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特異な馬場で騎手の腕・調子の差が出た東西重賞の振り返り(第41回東海S・第65回AJCC回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.01.14 21:00~からの文字起こしです。


第41回東海S

東海S 出馬表

蒼山サグ(以下、蒼):京都11R東海Sの回顧の方をこひさんからよろしくお願い致します。

こひ(以下、こ):はい、ちょっといろんな競馬場の工事ですとか、開催の諸々があるせいで、開催がどこでやっているのかよくわからないのが最近の東海Sでして(苦笑)。今年は京都かというようなの感じで、京都ダート1800で行われました。

まず今回の非常にいいメンバーが揃った構成だったかなと思っておりました。今回一番人気になっていたオメガギネスは、レパードSでライオットガールに負けたのみ。ダートのお手馬が色々いる中で結果的に戸崎騎手が選んだという形になっています。それに対して、オープンでも既に勝っているウィリアムバローズペプチドナイル、あとまた初ダートを完勝したヴィクティファルスというような馬。明け4歳で条件戦をきっちり勝ち上がってきましたブライアンセンスオーロイプラータと。非常に粒ぞろいのメンバーだったかなというふうに思います。

そんなメンバーで行われたレースなのですが、今回はまず馬場のところですね。中山の方でも触れられるかと思いますが、関西圏もかなり雨が降り続いていまして重馬場。直前のレースを見ててもやはり前に行った馬が比較的残りやすいというところと、インを通るのが有利と、そのような傾向というのは騎手も含めて見えていた中でのレースだったからというふうに思います。

レースの方ですが、1コーナーまでのところでウィリアムバローズが勝つというところについては、一定の決着をしたような印象だったなと改めて振り返って見ていても思ったところです。ウィリアムバローズは、ゲートは出遅れたんですけれど、坂井瑠星騎手が押してしっかり先行していく姿勢を見せていたというところが1つと、枠的に2つ内側に芝馬で逃げ馬であるバビットがいたというところで、その外にくっついていってロスなくインに入っていくというような形で番手のポジションを非常に無駄なく確保したなという印象です。それによりまして、バビットが逃げて、その番手にウィリアムバローズという形をきちっと作れました。バビットがバテたら、そのまま先頭に立つというような形で本当に非常に無駄がなく能力を発揮し切るレースをしていたかなと思います。迷いのない動きを見てますと事前にこのパターンを考えていたんだろうなという印象ですね。

一方、オメガギネス戸崎騎手の方については、近くのタイセイドレフォンをまずは行かせるような形にして、その後ろからポジションを取りに行こうとするというような動きになっていましたが、若干馬の方の反応が良すぎて頭が上がるような形になったりする中、勝ち馬の外というポジションに収まるというような形になりました。このロスの部分やウィリアムバローズとの内外、それから今日の非常に時計の速いダートでもありましたので、結果的に最後の直線で逆に離されてしまうような結果になったのでないかなと思います。

レースとしては、バビットも外にぴったりとウィリアムバローズに来られるというところで全然ペースを落とせるところはなく、淡々とイーブンにペースを刻んでさらに徐々に加速していくという形で、力がはっきり結果に繋がるレースになりました。そして、力的には二頭が少し抜けていた、そういったレースだったかなと思います。

後ろの組ですね、3着以降についてはその後ろで多分騎手もそれなりに考えを持って乗っていたなと思っておりまして、3着ヴィクティファルスですね、この2戦目のダートですが、多分今日の馬場傾向を理解した上で池添騎手がしっかりポジションを取りに行った積極策を見せたというところと、それでありながらこの重賞で3着というところでオープン級でやれるような目処というのは完全に立ったレースだったかなというふうに思います。特に逃げているのがバビットだったんですが、それが下がってくるコースを開けるような形で内一頭分を空けて回していた。そういった騎乗はさすがだなと見えました。

それより後ろの組でありますブライアンセンスオーロイプラータ。ベストパフォーマンスを出せるレースではなかったにしろ、こういった形でしっかりと掲示板の方に顔を出してくるというところで展開を一つで重賞でもやれるというところの力をしっかり見せられたかなと思います。前走は逃げなくて新味が出ていたペプチドナイルですが、こちら逆にちょっと若干バビットの後ろを躊躇したのかなというところがありまして、そこをヴィクティファルスに入られたというところはあったかもしれません。とはいえ控えて競馬も2戦目となって間違いなくできるというところで収穫もあったレースだったかなと思います。

勝ち馬のウィリアムバローズはずっと1800メートルにこだわったローテーションを組んできて、基本的には大崩れをしない常に馬券圏内に残るという安定感ある競馬をしてきた馬です。いよいよ重賞も制してこの後どうするかというので、同じ条件のマーチステークスに行けばもちろん魅力的ではあるんですけれど、今年のフェブラリーステークスレモンポップウシュバテソーロが海外遠征、ドライスタウトが離脱をしたというニュースがありましたので非常に混戦のメンバーになるかなという印象です。そうなってきた時にはフェブラリーステークスを使ってみても面白いんじゃないのかなという印象です。

