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大外の憂鬱を吹き飛ばす鮮やかな黄金の仕掛け。快勝を呼び込んだ1コーナーの攻防を振り返る(第24回チャンピオンズカップ・第74回チャレンジカップ・第57回ステイヤーズS回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のレース展望スペース2023.12.03 16:30~からの文字起こしです。


第24回チャンピオンズカップ

第24回チャンピオンズカップ 出馬表

蒼山サグ(以下、蒼):今日はチャンピオンズカップの速攻回顧一本勝負でいきたいと思うんですが、昨日の展望を受けまして、こひさんから、よろしくお願いします。

こひ(以下、こ):はい。本当に坂井瑠星騎手に「申し訳ございませんでした」と土下座するしかないというようなレースだったかなと思います。改めてレースをいろいろ見直したんですが、やはりレモンポップが勝つにはこの作戦、逃げるという策しかなかっただろうなと思います。距離コーナー4つというところに不安がある中、勇気を持って自らハナを奪いに行ったという選択が本当に見事だったなと思います。特に2つ隣にいましたケイアイシェルビーとの兼ね合いですね、これも比較的行って結果残している馬で、藤懸騎手が横で出鞭を叩いているのを見えているはずなんですけど、それでありながらちゃんとハナを取り切ったというところが今回の結果に結びついたかなと思います。

ここの動きも含めて、今日は本当にタフな前が残るというような形のレースでしたので、レースの見どころは1コーナーまでの攻防が一番だったかなというふうに思います。先ほど話しました通りレモンポップが好発からハナを取りに行くというところがあったんですが、今回1番のキーポイントになったのはドゥラエレーデに乗って3着だったムルバザエフ騎手ですね。結構序盤から押していこうと、ある程度のポジションを取ろうとするんですが、外からレモンポップが行こうとするのが見えたのか、横もチラチラしてるので多分認知をした上でレモンポップが内に入ってくるのを見ながら、なぜか外に進路を取っていくんですよね。レモンポップが外から内に入っていく、一方でドゥラエレーデは真ん中の枠から外に進んで最終的にレモンポップの外から番手につけるというすごく不思議な光景になっていまして。多分揉まれない外の2番手が欲しかったんだろうなというふうに思うんですが、それを取るために一回外に出してから内に入れるというような動き。ちょっとあまり見たことがない動きだなというふうに思いまして、本当に凄いの一言だなというふうに思いました。結果的にこのポジションを取りましたドゥラエレーデは3着に残ったというところからしても、この選択自体はすごく結果的には正しかったと思います。ちなみに坂井瑠星騎手のインスタではムルザバエフ騎手が来日したときにツーショットで「仲良しのムーちゃんです」みたいなのが出てた記憶があるんですが、もしかしたら事前に行けたらいくとかそんな話をしてたんかなみたいなところも、ちょっと邪推してしまいました(笑)。とにかくこのレース、主演は勝った坂井瑠星騎手でしたが、助演男優賞はムルザバエフ騎手だなというふうに思います。

この1コーナーまで攻防は他の馬にも影響しておりまして、まず昨日の展望ではクラウンプライドが一番今回の枠の並びですとか能力的なところでレースしやすいだろうという話をしていたんですが、このムルザバエフ騎手の動きで完全に割を食ってしまったのがクラウンプライドの川田騎手なんですよね。内から先行していこうとしたら、ドゥラエレーデに前に入られて、さらに1コーナーのポジション争いでは外に行っていたドゥラエレーデがまた内に入ってきたところで前に入られるという形。結果的には積極的に行かなかった結果ではあるんですけど、川田騎手から見ると非常にアンラッキーな動きをムルザバエフ騎手がしたせいで、もう完全に内を先行するというところの策が断たれてしまって、4コーナーでは死にポジションであります外を回さざるを得ないというレースになってしまいました。結果的に完全にクラウンプライドとしては全く良さが発揮できないというレースになったというのがこのレースの大きなポイントだったかなというふうに思います。この辺りの攻防、パトロールビデオを見直しますと、前からムルザバエフ騎手が斜行しているようにすら見えてしまうような動きをしながら、完璧なコース取りをしているので非常に面白いのでぜひ見ていただきたいなと。

