2023年第30回函館SS・第40回エプソムカップ回顧
第30回函館スプリントS
蒼山サグ(以下、蒼):ではまず、第30回函館スプリントSをお願いしたいと思います。キミワクイーンが勝利しましたがどのような印象だったか、ゆたさんからまずはお願いします。
くらみゆた(以下、ゆ):はい、お願いします。このレースは高松宮記念で実力を出し切れなかったトウシンマカオに、条件戦から上がってきたスプリンターと、この時期混合戦に出てくる3歳牝馬が挑んでくるという構図だったのかなと思います。
レースの方はテイエムトッキュウがハナを押しをする展開で、前半33秒0という形で前傾ラップになりました。ポイントとしては、この逃げたテイエムトッキュウが3コーナー手前で結構早めにずるずるっと下がっていってしまったというのが影響が大きかったと思います。一番人気のトウシンマカオ、これ内枠で元々捌くのが難しそうだなという印象はあったんですけれども、やっぱりこの煽りを受けて減速してしまったというところがありました。4コーナーから再度加速しましたが、だいぶ無理を強いられた競馬になりましたので、3着に入っただけでも十分とも言えるかなと思いますし、斤量を考えてもこの中でやっぱり強い競馬をしているので、秋には再度期待したいと思いました。
勝ったキミワクイーンについては、横山武史が函館で今調子良くて好騎乗だったと思います。スタートも良かったでしたし、その後スッと下げて先行馬の後ろを取りまして、4コーナー手前の進路取りが本当に良かったと思います。減速しないで外に進路を確保して、よく伸びてという。展開も味方にできましたけれども、良い末脚で、ガッツポーズ出たのもちょっと納得というか、少し(横山武史騎手はダービーの負けでストレスが)溜まっていたのかなという印象がありますけれども、会心の勝利だったと思います。
2着のジュビリーヘッド、これはスタート後にポジションをちゃんと取りに行って、2列目でトウシンマカオの外をしっかりキープできたというところが良かったので、これは西村ジョッキーが結構いい騎乗で本当だったら勝てるレースだったかなと思います。あの展開で内側から抜け出してきたので、本当に勝てるかなと思ったんですけれども、相手を褒めるしかないのかなというふうに思いました。あとはこのレース、3歳ではあまり振るわなかったというレースになりましたので、今後来年9月に向けてこの斤量差だけでは足りないところが出てきているのかなというのは、ちょっと気にしていきたいなと思いました。以上になります。
蒼:はい、ありがとうございました。では、こひさんの方からは何かございますでしょうか。
こひ(以下、こ):はい、ちょうどゆたさんが最後に触れていました、特に3歳牝馬が不発だったところですね。やはりそこが気になりました。今回レース後に時計を見て、あれ、1分8秒台なんだというふうに思いまして、過去の函館スプリントの時計と比べてみました。やっぱり近年の函館スプリントステークス、1週目に来てる過去2年見てましても、1分7秒台の時計なんですよね。1分7秒2で去年のアムラクレアが勝っていて、一昨年は1分7秒6みたいな形になっていまして、かなり今年の函館の芝が時計がかかっていたのかなという印象がありまして、それが本当に直結しているかどうかはわからないんですけれど、重たいのもあって、斤量が軽かった馬がそこなり思ったほど弾けなかったのかなというようなところは少し思ったところですね。特に先ほどゆたさんからもお話ありましたように、今回テイエムトッキュウが途中で下がっていったことによって、内の馬はあんまりスムーズにレースができなかったところにはなりますが、そういう意味ですと、ブトンドールですとか、そういったところは普通に理想的な回りをしてきていて、またリバーラも前に行ってそれほど残れずみたいな形でしたので、時計と3歳の関係性というのがあるのかどうかを今後気にしたいなと思いました。
第40回エプソムカップ
蒼:では、続きましてエプソムカップの方に参りたいと思います。こちらはジャスティンカフェが一気に差し切るというレースでしたが、ゆたさんまずはお願いします。
ゆ:このレースも割と見た目通りの競馬という考えでよかったのかなと思っております。ショウナンマグマが仕掛けで先頭を取って、ルージュエヴァイユ少し持っていかれるぐらいの勢いでしたけれども、2番手を確保。内から横山典弘騎手のマテンロウスカイが好位を取ったというところが一つポイントになったのかなと思っています。横山典弘騎手は上手く2番手を可愛がっ、てちょっと息を入れるようなペースを見ながら作ったと思いますので、そういう形が最後、先行馬2頭が2着3着に残る流れを作れたのかなという風に考えております。一方、これを外から差し切ったジャスティンカフェはかなり強い競馬だったと思います。全体的に馬場自体はフラットなんですけれども、わりと強いロベルト系向きというか、パワー・スタミナが問われる流れだったというところがありましたし、ペースとしてもうまくコントロールされて、追走力が問われる展開だったというところがありましたので、マイラーや上がりの馬というのはちょっと辛いところだったのかなと思いました。勝ち馬に関しては、スタート後は行き脚がつかなかったですけれども、外枠から流れに乗って、あと3コーナーですね。ペースがちょっと緩みかけたところでポジションをちょっと上げていったというところも、勝因だったのかなと思いますので、この辺はお父さんの走りをよく知っている長男がきちっとレースにフィットさせたのかなというところ。今日は横山家が大活躍でしたけれども、そういうレースだったのかなというふうに思いました。
蒼:はい、ありがとうございました。では続いてこひさんからも何かご質問があればよろしくお願いします。
こ:はい、そうですね。やはりこのレース、エプソムカップにしては中盤がそんなに緩まずにタフなレースになったなというところで、ある程度前目のポジションで自分のペースで運べた馬と、後ろで腹をくくって飛んできた差し馬というような最終的にはそういう構図になったレースかなというふうに思います。今回目を引いたのが4着に突っ込んできましたレクセランスですよね。この馬自身がもともとが3連勝ですみれステークスを勝って、皐月賞ダービーに駒を進めていたような馬で、今回、千八を使うのは2回目で、前走ダイヤモンドステークスもそこまで悪い着順ではないところからの一気の距離短縮みたいな形。ゲートを出した後はちょっと促していたんですが、その後は普通にいい手応えで追走ができていて、外からこれだけの脚を使えるというのは、思い切った路線変更をしてみたところ、思わぬ適性が出てきたのかなというふうにも見て取れますし、同じような直線の長めのところのマイル並びに中距離みたいなところで、そんなにフロック感があるレース運びでもなかったので、引き続き人気がなければちょっと注目してみたいなと思いました。