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2月の府中でキズナ産駒が大爆発!過去最高の繁殖の質は春クラシックに繋がるか(第58回共同通信杯・第117回京都記念・第59回クイーンカップ・2024年クイーン賞回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.02.11 16:30~からの文字起こしです。


第58回共同通信杯

第58回共同通信杯 出馬表

蒼山サグ(以下、蒼):東京第11R、共同通信杯への回顧。こちらは、まず最初にゆたさんの方からよろしくお願いします。

くらみゆた(以下、ゆ):はい、お願いします。朝日杯勝ち馬のジャンタルマンタルが出てきたというところがありましたので、日本ダービーに向けて力関係がだいぶ見えてくるレースというのが、今回の共同通信杯の戦前の位置づけでした。ただレース内容がどスローで、上がりに32秒台が連発するようなレースになりましたので、レースの評価は難しいかなというところです。ただ改めて見ると勝ち馬はちゃんと評価しなきゃいけないかなというのが印象です。

レースなんですけれども、スタートで逃げたのが田辺騎手のパワーホール。2番手には前走で追い込んだエコロヴァルツジャンタルマンタルも好スタートで好位につけるスタートとなりました。とにかくこのレースでポイントになったのは、この後の2ハロン目の動きですね。一気にペースを落としにかかった田辺騎手によって、スピードメーター表記もガクッと50キロ台に落ちました。この直前ぐらいからですね、戸崎騎手ジャスティンミラノがグッとポジションを上げていったというところがありまして、ここで一つポジションを取った、かつその後そのまま上手く前に馬がいなくても折り合いをつけられたというところが一つ、ポイントだったかなと思います。

一方その流れで明暗を分けたのが2頭、まず真ん中にいたジャンタルマンタルですね。こちらは外からジャスティンミラノにかわされたことで、ちょっと力んだ仕草を見せました。週中も前進気勢が強くなったと言われながらも、折り合いをつけられたのが川田騎手の上手いところだと思います。うまく追走できたところが、2着を外さなかった原因だったかと。一方その一つ後ろで力みっぱなしになったのがミスタージーティー。結果的に落ち着くまでにかなり時間がかかって、ポジションを下げる結果になりましたので、これはかなり大きなミスというか、レースに参加できないというところになってしまったと思います。

田辺騎手が逃げるとよくあることなんですけれども、スローで逃げたまま直線までべったりと遅いラップに張り付いて、ペースが上がらないという形になりましたので、前半62秒7。800mから1100mの12秒7、12秒7で、12秒2と上がり3ハロンどころか2ハロンだけの競馬という形。直線でパワーホールが逃げたところをジャスティンミラノが追いかけるという流れになっています。持ったままジャンタルマンタルが追いかけてきましたけれども、それを突き放したジャスティンミラノが圧勝に近い形で共同通信杯を制するという結果になりました。

勝ったジャスティンミラノ。どこまで狙っていたのかわからないんですけれども、先に話した通り、スタート直後にスムーズにポジションを取れたというところと、その後折り合いがビシッとついたというところが勝因だったと思います。戸崎騎手はなかなか評価が難しいというか、勝ち鞍の割には、勝負弱さを感じさせる騎乗が多いんですけれども、優しく乗って折り合えば脚を使える馬には非常に手が合いますので、この馬はかなり手が合うんじゃないかなという印象です。ラストは10秒9、10秒8で2歳王者を突き放したわけですから、今日のメンバーの中では力の差を見せたといってもいいんじゃいかと思います。

春のG1に向けて考えていくと、今回は結構特殊なペースになったので、今後G1で必要な追走性能、ペースが上がった経験をどこで積めるか、そこで耐えられるかというところが課題になってくると思います。ただお父さんがキズナで、母親もディンヒル系のExceed And Excelで、その後ろもノーザンダンサー系、それからダルシャーンと重ねている血統なので、斬れ味に劣ることはあっても、ペースが上がったときの前受けで他の馬に遅れを取るということはないポテンシャルだと思います。キレッキレの牡馬が出てきたら別ですが、現状はこの世代はまだ見当たらないと思っていますので、やはりダービーの勝ち方を知っている友道厩舎というところもありますし、今回ジャンタルマンタルを突き放したという内容も、牡馬の中ではダービーに最右翼という評価をしてもいいかなと思いました。