1コーナーから先は強い先行馬がいるレースというような形で、レモンポップの坂井瑠星騎手がイーブンのペースできっちりと緩めすぎることなく逃げていったのが印象的だったかなと思います。4ハロン目からのラップは12秒4、12秒1、12秒4、12秒6というような形になってまして、途中でちょっと速いラップを刻みながら後続にも脚を使わせるというような形。その結果、直線では先行場馬の中でレモンポップを捉えるような勢いのある馬というのはいなかったかなと思います。結果的にはその番手にいたドゥラエレーデが3着に残ってますし、その先もギリギリ中京ダート1800のコース取りとしては通用する3列目のところには、冒頭に触れましたケイアイシェルビーが逆にズルズル下がっていてストッパーみたいになっていたところもありまして、完全に外目組に関しては出番がない結果。昨日の展望でもありましたが中京のダート3、4コーナーで外上がっていくと辛いよと言っていた通りになりまして、本当に外目の馬には厳しいレースになったかなと思います。

その中で一番上手いなと思ったのが2着に突っ込んできたウィルソンテソーロの原佑介騎手ですね。4枠7番と比較的内目を引いていたのですが、道中では最後方で外に人気でしたセラフィックコールがいるようなポジショニング。ただセラフィックコールデムーロ騎手が昨日の展望で予想していた通り、外に出してまくって上がっていくときにそれに全然ついていかないで内目を丁寧に回して、直線では合間を縫って外に出していくというような形。そんなにこの舞台設定に乗っているキャリアはないんじゃないのかなと思うんですが、中京ダートの後ろから行く馬のお手本のような美しい騎乗で直線一頭だけ素晴らしい伸びでした。これは本当にこのG1に乗れるチャンスを掴んで、よく研究してきたなというところで素晴らしいなというふうに率直に思います。この馬ももともと重賞連勝してきて結構賞金あったんですが、G1の2着も積みますとローテーションにいろんな選択肢も増えますし、騎手にとってもひょっとしたら次以降のチャンスにも繋がるかもしれないですね。凄く大きな2着だったかなと思います。

あとは上位馬ですとテーオーケインズやメイショウハリオといった強い馬が内目の枠を引いてきて、外に出したりせずに枠なりに進めて自分の能力分だけ走り切ったそんな形の4、5着かなというふうに思いまして。本当に7枠から外はキツいみたいな話を昨日していたかと思いますが、みんな2桁着順になっていたり、1着のレモンポップ以外は7、5、4、2番の馬が掲示板に並ぶという形で内目の馬ばかりとなりました。改めてレモンポップ坂井瑠星騎手の手綱さばきの素晴らしさと、あとは実際にそれに応えていける馬ですね。距離不安がある中でも出していってもちゃんと折り合って鞍上のコントロールの元で、しっかりとペースを刻めたというレモンポップという馬の素晴らしさ。そういったところが合わさった形で本当に今年の日本の国内のダートはレモンポップの年だったなというところを思わされる競馬だったかなと思います。鞍上と陣営を含めた選択の勇気を大いに称えたいなというところと、やはりレモンポップという馬が私自身も想像していた以上に強い馬だったなという強烈な印象が残るレースでした。はい、一旦以上になります。

蒼:ありがとうございます。ではバトンをゆたさんの方に渡しましてゆたさんからもよろしくお願いします。

ゆ:昨日の展望でレモンポップが勝つにはドゥレッツァルメールが勝ったみたいな競馬で内を取りに行くしかないんじゃないかなっていう話をしたんですけども、本当にまさにそういう競馬をしてくれたなというところで、本当に勝ち筋はあれしかなかったと思います。その選択をできた騎手、それからその作戦をちゃんと生かした陣営とのコミュニケーションも含めて素晴らしかったんだなというふうに思いました。

