話はしてきていたんですが、そのさらに上のレベルから殴り込んできたなというような印象ですし、チャンピオンズカップでも多分枠の並び次第では戦えるんじゃないのかなというふうに思っていますので、個人的にはぜひそこを向かってもらいたいなと思います。

あとは3着のアーテルアストレアですね。この馬がめちゃくちゃ中京が上手い馬なので、このまま向かうとワンチャンあるんじゃないのかなというのはちょっと前回から話をしているところなんですが、この2頭にはぜひそこを向かってほしいなというところと、あとは来年度からダートグレードの大きな流れが変わりまして、エンプレス杯が2月じゃなくて5月になってきますので、それ以外の馬たちについてはそのエンプレス杯をどう目指していくかというような形で今後それぞれのローテを選んでいくような形になるかなというふうに思います。

素晴らしいメンバーが揃って素晴らしい競馬になったという話をしてきたんですが、多分これに対して来年はペルアアであったりダートに転向して無敗できているサーマルソアリングであったり、そろそろ戻ってきそうなデリカダだったり、準オープンのミラクルティアラであったり、結構この路線にまだまだ来そうな馬がすでに見えているというところがさらに面白いかなというふうに思いますので、アイコンテーラーがある種新しい時代を切り開いた後に、そこから牡馬に戦いに行く馬がいるのか、新たにこの路線に殴り込んでくる馬がいるのかというところを非常に今後も楽しみにしたいなというふうに思います。以上がレディスクラシックの方の回顧になります。

JBCスプリント

JBCスプリント 出馬表

蒼山サグ(以下、蒼):続いてJBCスプリントの方の回顧に移っていただければと思います。よろしくお願いします。

こ:これはもうゲートがある種全て、いろんな意味でレースの方向性を決めてしまったなというところで、ダンシングプリンスが落馬して、せっかくこっちには間に合った岩田望来騎手が正座みたいな形で座っているように見えたのが印象的でありましたが、さすがこれが現役でも屈指のスプリンターというような形で、上に騎手もいなくなるとこれほどまでに速く走ってレースをかき回すことができるんだなというところで、逆の意味で感心するような動きではありましたが、それも含めて兵庫のイグナイターがここしかないチャンスを生かし切った、そういったレースだったなと思います。

先ほどのレディスクラシックでも言いましたが、やはり大井の新しい砂ですね。なかなか差しが決まりにくいというところがありますが、このレースも序盤が12秒2から10秒7、11秒5という形でかなりペース早い状態でありながら5頭ほどが横に並んで頑固するような展開になっていまして、最後はある程度みんながバテ合いになった、そういった類のレースだったかなと思います。その中でも一番踏ん張り切ったイグナイターが勝ちまして、兵庫勢として初のJPN1の制覇を成し遂げたというレースでした。やはり先行して抜け出して後続を振り切るというような形でハイペースの中を踏ん張り切ったというところではありますので、結果的にはポジション的にはカラ馬に絡まれなかった運はあったと思いますが、内容としては堂々とした完勝だったのかなというふうに思います。

2着でしたリメイクですね。リメイクはちょっとかわいそうなところはありまして、道中カラ馬に前でフラフラした瞬間というのが特に3コーナーの手前ぐらいでありまして、そこでポジションを上げていくタイミングが遅れたというところは事実かなと思います。それがあってなのか、砂の類なのか、体調なのかは分からないんですが、この馬らしくポジションを3、4コーナーで馬なりでポジションを上げていくような、そういったところが今日は見られなかったなというところで、直線で外に出してアクセルを踏むというような形になってしまいまして、そこの踏み遅れというのはちょっと悔やまれるような結果だったかなというふうには思いますが、いろんな複合的な要素が噛み合ってそうならざるを得なかったかなというふうに思います。

あとは3着のリュウノユキナですね。これは鞍上の横山武史騎手がかなりロスなく立ち回ってうまく乗っていたなというような印象で、直線も最後まですごくよく伸びておりまして、やはり大井のこの条件というところに向いているというところは見せつけたような内容だったかなと思いますし、体調も含めて本当にうまく手の内に入れてるなという印象です。あとはいわゆる古豪の方にカテゴリーされますジャスティンですとかラプタスも逆に、こういった消耗戦の力のいるレースであればまだまだ元気なのかなというところを印象づけるような先行からの大きく止まることのないレースだったかなというふうに思います。 カラ馬関連で一番大きく不利があったのは、ちょっと煽りがあって内ラチに当たるような感じがありましたケイアイドリーかなというところで、これはちょっと運がなかったですね。

