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精神面で一枚上手だった勝ち馬。そして気性Cが伝わるモーリス産駒の明日はどっちだ?(第75回朝日杯FS・第9回ターコイズS・全日本2歳優駿・神奈川記念回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のレース展望スペース2023.12.17 16:30~からの文字起こしです。

第75回朝日杯フューチュリティステークス

第75回朝日杯フューチュリティステークス 出馬表

蒼山サグ(以下、蒼):こちらは全体的な総括、まずはゆたさんからよろしくお願いします。

くらみゆた(以下、ゆ):昨日の展望でですね、川田騎手がどういうふうに乗るかというところで各騎手との駆け引きについて、ちょっと触れました。しかし残念ながらというか二歳戦だったからというところはあるんですけれども、結果的には賢さ、知性の差というか、モーリス産駒の難しさで、ちょっとバタバタしたレースになってしまいました。そんな中で冷静に走れたジャンタルマンタル川田騎手が快勝したという結果になったと思っています。

レースなんですけれども、まずシュトラウスが後手を踏んでしまったところから、ちょっとも怪しい雰囲気になります。一方でジャンタルマンタルは素晴らしいスタートを決めてます。ハナは予想通りセットアップが取るという展開になりました。で、外からクリーンエアタガノエルピーダは内ラチ沿いから結構前につけましたね。その前にダノンマッキンリーがちょっと頭を上げるような形で3番手というところになっています。これで隊列が決まるのかなと思ったら、画面の外からぶっ放されてきたのがシュトラウスというところで(苦笑)。まさかの3ハロン目で加速していて前半が12秒5、10秒9、10秒7という流れ。本当に最後の直線並みの脚をここでシュトラウスは使ってしまうという形になりました。ハナに立ってからは、少し落ち着いたということにはなったんですけれど、もちょっとバラバラとした距離感での馬群になりまして、これでハマったのがジャンタルマンタルですね。前でフラフラしているダノンマッキンリーとかもいたんですけれども、内から早めにかわして、直線では前が空いたらすぐにそこを取りに行くという形で進路を確保。シュトラウスが垂れてくるところを見越した、危なげない進路取りで川田騎手は流石だったと思います。結果的にはそのまま押し切る形でG1制覇。2着はなんと1枠だったんですけれども大外から突っ込んできたエコロヴァルツ。3着に最後まで残したタガノエルピーダというレースになりました。

勝ったジャンタルマンタルはとにかくレースセンスが良くて川田騎手の騎乗ともぴったりハマったと思います。今日の出走馬の中では精神面が一枚上だったなという結果でした。パリスマレスを輸入したダーレーは大勝利です!という感じだと思います。一方で鮫島騎手の手には戻ってこなそうだなというところでなかなか厳しい結果になったかなと思いました。勝ち馬については本当に綺麗に走らせたところが一番だったと思います。

2着のエコロヴァルツですね。こちら最初の1ハロンくらいは先行するぐらいの勢いだったんですけれども、ちょっと馬が勢いを見せたところでスッと下げて結局最後方まで一旦下げる形になりました。3,4コーナーでは動かずに直線で外に出すと、そこから素晴らしい伸びという形での2着。武豊騎手はケガからの復帰明けだったんですけれども健在を見せつけました。このレースができるんだったら来週の有馬記念のドウデュースも楽しみだなというふうに思いました。一方でこのタイミングでレースパトロール見ていると3コーナーからなぜか外から動いたのがナムラフッカーの松山騎手。これ先週のG1初騎乗の永島まなみ騎手みたいな騎乗だったので、それはどうなのかチラッと思ったところです。3着に残ったタガノエルピーダ。今日の出走馬の中で一番強い競馬と言っていい内容だったと思います。昨日タガノテイオーの名前出したんですけれども、タガノ史上最強を目指せるかもしれない器かなと思いますので、あとは賞金をどう積んでいくかというのが課題なのかなと思っております。