一方、2着のオメガギネスですね、力はしっかり示しましたし得意な東京フェブラリーステークスでもやれそうなところは今日のレースぶりでもしっかり見せていたかなと思います。今回賞金も2着の1,100万円積めてはいるので多分大丈夫だと思うんですが、いろんな馬が今年のフェブラリーステークスを見てオープン馬がガンガンエントリーしてきた時に、ここで2着で賞金を1着分詰めなかった優先権を取れなかったというところは堪えないといいなというところだけはちょっと気になります。以上になります。ありがとうございました。

第65回アメリカジョッキークラブカップ

AJCC 出馬表

蒼:中山11レースのアメリカジョッキークラブカップの回顧よろしくお願い致します。

くらみゆた(以下、ゆ):アメリカジョッキークラブカップ、今年はもう高齢のベテラン勢が多数を占めているというところで、あまり今年の期待馬はどれだみたいなレースにはならなかったのかなというイメージですね。4歳牡馬勢はちょっと頼りない状況なのでまぁ牝馬組から来たモリアーナがどこまでというところが見どころだったのかなと思いますが、やっぱり終わってみると高齢馬で人気も上位で決まって、キング騎手が上手かったっていうところぐらいがポイントのレースだったかなと思います。

レースの方ですが、マイネルウィルトスが積極策をとってショウナンバシットが番手。チャックネイトが積極的な競馬をしてました。その後にボッケリーニという展開。逃げ馬不在ということでスローペースで前半入りました。ただ先ほどこひさんからもありましたが馬場も緩かったということ、ゆったりした流れで外回りを回って行って、頂上から下るところでじわっとペースが上がっていってある程度ロングスパート合戦という形でスタミナを問われる流れになったかと思います。その結果として直線ではマイネルウィルトスが先頭に立つところをボッケリーニが差してきて、それを内からチャックネイトが差し返すという形でキング騎手は来日重賞初勝利になりました。

勝ったチャックネイトは本当に追わせる馬ですね。4コーナーで手応えが悪かったほうで鞭も入ったんですけれども、キング騎手が最後まで脚をしっかり使わせて差し切るというところで、騎手を選ぶタイプだと思うんですけども、しっかり走り切れたというところがポイントだったと思います。この冬の短期免許で来ている外国人騎手なかなか難しいんですけど、Rキング騎手がほぼ唯一乗れているなというイメージだったところであります。直線もさることながらスタートからしっかりポジション取りに行ったというところもありますし、道中パトロールを見ても無駄のないスムーズな走りというところで、それが最後は脚を使えた要因なのかなというふうには思います。

2着のボッケリーニはソラを使う馬なのでうまく乗っていたように見えたんですけど、やっぱりちょっと先頭に立つと止めてしまうところもあって、どうしようないと思うんですけれどもそこを差し切られたという形になりました。まあそういう全力で走らない馬なので8歳まで元気なのかなというところもあるのかなと思います。モリアーナは結構スタミナ問われる馬場状態の流れでしたけれども一応上がり最速という形にはなりましたので、スタミナを問われる流れで狙っていく馬なのかなというふうに思っています。

蒼:面白いタイプの個性のある馬に育つ可能性がありますね。

ゆ:非根幹距離で期待したいですね。以上になります。ありがとうございました。

蒼:こひさんの方から補足などございますでしょうか。

こ:逃げ馬不在でどういう展開になるのかというところがあったんですが、蓋を開けてみると残り1200メートルから12秒台の前半のラップを刻んでいく形でめちゃくちゃタフなレースになったなと。人気で横山武史騎手鞍上だったマイネルウィルトスがハナに立ったというところで、後続もそれなりにシビアに動いていたというところもありまして、なかなか厳しい消耗戦になっていたなと。またこういう舞台設定を再現した時にはちょっとそこを覚えておきたいなというふうに思います。

あとは直線のパトロールをちょっと見て思ったのは、勝ったチャックネイトレイチェル・キング騎手は真っすぐ馬を走らせるなぁと。馬のタイプもありますが、ボッケリーニにはやっぱり外に行ったりちょっとヨレて動いていて、まっすぐ走らせることができる騎手と、馬の能力というところが最後のハナ差というところに出たかなというふうに思います。また、先ほど堀厩舎がちゃんとレイチェル・キング騎手を乗せていたことを話していたんですが、レイチェル・キング騎手は先週ほとんどの競馬が堀厩舎みたいな形もありまして、非常に強いタッグを組まれていますので、今後もちょっとそこについては注目していきたいなと思います。


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