こういう折り合いは難しいけど、スッと折り合ってしまえばいいポジションを取れるというタイプで、他馬とあまり駆け引きしなくても、自分の競馬をしっかりすることに専念できるタイプというのは、戸崎騎手と本当に合うと思いますので、ダービーに勝つ最大のチャンスというか、この馬で勝たなきゃ勝てないんじゃないかなと思います。お父さんのキズナにとっても、この後はコントレイル産駒、繁殖の集まったキタサンブラック産駒とか、それこそ上位互換っぽいイクイノックス産駒が出てくることを考えると、こういう前受けでダービーに勝てるチャンスというのは最後のチャンスかなと思います。キズナ牡馬はスピードがいつもちょっと足りないという傾向がありますけど、今年はチャンスだと思っています。

2着のジャンタルマンタル。今日は成長と気性面のガス抜きだっただけに、負けたことは仕方ないかなと思いますが、勝ち馬に最後の直前に突き放されたところは、ちょっとサンデーを持たない瞬発力の違いというのを感じさせる内容だったかと思います。春に向けて、川田騎手が乗り続ければ工夫次第でなんとかなるかもしれないなというところかなと思います。あとは個人的に推し、期待していたミスタージーティーが7着に終わってしまいましたというところ。今日はスタート直後にポジションを取りにいかなかった時点で、もうレースに参加できなかったかなと思います。春のクラシックを見据えると、ここで最初から出していくというのを事前に決めるのは難しかったと思いますが、結果だけ見ると、2戦続けての不完全連勝という形になってしまいました(レース後に「ゲート裏でテンションが上がってパニックになってしまった」とコメントあり)。前走後に懸念していたところではあるんですが、ホープフルステークスで賞金を積めなかったことで、全てが後手に回ってしまっているというところで、ホープフルステークスの騎乗ミスというのは大きかったかなというふうには思います。ただ、坂井瑠星騎手のせいにするのもというところは若干あります。奥手の血統だけに新馬勝ちの後に、ダービーに向けて段階的に経験、賞金を詰ませる選択肢もあった中で、ホープフルステークスで一発回答を狙ってしまったというのは、ある意味、厩舎・陣営側の博打失敗みたいなところもあったかなと思います。今日は物理的に差せる位置での競馬ではなかったので、個人的には見限らずに行きたいんですが、ここから立て直して青葉賞からダービーという路線に載せられるかというとかなり厳しいですし、賞金的に間に合ったとしても一線級との経験というのが足りない状態になりますので、ひいき目を除くと結果が出るのは秋以降、菊花賞を楽しみにしたいですねという形になるのかなと思いました。以上になります。

蒼:はい、ありがとうございました。こひさん、補足などございますでしょうか。

こ:ゆたさんがお話しされたように、ミスタージーティーを含めてなんですけれど、レースを覚えさせることとも大事ながら、一勝馬にとっての共同通信杯は、ここで賞金が積めなければ、クラシックが土俵際まで追い込まれる、非常に難しいレースではあったなと思います。やはりその中で、今回一勝馬の中で、ある程度ちゃんとポジションを取りに行けるような形の選択をしたが、できたのが、ジャスティンミラノだけだったなという印象でもあります。そういうことができる状態に馬を作っていく厩舎の力を含めて、改めて早めに賞金を積んでおいて、いろんな選択肢が取れることの大事さというところを思わされたレースだったなと思います。

あらためてちょっとレースを見直していて、気になったのは、4着に全く人気がなかったディマイザキッドがはいりました。この馬が上がりが32秒5で、1着2着馬の32秒6よりも早い上がりを出しています。レースとしても完全に最後方からずっとインベタをして走っていたという形で、さすがキング騎手というロスのない騎乗ではありました。これまでのパフォーマンス的にあまり上がりの時計が出るような、そもそも舞台設定で走っていたことがなかったこともありまして、ここで32秒後という上がりが使えたことというところについては、今後のレース選択ですとか含めて、注目をしていきたいなと思います。父がディーマジェスティという形で、多分そんなにどこを走っても人気にならなさそうな気もしますので、東京コースですとかで権利を取りに来たりした時ですとか、そういった舞台設定でちょっと拾ってみたいなと思わされました。以上です。はい、ありがとうございました。

蒼:共同通信杯の回顧他にコメントありますか?