レモンポップに関して言うと南部杯を勝った後、いくつか選択肢があったと思うんですけれども、そこであえてチャンピオンズカップで1ハロンの延長と4つのコーナーを回るというところへの挑戦を選んできたというところは、陣営としてある程度勝ち目があると思って使ってきたのかなと思いました。ただ大外という正直かなり不利な状況だったので、どこまでいけるか半信半疑だったのですが、それを超えるような準備、それから能力があったんだと思いました。あとはやっぱりこひさんからも話あったんですけどムルザバエフ騎手の動きですよね。スタートして直後に外に行ったことで、もう6枠から外は全部死に筋のコースに入っていくという感じでしたので、レモンポップがハナを取ったというところは結果論ですけれども、その影響を全く受けずに済んだというところも良かったかなというふうには思います。

あとはちょっとデムーロ騎手のところですね。もちろんセラフィックコールまだまだ馬体もできてないので、全てがコース取りというわけではないんでしょうけれども。追って追っての追っ付けの追走になるのは前のレースも同様で、ただそこから3コーナー4コーナーから外回って捲っていうのは、中京ダートではダメな走りだったかと。原優介騎手みたいな騎乗しても伸びなかったっていうのだったら納得できるんですけれども、あそこで大外回しちゃうっていうのはやっぱりデムーロ騎手の弱みというか、ちょっと雑なところが出てるなと感じました。次走以降もしかしたら乗り換わりの話が出てもおかしくない競馬だったと思います。あとクラウンプライドもちょっと体重増えていたというところもあるので、韓国遠征からの体調で攻めきれなかった部分もあったと思うんですけれども、何しろ今日は外々回されて死に目のところに走ってしまいましたので、体調とコースと両方含めて合わなかったのかなというところだと思います。

余談にはなりますが、やっぱりムルザバエフ騎手の動きだったりとか、ケイアイシェルビーの出鞭を入れるような競馬を見ていると、G1で色気があると色々な不確定要素が出てくるところもあると思うので、逆に今日のレースを見ると先週のジャパンカップ本当に力勝負だったなというところを思わせたところでした。以上になります。

蒼:はい、ありがとうございました。まずお二方から自由にお話を伺いましたがそれぞれの話を受けてこひさん何か補足などございますでしょうか。

こ:そうですね。なかなか本当に騎手同士の動きというのは非常に面白くて。あまり触れるところがなかったグロリアムンディルメール騎手川田騎手と似たようなポジションに押し込まれて、そこからは全く存在感がなくなってしまった部分がありました。中京ダート1800という舞台設定が一層そうなんですけれど、1コーナーまでのポジションを争うところの面白さというのは一つ凝縮されるようなレースだったかなというふうに思います。

あとはちょっと牝馬2頭に軽く触れたいと思います。アーテルアストレアは非常に期待していて、最後も実況に一瞬誤認させてしまう脚を外で密かに使っていたんですが、この馬は2着だったウィルソンテソーロの1頭分外だったんですね。枠順の並びが7番がウィルソンテソーロで8番がアーテルアストレアでしたので、ここの順番が逆だったら入れ替わっていた世界線もあったんじゃないのかなというところはちょっと思いましたが、しっかり外から脚は使っていましたし、今回の舞台設定でやれるところはできたかなというふうに思います。ちょっと心配だったのはアイコンテーラーで、序盤から行きっぷりが悪くて、行くのを諦めて先行することもできず外を回っていたので何もできない形はありました。大差で負けるとというのはこのままのダート転向からの圧勝ぶりを見てきた目からすると、ちょっとびっくりというような内容で、改めて立て直すのかどういう形になるのか。5歳の牝馬なので将来的なところも含めての今後の選択というところが気がかりかなというふうに思いました。

蒼:ありがとうございます。じゃあゆたさんの方はいかがですか。

ゆ:そうですね。レース自体はもうだいたいこひさんとお話しした通りかなと思ってます。あとは今年のJRA賞最優秀ダート馬はどちらが獲るのかなというところで。今までの傾向を見るとやっぱり日本のG1を2つ勝ったレモンポップの方が圧倒的にリードかなと思うんですけれども。今年はウシュバテソーロがドバイを勝っていますので、レモンポップが受賞した場合は、ある意味エルコンドルパサーが年度代表馬を取らなかった世界線みたいな結果になるのかなと思います。ウシュバテソーロも血統的にもファンの多い馬ですから、ぜひ来年はレースで決着をつけてほしいなと思いました。