ここからは残念になったモーリス産駒三銃士という形なんですけれどもまずはシュトラウス。これはマーカンド騎手何してくれたんだという競馬になっちゃいました。出遅れはともかく、ここでガッツリ抑え込まなかったのは、今後のレースでちょっと精神面でまともに走れなくなる可能性が高くなりますので、ここは勝ち負けはさておきしっかり抑え込んでほしかったところだったと思います。ズブイ馬を動かす技術っていうのは本当にマーカンド騎手は優れてると思うんですけれども、やっぱりこういう前進気勢が強い馬っていうのは、乗り慣れてないのかとにかくひどい内容だったと思いますね。調教師が外国人騎手にはこだわってますみたいなことは書いてたんですけれども、横文字の騎手なら何でもいいというわけではないので、ちょっとハーツコンチェルトの時にも触れましたけど、武井厩舎の戦略っていうところは本当に大丈夫なのかなというところは気になるところではあります。一方でこれだけバカな競馬をして実は0.8秒差っていう競馬で粘っており、フィジカル面の良さというのは確実なので、この先ピクシーナイトになれるのか、クファシルで終わるのかちょっと岐路にたっているのかなと思います。今日のレース内容を見て思ったのは本当に一言で言うと「令和のブルーイレヴン」だなと。そんな称号を与えたいなと思いました。

蒼:「僕には乗れません」という言葉が聞こえてきそうですね(笑)。

ゆ:ホントに。武豊に乗れませんって言われて、角居元調教師がショックを受けたというエピソードが有名ですけど、いやこれ本当次走以降誰が乗ってくれるのか、不安になる内容だったと思いますね。あとはダノンマッキンリーの方ですね。こっちも道中かなり力みながらの走りで力出しきれませんでした。ミルテンベルクの方は能力的にちょっと足りなかったのかなという印象でした。モーリス産駒3頭出して特にダノンマッキンリーシュトラウスはフィジカル的には素晴らしいものあるはずなんですがやっぱりちょっと頭がヤバいなと改めて思いましたね。

グラスワンダーがあんなに大人しい馬だったのに、どうしてこうなってしまったんだろうとと思わざるを得ないところがあって、ちょっと血統表を眺めたんですが。我々の世代からするとやっぱりモガミなのかと、気性Cのモガミが悪いのかという気にさせられるところがちょっとありますね。まあ今年の2歳世代っていう意味で言うとモーリス産駒は真打ちダノンエアズロックがまだいますし、堀師にしっかりと矯正されてると思いますのでちょっと期待をして待ちたいと思います。この狂気をコントロールできればきっと父系もつなげるんじゃないかなと信じております。

全体としては上がり上位馬が上には来てるんですけれども、父パリスマリスカーリンですし、ブラックタイドキズナキズナと来てますので、どちらかというとスプリント色が強いというか、オーストラリアっぽいというか。末脚の削り合いっていうようなレースだと思います。来年の春と考えると東京の芝2000とか2400で求められる適性とはだいぶ違ったのかなと思いますので、今日の出走馬についてはマイルまでということで考えてみようかなと思っております。はい、以上になります。

蒼:ちょっとこひさんに行く前にちょっと小ネタハサミなんですがモガミは我々世代の気性難で有名なんですが、どうやらダイナアクトレスもヤバかったらしいですね。

ゆ:まあモガミダイナアクトレスがいなかったら、グラスワンダー系も繋がらないので文句は言えないんですけど(笑)。なかなかこう、血統の奥から主張してきますね。

蒼:そうかもしれませんね。では続きましてこひさんの方にお願いします。

こ:はい、今回のレース終わってみればジャンタルマンタルの完勝ではありましたが、川田騎手、勝手に道が開いたように直線だけ見えてはいるんですが、結構繊細なポジション争いを防いで丁寧に乗ってきたなというような、そんな印象でした。特にゲートが出た後に、一枠の方の2頭ですね。エコロヴァルツミルテンベルク。この3頭で結構ごちゃごちゃをしていたんですけれど、周りも見ながらうまく内側にエスコートしつつ、外側にいましたダノンマッキンリールメール騎手もケアするようなそんな形で非常に心にくい配慮をしていたなというふうに思います。今日のレース自体が出入りが非常に激しい競馬でしたので今回、鮫島騎手から川田騎手に乗り換わって当たり前のように勝ったというのはそうなんですけど、誰が乗っても勝てた競馬ではなかったなというところは改めて見直していて思ったところです。

その序盤のごちゃつきもあってかエコロヴァルツ武豊騎手は腹をくくった形で最後方待機というところを思い切って取ったなと思ってまして。先ほどゆたさんの回答にもありましたが、本当に直線に入るまで動かずに、他の馬と比べて一番最後に動くというような形で、この乱れたペースの中で大外から一気に伸びていくというところ、ブランクはありましたがさすが武豊やなと。来週に向かってバッチリだなというような印象でした。先ほどゆたさんの方からナムラフッカー松山騎手もありましたが、同じような形で動いていたのはジューンテイクデムーロ騎手ですね。この辺りは早めに動いてしまって、それが最後ジューンテイクタガノエルピーダを捉えられなかったところなのかなと見ていまして。後方待機の馬が結構上位に進出してきましたが、そのあたりのところで最終的に馬券になったならないや着順の差というのは割と騎手の差の方が出ているというのがこのレースの印象です。