ゆ:先ほどダービー最右翼と言ったんですけど、あくまで最右翼はレガレイラですね(苦笑)。あくまで牡馬の中では最右翼と言ってもいいかもしれないところで、今日の内容だとレガレイラが出てきたら、あっさりやられる可能性はまだあるかなと思います。レガレイラの春の選択肢が重要かなと思います。

こ:ジャスティンミラノは皐月賞で負けて、ダービーでパフォーマンスを上げそうな雰囲気はありますよね、

ゆ:レース経験という意味では皐月賞で厳しい競走をすることが糧になるかもしれませんし、レガレイラが派手に皐月賞勝って、マークが緩めばダービーでは更に面白いかもしれないというところはあると思いますね。

第117回京都記念

第117回京都記念 出馬表

蒼:京都第11Rに行われました京都記念の回顧、こちらはこひさんの方から先にお願いいたします。

こ:京都記念の回顧に入らせていただきます。たまにありますG1馬がいない形の京都記念というような形になりまして、どちらかというと春のG1戦線で活躍していきたいというところを目指す馬が集まってきた形のレースになりました。やはり再三1月から触れていますように、まだまだちょっとゆるい京都の馬場というところも大きなポイントだったかなと思います。

レース自体は、戦前からバビットアフリカンゴールドどっちが行くのというようなハナ争いが予想されていましたが、アフリカンゴールドが大外から決め打ちぐらいの勢いで、勢いよく主張した形で、あっさりと先手争いは決着したかなと思います。アフリカンゴールドは離して逃げた後に、道中ちょっとラップも緩めつつ、ある程度早めにもアクセルを踏んでいくというような形で、比較的自分の競馬で進められたのではないかなと思います。このあたりはスピードメーターの良さというのも、今回も改めてレースを見て実感したところです。2番手にバビットが控えまして、その後ろにシュヴァリエローズマテンロウレオと人気の一角でしたプラダリア。1列後にベラジオオペララヴェルというような隊列で進みまして、人気でしたルージュエヴァイユはその後ろの後方というような隊列でした。

直線では逃げたアフリカンゴールドは外を選んで、バビットはインを選ぶという形で、内外に大きく分かれての追い比べになりましたが、外からかなりの余裕を持って進出してきたプラダリアが抜け出す勢い。その後ろから、どちらかというとプラダリアをマークする形で進めていたベラジオオペラがインから追い掛ける形でマッチレースになりましたが、最後は斤量的に1キロ重い形であっても、プラダリアが完勝する競馬になりました。やはり、この馬時計のかかる京都競馬場は本当に自分の庭のような馬だと思います。同じような条件のレースが比較的ある条件ではありますので、プラダリアについては京都の馬場状態を見ながら取捨選択をしていくと、よいお付き合いができると改めて思いました。

ベラジオオペラもこのままスプリングステークスでちょっと重めの馬場でもパフォーマンスを出せていましたし、やはりこのような馬場は全く問題なく、今回2200でもほぼ自分のパフォーマンスを出せたのは収穫だと思います。今回も見ていて、プラダリアの後ろにうまくついていって、インを抜け出すような形の競馬もできていましたし、やはり競馬が上手い馬だという印象を改めて持ちました。内回りの阪神はより向く条件だとは思いますし、大阪杯でも、展開次第では馬券圏内に出てくるというケースはあると思いました。

3着に残りましたのは、インの方を選択しましたバビットですね。重たい馬場での長距離戦のステイゴールド系らしいレースぶりで、内を選んで勝負に出た鞍上の団野大成の選択のも非常に光るレースだったと思います。4着以下については、ある程度前にいた馬が比較的上位に来るという形になっていまして、10頭それぞれがペースを理解してどう立ち回ったかというのが結果に出た部分というのがあったレースだと思います。最後になりますが、2番人気でしたルージュエヴァイユですね。この馬が完全に後方から大外ぶん回しで、この展開ではどうやっても出番がないようなレースに最終的になっていたと思います。芯力の回顧スペース1年ぐらいやってきていますが、ちょっと距離長めのレースでの松山騎手のこういうレースには、時折辛口になってしまうなと改めて思わされた、そんな印象でした。

蒼:ありがとうございました。では、続きまして、ゆたさんの方から補足などございますでしょうか。

ゆ:この芯力でよく出ているベラジオオペラはポテンシャルがあるというのを改めて見せられたと思います。正直2000mぐらいでいい馬なのかなと思ったので、この京都の2200mの外回りというところではちょっと一番人気はやりすぎかなと思いましたが、ここがバッチリはまるプラダリアと差のない2着というのは能力を見せたなと。G1になってそんなに人気にはならないと思うので、ちょっと狙っていってもいいのかなと思いました。あと、アフリカンゴールドがレースのラップというか、時速表示が楽しめる競馬でしたし、全盛期だったらワンチャンあったんだろうなというレースだったので楽しませてもらいました。