こ:将来的なところで言ったらレモンポップがこの後どうするのかなというところがやっぱりすごく興味が湧きますね。今回この馬が本当に称えられるべきなのが完全に自分の守備範囲じゃないであろう「コーナー4つの1800にチャレンジして勝った」というところだと思っていまして、今年の結果を踏まえるともう日本であまりやることがないのかなというようなところまで到達したのかなというのを思います。とはいえまあ血統的なものですとかオーナーがゴドルフィンであるとことを考えると、そこまで焦って種牡馬入りという話もないと思います。ですので来年本格的に海外チャレンジ、この勝負服がなぜかサウジにいるですとかそういったところも含めて、ちょっといろんな展開というところを期待したいなという風に思います。この状態でフェブラリーステークスを使っても普通に勝てるとは思うのですが、今後当たり前ですが世界中がレースの選択肢としてある陣営だと思いますので、今日の勝利でどこにでも行ける状態にはたどり着いたと思いますので、中東やアメリカも含めてちょっと楽しみにしたいなと思います。

ゆ:海外でゴドルフィンの勝負服に乗っているのがビュイックじゃなくて、坂井瑠星騎手という挑戦が来年も見られるのかというところも楽しみですね。

こ:確かに。今回のレースは坂井瑠星騎手の勇気があったからこそ勝てたところだったと思います。やはりフェブラリーステークスでテン乗りで頼んだ陣営と、そこでちゃんと結果を出した鞍上。更には彼を信じてドバイでも継続依頼をして、また今回のチャンピオンズカップで騎手の腕で、恩返しがちゃんとされるというようなところまで見てしまいますと、本当世界にもこのコンビで行ってほしいなというようなそんな思いが強くなりますよね。

第74回チャレンジカップ

第74回チャレンジカップ 出馬表

蒼:チャレンジカップの回顧をお願いします。

ゆ:阪神の芝2000mという舞台設定で、今は大阪杯という同じコース設定のG1があるものの、このレース自体は根幹距離ながらG1では少し足りない馬が重賞を狙うというようなレースになっております。今年については3歳馬のベラジオオペラが勝利。こちらすぐG1で通用するかというところは残っておき、来年に向けてはかなり楽しみな結果になったんじゃないかなというふうに思っております。

レースなんですけれども、まずベラジオオペラが非常に良いスタートでスッと先手を取って好位の内を取りました。阪神芝2000mは上りから始まってすぐコーナーという形になりますので、最初の2ハロンの機動力、ここでいいポジションを取れたというのはこのレースの中で大きなアドバンテージだったのかなと思っています。結果としてはモレイラボッケリーニの前に入れたというのも良かったと思います。外からハナに立ったテーオーシリウスに、かかり気味にフリームファクシが追いかけていくという展開で、人気のガイアフォースも好位。隊列はスッと決まった形になりました。この形ですと阪神芝2000mはゆったり入れるんですけれども、最初の2ハロンがそれにしても遅いラップで入りましたので、800mから1000mあたりでペースが上がるとそこからは割と体力勝負という流れになったと思います。直線の外からベラジオオペラが伸びたところ内ラチ沿いからモレイラボッケリーニには猛追して、最後はボッケリーニには出たかと思ったんですけど、結果はベラジオオペラがハナ差の勝利という形になっております。

勝ったベラジオオペラ。こちら個人的にはダービーで穴馬としてあげていたぐらい評価していたので、この勝利は本当夏を越して、ちょっと遅くなりましたけれども実が入ってきたのかなというところで嬉しい勝利かなと思っております。この馬、3歳春の回顧で、こひさんが触れていたと思うんですけど、どんな競馬場コースでもしっかり走れる、脚質も色々というレースセンスの良さが強みだと思います。来年以降、2000m前後完全な斬れ味勝負、末脚勝負になってくると厳しいかもしれないんですけども、こういう機動力を問われる展開であると面白い勝負ができるのかなと思います。この馬自体は春に話した通り、馬主さんは違うんですけども、割とエアの勝負服の血統はこういう器用さを持つ馬が多いなという印象があるなと、改めて血統を見ながら思ったところであります。