そして3着タガノエルピーダですね。この馬は昨日私もピックアップしたんですが、その時は瞬発力勝負になるならという予想して、この馬をピックしました。ただ完全に今日のレースは正反対だったかなと思います。そういった形でありながら父キズナらしく非常にしぶとい脚の方を使いまして。先行していたんですが追い出しも正直ちょっと早く、あまり溜めてなかったところもありましたので、そういったところでも最後まで脚を使って止まらずに頑張り抜いたというのは、ちょっと普通の馬では明らかに止まっていたポジショニングの乗り方だったと思ってます。キャリア2戦目。スローの瞬発力でデビュー戦を勝って、今日みたいなペースでも結果が出せたというところを考えると、これは来年の桜花賞に向けて非常に楽しみな存在になってきたなというふうに思います。ここからはローテーション的にどこで賞金積むかという難しいところがあるかと思いますが、基本的には積んで本番に来れるレベルの馬ではないかなというふうに思います。

あとは負け組のところで気になったところで言いますとまずダノンマッキンリーですね。このあたりは朝日杯で昔から言われているマイル経験の無さというところがやっぱりジンクスとしては重いなというようなところを改めて思わされたかなと思います。あとはシュトラウスですね。この馬ちょっと僕もびっくりしたんですが、今のJRAのレースですと時速表示が下に出ますが、この馬がハナ奪っていった時の時速68キロだったんですよね。ここで行くかという感じで一番きついところでハナを奪っていったと。(3ハロン目では)あまり見たことがない数字だなと思いました。その後行き来ってからは意外にちゃんとペースを落とせたので、結果的にはやっぱり出遅れなければという見方もあるかなと。出遅れないで早めに諦めてハナに行ったら、もうちょっと早くペースを落とせたという可能性はあったかなと思いまして、こういったところも一つこの乱ペースを作ったところの展開のあやかなとあります。

あとは先ほどもコメントありましたマーカンド騎手ですね。私この馬の取捨をどうしようかなと思ったときに、マーカンド騎手あまり逃げるイメージないなと思って調べたんですが、今回来日してからこのレースの手前まで逃げたレースって1回だけだったんですよ。なので今回のこういう舞台設定とうまく考えると意地でも抑え込んでやってくれるんかなと思ってたんですけれど、ダメでしたというような内容でした。やはり外国人騎手なら誰でもいいんじゃなくて、その中のキャラクターというものをちょっと考えて乗せないといけないな、そういった考え方は大事だな、というところが改めて今回からも出たかなというふうに思います。あとここからクラシックとなるとなかなか難しいかなと思いつつも意外にこのペース番手でくっついていったセットアップがそこまでバテ切らずに残りました。こういった馬がひょっとしたら皐月賞である程度流れた時とかに出番があってもおかしくないなというところだけはちょっと思いました。それ以外はやっぱり基本はマイルかなと思います。はい。以上です。

蒼:すいません。今日もう一個コメントを挟みたいんですが勝ったジャンタルマンタルが社台レースホースの一口募集馬だったので、ちょっとカタログ見返してみました。紹介文を読んだら締めの一文が「父が鎬を削った北米競馬さながらのレース運びで歓喜の瞬間を迎えるでしょう」と書いてあって。おっ予言者かと思ったんですが、まあ芝だとは思ってないよなということ思いました。

こ:はい。それにしてもダーレーはこの結果めちゃめちゃ嬉しいですね。

蒼:そうですね。もう結構インパクト強いですからね。この血統で芝が走れてもちろんダートに振れても大丈夫であろうというのは相当数を集めるような気がしますよね。

こ:社台ファームがどれくらいパレスマレス付けに、ダーレーへ行くか楽しみですね。

第9回ターコイズS

蒼:中山のターコイズステークスの振り返り。こちらはまずゆたさんの方からよろしくお願いします。

ゆ:お願いします。基本的には見たままの印象通り、スタートからペースが緩め、ただしその後はペースがあまり緩まなかった。平均的なペースで流れていったので内枠が優位、そしてルメールがうまかったと。そういうレースだったかなと考えております。