第59回クイーンカップ

第59回クイーンカップ 出馬表

蒼:土曜日の東京第11Rデイリー杯クイーンカップの方から回顧やっていきましょうか。こちらゆたさんの方からよろしくお願いします。

ゆ:開催時期がクラシックから空いていて、府中マイルという舞台設定ということもありまして、近年クラシックとの関係が強くなっているデイリー杯クイーンカップ。今年の勝ち馬も春、それ以降に期待ができる、そういった馬が賞金をちゃんと積んだなという結果になったと思います。

レースなんですけれども、モリノレッドスター、こちらが先手を主張する形で、ルージュスエルテが安めのスタートという形になりました。最初の1ハロンこそ12秒6というタイムで、隊列自体は早めに決まったんですけれども、その後ですね。比較的内前が残る馬場だという意識があったのかもしれないんですけど、結構緩むことがないラップで前が引っ張る形になりました。前半が3ハロン35秒4という形で、3コーナーか4コーナーにかけても、あまり息が入らない形で、割と追走性能の問われる流れになったのかなと思います。直線に入ると逃げて粘るモリノレッドスターサクセスカラーから追いかける形になりましたが、アルセナール、こちらがちょっとモタモタした走りになって、外から突き抜けたのが クイーンズウォークと。盛り返したアルセナール が2着で、外から最後差し込んだルージュスエルテが3着という結果になりました。

勝ったクイーンズウォークは、サンデーレーシング、中内田厩舎、川田将雅と揃って、POGでも人気だった1頭。今日のメンバーでは素質が一番上には見えておりましたが、川田将雅騎手の教育的騎乗にしっかり応えた上で勝ち切ったというのは見事だったと思います。結構良いスタートだったんですけど、スッと下げて馬の後ろにつける形で、内から3列目を確保したというところが大きかったと思います。内前が有利なところがあったので、好位を取りたくなってもおかしくないような流れだったんですけど、ここをグッと抑えて、かつ距離ロスがないようなところを取ったというのが川田騎手の上手さかなというふうに思います。結構追走性能が問われる流れだったので、無駄脚を使うと最後伸びなかったと思いますが、そのポジションからしっかり我慢して、外に出すのも4コーナー出口、直線に入ってからというお手本のような騎乗だったと思います。

この先を見据えて、2200、2400でできる競馬をしながら勝ちきったのは大きいなと。ただ馬の方ですね、鞍上の完璧なスタートの間には、ちょっと最後の方は苦しくなったという印象がありまして、馬体的、血統的には将来的にはマイルに戻ってくるんじゃないかというイメージもありました。同世代相手であれば距離の心配ないと思いますが、レガレイラが出てくるとだいぶ適性に差が出ると思いますので、レガレイラの進路がこのまま牡馬路線なのかというところがポイントになると思います。

あとは2着のアルセナールですね。こちらレース後のコメントで不利について触れられたんですが、そもそも直線に入ってから追い出された時の脚が4着のサクセスカラーとあんまり変わらない感じで結構モタモタしていたんですね。ただ最後は差してきたというのが本当にワンペースな走りで、距離が伸びても好走はしそうだと思いました。ただこのワンペースを見ると勝ち切るのに苦労しそうというところと、あとは父親がエピファネイアというところもありますので、この気性がどこまで顔を出さずにいられるかというところがポイントだと思います。3着のルージュスエルテは、クイーンズウォークを見る形の競馬で、いかにも横山家の追い込みというところを見せましたが、ラストは少し脚が上がってしまいました。今日のような競馬をしている理由は、やはり気性面の難しさというのが背景にあったようです。簡単に位置を取る競馬は難しそうで、勝ち切るためには一段の成長と展開の助けが必要かなと思います。クイーンカップについては以上です。ありがとうございました。