勝ったイグナイター、この馬はこのレースに限ってみれば相手関係で2頭ほど強い馬がいなかったりですとか、舞台設定、あとカラ馬も含めて全てうまくいったのは事実ではあると思いますが、多分そういう運を引き寄せられるように人事を尽くして天命を待ってきた、そういったレースをいっぱいやってきた馬であり陣営でもあるかなというふうに思います。それが今回たまたま大きな花を咲かせる結果にうまくかみ合ったというところにはなるかなと思います。ですので来年はさきたま杯がJPN1にもなることもありまして、ここだけではなくもっとJBCスプリントだけではないタイトルの上積みというところも見込めるかなと思いますし、地方の雄でだいぶ長く活躍している印象はありますがまだ5歳ですので、まだまだ今後が楽しみだなというふうに思います。リメイクについては今回体調を含めていろんなところで運がなかったなというようなところはありますが、やはりこの路線の中心ではあるのは間違いありませんので、それが国内か国外かわからないんですが、来年はどこかでタイトルは取れるんじゃないのかな、というふうには思います。以上がJBCスプリントの方の回顧になります。

JBC2歳優駿

JBC2歳優駿 出馬表

蒼:続きまして門別に飛びまして、JBC2歳優駿の回顧にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

こ:ペースが速かったのかなというふうに見ておりまして、直接先に抜け出していたサンライズジパングを中段からゆったり構えていたフォーエバーヤングが強襲して突き抜けたというような内容になっておりました。特にレースをかなり冷静に後ろから見ていました坂井瑠星騎乗の好騎乗というところは光るレースであったかなというふうに思っております。

3着以降かなりちぎっていますので、上の2頭ですね。その2頭については今後に大きくつながってくるレースだったのかなというふうに思います。特に3着にシニスターミニスター産駒のブラックバトラーが大出遅れから後方ぽつんして直線どっから来たのというような脚で強襲してきたところを見ると、やはり前に行って2着だったサンライズジパングの方がより内容はあったんじゃないのかなというふうには思います。ただ北海道2歳優駿のときからそうなんですが、2着馬だと詰める賞金額が低く設定されているという問題がありまして、このレース2着をしても実は490万円しか積まれないんですよね。これは何気に一勝クラスを買って500万円を積むよりも10万円低いという絶妙な金額になっておりまして、若干これで苦しめられる可能性はあるかもしれない。そのためにも早いうちにもう1個勝っておきたいなというところかなと思います。

あとは今回JRAのワン・ツーというような形になったのも一つ印象的だったかなというふうに思っておりますが、この2頭なんですが、JBC2歳優駿っぽくなく、どちらも一言で言うとセレクトセールの高馬なんですよね。フォーエバーヤングについては藤田晋オーナーで、矢作厩舎のセレクトセール1億780万円のリアルスティール産駒ということで、サンライズジパングも私もぱっと見のサンライズのイメージだとセレクトというイメージなかったんですが、キズナ産駒でセレクトセールを7,040万円というところで、そういった高馬を新馬から砂で下ろしてみたり、2戦目でダートに持っていって勝たせるとか、そういった形でそもそもこのレースに使えるように勝ち上がらせてきた陣営のやり方というのもすごいなというふうに思いますね。よくこういった血統の早いうちにダートだと見極めていったなという、矢作先生と音無先生になりますが、やはりダートでも大きなタイトルを取られているトレーナーだけありまして、そういったところをよく見られているなという印象です。

あとはJRA勢で言いますと、エストレヤデベレンですね。この馬がこのペースでありながらやや掛かっていくような感じ。プラス新馬の際にもこのコーナーでタイトルがあまりうまくなさそうだなというようなところを確か言っていたと思うんですけれども、コーナーでもちょっともたもたしていて若さはありましたが、馬体ですとかそういった見てくれを見ていると、オープンクラスでもやれそうな馬かなというところは思っております。以上がJBC2歳優駿の方の回顧になります。