レースなんですけれども、フィールシンパシー、内枠を活かして逃げる形を取りました。2番手からサーマルウインドサウンドビバーチェそれから4番手フィアスプライド。後ろにミスニューヨークソーダズリングというような対決になっておりました。基本的にはここまでしかレースに参加できなかったのかなというような流れになっております。とにかく前半が遅くてですね。12秒2、11秒3、11秒7で前半3ハロンが35秒2という流れだったので、かなりゆるゆるのスタートとなっております。ただそこからはちょっとずつ踏んでいくという形で11秒6が2つ続くという流れになりまして前半、1000mで見ると58.4秒という流れになりました。中団より後ろ、結構馬群が縦長に伸びてたんですけれども、後ろに詰める隙を与えないような展開になっております。ダラダラと末脚を長く使わせるような流れで直線に入りました。直線入り口ではきれいに進路を確保したフィアスプライドが粘るフィールドシンパシーをかなり余裕の手応えに差しての勝利という風になりました。

勝ったフィアスプライドは一番人気だったんですけれども今日もルメールが本当に上手かったと思います。ゲートをしっかり出すと4番手を確保して道中も馬場の真ん中あたりを走らせることで結構これによって外枠では距離ロスの多い競馬を強いられてました。一方で内枠には3連覇を狙うミスニューヨークがいたんですけれどもこちらでは外を出させる隙を与えないという形になっています。結果的には自分が一番馬場の良いところを走る。ミスニューヨークは本当はなるべく馬群の外外からかわすような競馬をしたかったけれども内ラチ沿い、馬群の中を走らせる競馬。外枠勢にはのポジショニングで後手後手に回らせる競馬という形で、本当に一番人気として完璧な競馬だったと思います。ハンデも手頃でしたし、騎手にルメールを確保できたというところで今日は陣営に全ての風が吹いたような勝利だったと思いました。

2着のフィールシンパシーは良い逃げっぷりでした。横山琉人騎手はヤングジョッキーシリーズの優勝からの流れだったと思うんですけれども、こういう競馬をしてくれると結構次も乗せたいなというような思わせるような良い競馬だったと思います。3着ミスニューヨークはリピーターが強いレースで2連覇中だったというところもありまして、良いレースだったんですけれども、ちょっと今日はハンデが重かったというところ。あとやっぱりルメールが1枚上でというか、やりたい競馬をデムーロ騎手をさせてもらえなかったのかなというふうに思いました。以上になります。

蒼:ありがとうございました。こひさんの方からはいかがでしょうか?

こ:このレースの印象は冒頭で、ゆたさんがおっしゃっていただいたような形で内枠有利でルメールが上手かった。ほぼほぼそれに尽きるのかなというふうに思います。逆にレース見直していて、あまりにも可哀想だなと思いましたのが外の15番枠からスタートしましたコナコーストですね。この隊列でこの枠を引いてしまった時点でどうもならないというような形で、一周回って終わったというような印象でした。実績がある割にこのレースでも今5番人気という形で人気が薄かったので、今回のこの10着でさらに人気が下がるようでしたら、マイル戦で言いますとそこそここの世代では上位のパフォーマンスを多か所含めて出してきている馬だと思いますので、今後狙いたいなというふうに思います。以上です。ありがとうございました。

蒼:ちょっと個人的に思ったことなんですけど、このレース毎年そういう傾向があるとはいえ、2着がベーカバドで、3着がキングスベスト。キタサンブラックとドゥラメンテは沈んだというところで、それっぽい語りができそうな中で勝ったのがディープインパクト。文脈がつなぎづらいという流れで勝ちきるという意味で、やっぱりディープインパクト偉大だなとちょっと思ったりもしました。

こ:そうですね。それに本当にルメールはよくこの馬でポジション取りましたし、イクイノックスが引退式するおかげで乗ってくれたみたいな側面もあるかもしれないので、なんかいろいろうまくハマった勝利でしたね。

2023年全日本2歳優駿

蒼:全日本2歳優駿の振り返りをよろしくお願いします。

こ:はい、このレースは今年につきましては正直非常にJRAでメンバーが揃ったなというのが印象でございました。2歳のダート戦というのは一勝クラスから勝ち上がった馬同士が当たる形になりますが、それぞれが結構レベルが高いレースになりがちというところがあります。このレースにつきましてはそういった形で強いメンバー同士で当たった2勝馬が兵庫ジュニアグランプリの1,2着して参戦してきたりとか、JBC2歳優駿の勝ち馬フォーエバーヤングが参戦するというような形で、かなり今のダート路線のメンバーがきっちり揃ったレースだったかなと思います。それだけに終わってみればフォーエバーヤング7馬身という圧倒的な差をつけて勝ったというところにつきましては、非常に価値があるなと思っております。