蒼:こひさんのほうから補足などございますでしょうか。

こ:はい。このレースを見ていて気になったのは、ペースが流れていく中、なぜか4コーナーの手前で前の馬が激しく手を動かして動き出したことです。ラップでは、残り600mから400mのところで11秒1が挟まっており、非常に不思議な動きでした。主にテリオスサラの鞍上の戸崎圭太が動いていたように見えました。また、そう考えると、上位3頭は能力的に高かったのはもちろんですが、無理やり早めに動いていく競馬を強いられながら、逃げ切って5着に残ったモリノレッドスターや、4着に番手から入ったサクセスカラーは、もし次の人気薄なら、積極的な競馬で穴になる可能性はあると思います。

2024年クイーン賞

2024年クイーン賞 出馬表

こ:今週の水曜日に、船橋で行われましたクイーン賞の方を少し振り返らせていただければと思います。このレースですが、昨年のクイーン賞、12月にあったクイーン賞の方の1,2着のライオットガールテリオスベルの2頭に対して、左回りが得意なアーテルアストレアの3頭が人気になるようなレースでした。そこに芝からの転戦となるゴールデンハインドと、あとは前走で神奈川記念という謎の重賞に2着しましたキャリックアリードが、賞金的には中央所属のままでは戦えない、ダートグレードの枠に入れないということで南関東に転出して、地方転入初戦という形で行きましたというような構図でした。

この路線のいつも展開の鍵を握り続けるのはテリオスベルなんですが、今回は枠が外であったことと、比較的エンジンのかかりがいつもより良かったということがありまして、見事に1コーナーでのまくりという、この馬にしかできない鮮やかな芸当が決まりまして、久しぶりに完全にやりたいことができた展開になったかなと思います。向こう正面で先頭に立ってからかなりペースを落とすような余裕もありまして、久しぶりにこの馬として完璧な競馬ができたレースでした。そういった完璧な競馬となるとテリオスベルは概ね勝つんですけれど、それをねじ伏せたのがアーテルアストレアということで非常に価値のある勝利だったかなと思います。

特に今回、久しぶりに怪我もありまして、鞍上に菱田騎手が戻ってきたレースでしたが、その菱田騎手が完璧な騎乗をしたなという印象です。この馬は、もともと中京で勝ち上がってきたときから、非常に左回りでのコーナリングの性能の高さがこの馬の大きなストロングポイントだなと見ていました。しかし菱田騎手が怪我で乗れなくなったレディースプレリュードで、武豊騎手が最後方から鮮やかな競馬をして勝ち切ったというところがありましたので、その後のアーテルアストレアは、どちらかというと後方一気の馬になりつつありました。ただ、ここで久しぶりに鞍上に戻った菱田騎手が、この馬の良さをすごく理解していたというところと、あとはテリオスベルが最高の展開に持ち込んでるところが、たぶん後ろから見えていたのか、早めに動いていくという、近走ではなかった作戦を選択しまして、それが見事に結果につながって、直線では完璧な競馬をしたテリオスベルをねじ伏せるというような形になりました。やはり、こういう競馬ができると、小回りでの適性というところもフルに発揮できますので、本当にエンプレス杯に向けて視界良好だなと言えるレースだったかなと思いますし、菱田騎手が戻ってきたアーテルアストレアにとっては、今年のダートグレード牝馬路線については中心に踊り出られるかもしれないなと、それぐらいインパクトがあったレースだったかと思います。

2着でしたテリオスベルは、何度か触れましたが、本当にやりきったレースでして、予定通りであれば春で繁殖入りなので、引退の前に100%出し切れるレースができたということで非常に良かったなと思います。あとは走ってダイオライト記念ぐらいかなという印象ですので、無事に繁殖入りをして、またラストレースで悔いのない走りができることを願っています。3着に転入初戦でしたキャリックアリードですね。本当に普通に競馬をすると、ハンデ差が2キロあってもちょっと決定的な差があるなと思わされたレースだったなと思います。この路線で勝つには、もうちょっと中間攻められるですとか、展開や位置取りですとかの一押しが欲しそうな印象です。あとは人気で裏切る形になりましたライオットガールですね。これはちょっといろんな要素があったかなと思っています。馬体に余裕があったというところと、強烈な末脚で最後を差し切るパターンが多いので、途中でしっかりテリオスベルがペースを緩めたというのが向かなかったのかというところ。また4歳になって斤量が56キロという形でかなり重たくなり、古馬と比べて差が詰まったというところもありまして、ちょっといつもの末脚じゃない形になりました。ですので、こういったところについては、今回のところでは結構パフォーマンス的に差が出たところかなと思いますので、今後もこれらのところで何か、条件的に戻って来るところがないかというのは見ていかないといけないかなと思います。


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