JBCクラシック

JBCクラシック 出馬表

蒼:ラストにJBCクラシックの方の回顧をお願いいたします。

こ:これまで各レースの回顧をしてきたんですが、JBCクラシックが正直レース内容で言うと一番盛り上がらなかったかなというところは率直には思います。そういったレースでありまして、前の2つのレースがそれなりに重い砂でありながら早めに流れて最後消耗戦になっていたんですが、このレースについては重い砂の中あまり流れず比較的前が残ったというような形で、緩めのペースで進んでいって隊列通りに決着をしたというようなレースであったかなと思います。またこれまでこの路線でトップクラスで一線級で戦ってきましたテーオーケインズメイショウハリオのパフォーマンスについては正直案外だったなというふうに思っておりまして、そういったところが今後も含めてどうなっていくかというところがすごく大事になってくるレースかなというふうに思います。

今回勝ったキングズソード。この馬が上がりも最速で先行して外の3番手から上がりのほうも他の馬と比べて約1秒ぐらい早い形でまとめて差し切るというような形で、4番人気ではありましたが完全に中身としては完勝だったのかなというふうに思います。この馬は中央のオープン連勝してきてここに来ているという臨戦過程ではあったんですが、その時の内容と比べてもさらにかなり高い打点を出してきたなというような印象ではありまして、血統的にも地方のこういったダートのほうが実は向いている馬だったのかもしれないなというところをちょっと思わされた、そういったレースではあったかなというふうに思います。

2着のノットゥルノ。この馬は前走が全然ポジションが取れなかったんですが、意欲的な追い切りをしてマイナス27キロという形で絞れたプラスすんなりと先手が取れた、少頭数だったというようなところで、いろんな条件が揃ったこともあるんですが、久しぶりに持ち味をフルに発揮できたレースだったかなと思いますし、見るからに乗り難しそうな馬を手乗りで森泰斗騎手がよく乗りこなしたなというふうに思います。最後もしっかり差し返しておりまして、非常に内容も濃く、やはり大井のこういう条件ですんなりいけるんだったら結果は常に残すタイプの馬なんだなというところで、コースや展開など走るパターンというのは分かりやすい馬なんじゃないかなというところは改めて思いました。

一番の問題が3着だったテーオーケインズですね。正直言いますと、勝ちパターンだったかなと思います。道中の位置取り、ペースを見ていると2番手につけていって、結果的にあれだけ残っているノットゥルノにしっかりプレッシャーをかけていくというところを考えると、レースの運びとしては理想的に運んだというふうには思ってはいます。それでありながらノットゥルノにも差し返されての3着というような形で、先ほどキングズソードの上がりが圧倒的だという話しましたが、キングズソードと比べても上がりタイムで1秒遅れているというようなところで、今日のところは完敗というような内容だったかなと思います。2コーナーから3コーナーとほぼ隊列通り流れて決まっているレースだということを考えると、正直ちょっと衰えを帝王賞に続いて感じさせられるような内容ではありまして、ひょっとしたらこの馬のピークというのは過ぎているのかもしれないなというところは思わされました。

あとは4着のメイショウハリオですね。伸びきれなかったなというところで、上がりの時計で言いますと先ほど言いましたテイオーケインズと比べて0秒1早いだけというところで、結果的には前の馬たちと比べても同じぐらいの脚しか繰り出せなかったというようなところでした。この馬はもう皆さんご存知の通りの大井のスペシャリストと言われても、砂が変わればどうなるか分からないというようなところの不安というのがまさに的中してしまった形かなというふうには思います。ただ一点、直線で前とのペースとか差を見ながらで今日のところの選択が悪いわけではなかったんですが、内を突いての直線を迎えたというパターンではあったので、それが良かったのか悪かったのかみたいなところはひょっとしたらあるのかもしれないなというふうに思いました。

あとはウィルソンテソーロが、やはりこのレベル、プラスこの馬場状態を含めるとポジションなりでちょっと回ってくるしかなかったかなというようなところで、比較的全馬ある程度能力を出し切れる少頭数、プラスペースであった割には、多分皆さんの当初思っていたパフォーマンスとレース結果というのは結構変わってきたなというようなところで、今後の主に地方を中心に繰り広げられていく中距離戦のところについては、ちょっと力関係を毎度見直していかないといけないなというような印象のレースでした。

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