レースとしましてはフォーエバーヤングに乗っていた坂井瑠星騎手の思い切りが良かったなという印象でして、前走JBC2歳優駿から来て川崎と考えますと、ちょっとついていけるのかなとか、そういったところのリスクはあったかなと思います。ただスタートを決めてそこからしっかり出していきまして、外の2番手を取るという非常に積極的な競馬の方をしていきました。結果的にはこれが砂をかぶることもなく、自分のペースで走れるという点でも最適な騎乗だったかなというふうに思います。今の川崎の馬場的にもなかなか後ろの馬が差してきづらいというところがあったにせよ、3コーナー4コーナーからは後は後続を引き離す一方というような形に持ち込みまして、2着以降と比べると上がりタイムで1.5秒以上の差がついているというのは、ちょっとどうにもならないレベルの差を見せつけた快勝だと思います。

来年のダート三冠路線に行くのか、海外に行くのか、いい意味でそこがわからないような抜けた勝ちっぷりだったかなというふうに思います。とはいえこのレースを勝ったからといって、南関東の三冠ダートに直行できるわけではなく、必ずトライアルで権利を取らなければいけないという難しさもあります。そういったところを含めて、どういうふうなレース選択をしていくのかなというところは見物かなと思っています。あと面白かったのが、父がリアルスティールで、ちょうど同じタイミングで社台スタリオンからブリーダーズSSの方に行くというニュースが出ていました。ダートで潰しが効くというところは改めて強烈に示せたかなというところで、その後すぐに満口になったというニュースを含めて、非常に父親孝行もできたような勝利だったのかなというふうに思います。

負けた組で言いますとちょっと大負けしました。サトノフェニックスについてはスタートでちょっと後手を踏んでから挟まれてという不利が重なったというところで、パフォーマンスは出せないような印象だったかなと思います。イーグルノワールについては内から外に出すという形で、これは逆にフォーエバーヤングと逆の形で、枠順的な乗り難しさはあった中ではうまくこなして2着という競馬だったのかなとい思っています。

ちょっと気になったのはやはり3着に入りましたサントノーレですね。この馬は元々道営からの遠征で、鎌倉記念を勝っている形で遠征競馬にしっかり結果を残してきていて、今回地方馬最先着の3着というところ。父がエピカリスというのがまたいいのかなというふうに思います。父エピカリス、父父ゴールドアリュール、母父サウスヴィグラス、こういったところが走ってくると日高で似たような結果が出てくるのかなという期待もあります。ダート三冠の形態が変わってきますので、道営からチャレンジするのか南関東に持っていくのかというところも含めて、陣営の選択がちょっと注目かなというふうに思います。

蒼:出走順とかが結構複雑になっているので、一度この芯力スペースでどこかで整理するタイミングがあってら整理したいですね。ということで、ゆたさんから何かコメントはございますか。

ゆ:そうですね、2点ほど。まずは藤田オーナー早くも結果を出したので、ブレーンというかレーシングマネージャーというか、いいバックアップがあるんだなというのを改めて思わされました。シンエンペラーも控えていて、もしかしたら来年イギリスダービーケンタッキーダービーに有力馬を送り出す可能性もあって、そうなったら関口房朗以来の派手馬主として名を馳せるのかなと思いました。あとは個人的にはフォーエバーヤングの下の妹のキズナ産駒にを出資しているので、上が走りすぎると逆にプレッシャーが強くなるというところですね(苦笑)

2023年神奈川記念

蒼:神奈川記念こちらの回顧をこひさんの方からよろしくお願いいたします。

こ:なぜか川崎競馬も最初で最後みたいな謎の煽りをしていました。本当に謎の多い重賞でした。川崎記念が2月から5月に行く分の穴埋めと言いながら、なぜこのタイミングで川崎のダート1600。しかもなぜ賞金別定というルールでやってしまったのか、レース前から非常にクエスチョンが多いレースでしたが、終わってみても私もなぜこのレースがこの番組表に入ってしまったのかという謎は解けないままでした。