2着のボッケリーニについてはベラジオオペラの後ろを取って、今日はちょっと進路もポジションも苦しくなったんですけれども、最後最内に進路を見つけてからはさすがモレイラ騎手という伸びだったと思います。今回は浜中騎手から乗り換わったんですけれども、ここに関して言うとは浜中騎手でもこんな競馬だったのかなというのは思ったところではあります。あとはイズジョーノキセキですね。どこかで一発ありそうだねという話がこの場であったんですけども、ここで3着に入ってきました。道中ではボッケリーニのずっと内にいたのでこれ岩田パパは絶対内を突くんじゃないかなと思ってみたんですけど、意外にも真ん中ら辺を回して割ってきたという意外なコース取りでしたが、進路はバッチリ開いたのでこれも一つの正解だったのかなというふうには思ってます。あとガイアフォースは天皇賞の疲れがあったのかなというのが一番の印象でした。以上になります。

蒼:ありがとうございました。続きましてこひさんの方から補足などございますでしょうか。

こ:勝ったベラジオオペラはこの芯力スペースでは割と一貫して評価が高かった馬かなと思ってます。スプリングステークスの時にも私が普通のスプリングステークスの勝ち馬よりも割とちゃんとした数字なので、もっと走ってくるんじゃないのかという印象を話していた記憶がありますので、今回こういった形で古馬相手に結果が出たのが非常に嬉しいなというところがあります。やはり状態面ですね。そこの懸念があって、結局秋の始動戦がここになったんですが、ここまで待った上村厩舎の腹のくくり方がすごいなというところで、上村調教師は数字的にはかなり伸びてきている調教師さんではありますが、こういったところで重賞級の馬の扱いというところでも長けたものを見せてくださったなというふうに思います。あとは個人的な話になりますがベラジオオペライズジョーノキセキを評価するコメントをこの場でよく話していたんですが、今回ボッケリーニエピファニーが逆だったらウハウハだったんですけれど、ちょっとそこだけズレがありまして馬券を取り逃したというところが痛恨の極みでございました。はい以上です。

蒼:上村調教師は先週時点でリーディング7位なんですね。すごい伸びてますね。

こ:そうなんですよね。非常に今後さらに質も上がってくるんじゃないのかなというふうに思います。覚えておきたい調教師さんですね。

第57回ステイヤーズS

第57回ステイヤーズS 出馬表

蒼:中山のメインレースステイヤーズステークスの回顧に移りたいと思うんですが、いきなり本筋と関係ない雑談から入って恐縮ですが、知り合いが現地に行ってたんですけどめちゃめちゃ人入ってたみたいですね。

ゆ:ステイヤーズステークスのパドックも写真とか上がってましたよね。

蒼:このレース僕はナリタトップロードが見たいという理由だけで、まだ東京に来たばっかりの頃見に行ったことがあったんですけど。正直閑散としてたんで、かなりその時の印象が蘇って、今競馬本当に流行ってるなと感じたということを一言添えさせていただきつつ回顧に移りたいと思います。てことでこちらの方は、まずはゆたさんからでよろしいでしょうか。

ゆ:そんな冬の中山の風物詩ステイヤーズステークスなんですけれども、この距離に自信がある馬も騎手も少ないので、直近で言うとやっぱり低レベルになりがちというレースかなと思っています。今年も勝ち馬、騎手は鮮やかだったんですけれどもレースレベルとしてはG2というよりG3というレベルだったのかなと思っております。

レースなんですけれどもスタートしてアフリカンゴールドがハナに立つ形でしたが、2コーナーに入る頃にはペースもかなり落ち着いて、通常のレースではなかなか見られない時速表示が51キロ、1ハロンの14秒0くらいの値をマークする遅いペースで向こう正面を走っているという展開になっていました。そんな中で人気のキングズレインは好位の内で、外にテーオーロイヤルで中団にマイネルウィルトスという形で隊列が固まりましたので、そんなに縦長の展開にならなければ荒れなかったのかなと思うんですけども、ここからじわっと前がペースをあげると、大逃げという形になりました。