まず冒頭触れましたが、この謎の賞金別定ですね。このルールがこのレース本当に意味がわからない形になったなと思っておりまして。賞金別定というところで一定の賞金を加算すると斤量が上がっていくというような形なんですが、そこでJRA勢と地方勢でカウントの仕組みですとか、それぞれ賞金の扱い方が違うというところもありまして、このレース出走していました地方総大将のポリゴンウェイヴですね。これが58キロを背負っていました。JRAから来ている3歳はですね、両方ともこの重賞戦線で結果流して残していたオマツリオトコ56キロ、ユティタムに至っては55キロという形で、もはやハンデ戦になっていないハンデ戦みたいになってしまいました。地方でいろんなところで入着してしまった賞金がまとめて合算されるパターンと、JRAは皆さんご存知の本賞金みたいな形の違いもあったんですが、非常に謎の多い負担重量になっていたかなと思います。そういう意味ですと、牝馬の3勝クラスを勝ち上がってきたばかりの2頭。こちらは比較的他の馬と比べると恵まれたというような形になりまして、終わってみましたら、なかなかダートのオープンクラスでは珍しい牝馬同士のワン・ツーというような形になったレースだったかなと思います。

レースとしましては、本当に勝ち馬ヴィブラフォンのホリードイル騎手がめちゃくちゃ上手かったなというような印象でした。自らちょうど前走ですね、福島のほうのダート1700というような条件で、自らがまたがって勝たせたというところもありましたが、ある程度先行していきまして早めに後続に対してセーフティーリードを取るというような形。先ほども触れましたが、川崎はちょっと後ろからの差しが効きにくいというところの特性も含めてほぼ完璧に乗った競馬だったかなと思います。逆にもったいなかったなと思ったのが、キャリックアリードの方でした。こちらはスタートからあまり積極的にはいかずに後方から構えてというような形の競馬になってきまして、直線では最後外に出してからいいよ伸び脚の方は見せました。上がりの時計的にはヴィブラフォンよりも出ているんですが、位置取りの差がそのまま結果に出てしまったなというようなところと、このままもうちょっと器用な競馬ができるタイプだなというふうに思っていたので、もう一列前にいればなという思いでは見ていたところです。

あと気になりましたのは3着ユティタムですね。ジャパンダートダービーの熱中症以降が気持ちの部分で問題があるというコメントを川田騎手がしていましたので、ちょっと今後の取り扱いについては難しいところがあるなというところを改めて思わされました。終わってみますとこれ3頭全部が前走福島ダート1700m組みたいな形になってしまいまして、この小回りでタイトなダートで1600mというようなところで左回り右回りの違いはあるものの、福島競馬場でやったオープン競走だったなというような、そういう印象が改めて結果を見て思っていたところでございました。そういう意味でも冒頭言いましたが、なぜここにこんな条件のレースが出てきたのかというのが本当にわからないままではありましたが、良かったのはここで賞金を詰めましたヴィブラフォンですね。賞金は一着でも2000万ということで普通に中央のオープンよりは賞金が安い形にはなりますが、金額的には1000万を本賞金に積めることになりまして、このレースができたことによりまして牝馬ダートグレードの枠に入れる可能性が結構高いポジションまできたかなというふうに思います。ただ今後ちょっと誰が乗るかも分かりませんが、今日のレースのパフォーマンスとしては何かすごく傑出したというような印象はあまりなく、上手い立ち回りで勝ったというところがありますので、いきなりあちらの一線級と当たった時には若干今のところはどうかなというような印象です。神奈川記念の回顧は以上になります。

蒼:ありがとうございました。ゆたさんは何かコメントございますでしょうか。

ゆ:はい、そうですね。私もこのレース何だったっけと思いながら見てて、ちょっと気になったんですけれども(苦笑)。地方も今後国際格付けを取りに行く方針ではあるはずなので、こういう曖昧な賞金が高い「重賞」という名のよく分からないオープンレースというのはあんまり作れなくなってくるのかなと思います。それだけに将来的に見ると、これなんでこんなとこにこんなレースがあったっていうの本当によく分からなくなりそうだなとは思いました。地方の格付けっていうのはなかなかみんな気を使って甘い言い方をしてますけれども、先ほどの全日本2歳優駿も「JPN1と書いてジーワン」と呼びつつ、国際的にはリステッド扱いではありますので、早く国際格付けが取れるようになって、もうちょっとスッキリレースが見れるようになるといいなという風には思いました。

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