特に今回ポイントだったのは1周目の3コーナーの手前ですね。ここで一気に11秒台のラップでアイアンバローズアフリカンゴールドを交わしにいきました。ここでレース後のコメントを見ると国分恭介騎手は「アイアンバローズがかかり気味にきたのかと判断した」というところで抑えちゃったんですけれども。結果としてはこれで2番手以下騎手の体内時計が完全に狂っちゃったという形で、石橋脩騎手の仕掛けがハマった形になっています。1周目の4コーナーではもう13秒台まで落ちてホームストレッチを走っていましたが、この時点でレースが決まったのかなと思います。2周目の1コーナーあたりでセファーラジエルがポジションを上げにいったというのは、ホームストレッチでのペースの遅さを感じたところだったと思うんですけれども、向こう正面に入ってからはアイアンバローズ123くらいまで、ラップを速めましたので、馬群を詰めるという展開にはなりませんでした。この大逃げの展開で残り800から2番手勢が一気にペースを上げて、追いつくような形になっています。これパッと見は前が潰れたように見えたんですけれども、急にペースを上げましたので、実は脚使っちゃったのが2番手グループというところになりましたので、アフリカンゴールドセファーラジエルは直線に入ると後退してしまって、最後テーオーロイヤルマイネルウィルトスが差してきますが、ラスト1ハロンを12秒0とでまとめる形でアイアンバローズが見事に逃げ切るという結果になっています。

勝ったアイアンバローズの方ですけれども一貫して長距離使い続けてスタミナには自信があるというところを見せつけたレースだったと思います。何より鞍上の石橋騎手のG1勝ちはビートブラック天皇賞春だったなと改めて思い出せる結果。石橋脩好騎乗ランキングの1位と2位が決まったなというレースになったかなと思いますね。2着以下はポジションと距離適性で運が入れ替わったなというようなイメージだったので、あんまり来年につながる印象はないかなというところでした。今日は本当に石橋脩をホープと呼ばれた時期もあったなぁみたいな思いに浸るレースだったと思います。以上になります。ありがとうございました。

蒼:続きましてこひさんの方からも補足などございましたら、よろしくお願いします。

こ:このレースはレース後にコメントしている方もいらっしゃいましたが、ビートブラック天皇賞を思い出させる騎乗だったなと。私自身がビートブラックに非常に思い入れがあるので。ラップタイムと見ていると良く似ていて、ビートブラックの天皇賞も今回のアイアンバローズもそうなんですが、向こう正面でペースを緩めてるんですが、残り1200ですね、6ハロンのところから上げていきまして、そこからはイーブンなペースを持っていくと。これで残れるのは多分鞍上というのは馬の力の方だと思うんですけれどこういう、長距離戦で緩めながらも大きなポジション的なリードが得られてるとなると、自ら脚を使って早めに動いた馬、動いてきた方に過剰な脚を使わせて捕まらないというようなところで。石橋脩騎手のビートブラックの記憶、そういった体内時計的なものが11年半という時を経て蘇ったのかなと思うと、ちょっと胸が熱いものがあるレースでしたね。あとはこの馬も上村調教師なんですよね。現状の馬質で同日で重賞を制するのはすごいなというところを改めて思いました。

蒼:もう一つ因果と言うべきかどうかわからないですけども、ピートブラックが買った天皇賞といえば1番人気がオルフェーヴルですもんね。

こ:そうですね、確かに面白いですね。あとはアイアンバローズもすごいんですよね。改めてラップを見てると最後の3ハロンが119117120で全く止まらないような形で。終わってから見てみるとではあるんですがステイヤーズステークスは去年一昨年と走っていて、24着で今回1着なのでこの舞台でまた出てきたら来年はしっかりケアしましょうということ最後に伝えたいなと思います。

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