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今日も空振りに終わった武井ラッパ。春に向けて上位馬に残った課題とは?(愛知杯・京成杯・日経新春杯回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.01.14 21:00~からの文字起こしです。


第61回愛知杯

くらみゆた(以下、ゆ):小倉での開催となった愛知杯。この小倉2000mというコース形態はスタートから1コーナーまで距離があるので、割とペースが速くなりがちで、スタミナが求められるコースとなっています。は古馬牝馬にとってはなかなか走ることのないコース形態、厳しい舞台設定だったかなと思います。勝ったミッキーゴージャスのスタミナと、あとは川田騎手の気迫ですね。とにかくそれが目立ったレースだと思います。

レースのほうなんですけれども、ウインピクシスがハナを取るかと思ったんですけれども、内からグランスラムアスクが押していくという形で先手を取りました。結果として、最初の3ハロンが12秒2、10秒4、10秒9で33秒5という形になりまして、事前の想定通りの展開。ちょっと逃げ馬には苦しい展開になっていました。グランスラムアスクが飛ばす形のちょっと後ろにいたアレグロモデラートといった辺りは結構いいポジションかなと思ったんですけれども、1000m過ぎたところからラップを落ちたところで、容赦なく川田騎手が動いたミッキーゴージャスですね。3、4コーナーでは完全に先行で飲み込むような勢いで直線入ると、そのまま最後まで粘り切る形になりました。2月に定年を迎える師匠の安田調教師に重賞をプレゼントするという、気迫にあふれる騎乗でした。

勝ち馬のミッキーゴージャスは、向こう正面から早めに動いて、結構苦しい競馬だったと思います。小倉は最後の直線追い風だったと思いますが、そこを使って何とか残したという形かなと思います。ミッキーロケット産駒というところがあって、ちょっと距離短いイメージもあるんですけれども、どちらかというと母のミッキークイーンが強くなっているようなイメージです。狙うなら2000m以上のレースなのかなというかところで、エリザベス女王杯などは合うのかなというイメージでした。ただ川田騎手が若い頃を思わせるような、もうある意味ガチャガチャと追うぐらいの走り、とにかく今日を勝つためって走りをしたので、反動がどうなるのかなというところとかは注意深く見ていかなきゃいけないのかなと思いました。最近のnetkeibaのコラムでは川田騎手の人間宣言なんか出てるんですけど、昨日の走りはちょっと若い頃のガムシャラな川田騎手が一瞬出たのかなというふうに思ったところですね。

2着のタガノパッションとか3着のコスタボニータはこちら内ラチ沿いでしっかり脚を溜めたのが良かったのかと思います。先ほど直線は追い風という話をしましたけれども、逆に言うと向こう正面は結構向かい風という形でしたので、この辺はしっかり先行馬を風よけにできた2頭が上位に来たのかなというふうに思います。あとは4着のアレグロモデラートですね。馬券的に私が狙ってたんですけれども、ちょっと正直すぎる競馬だったかなと思います。最初の直線からもうちょっと内にこだわって走っていけば、向かい風の影響なども受けずに足を溜められたのかなと思います。馬の特性もあるとは思うんですけれども、最近芯力でよく話題にする富田暁騎手ですが、まずその辺は甘いのかなというふうに思いました。以上になります。

蒼山サグ(以下、蒼):ありがとうございました。こひさんのほうから補足などございますでしょうか。

こひ(以下、こ):はい、もう私も川田騎手が絶対に勝つんだというレースの乗り方をするとこうなるんだなというところを改めて思わされた、非常に見ていて気持ちが伝わってくるようなレースだったかなというふうに思います。あとは今回乗り方的なところでは、あの、私もゆたさんと見解が似ているんですが、アレグロモデラートあたりはまた3勝クラスのほうを走れますし、そこでの実績というところではまだあまり足りない馬なので、人気がなければそういったところでスムーズに先行できるようなところの、まあこういった小倉みたいな綺麗な馬場だと比較的チャンスがあるタイプの馬なのかなというふうに思いました。

第71回日経新春杯

蒼:日経新春杯の回顧に移りたいと思います。こちらまずこひさんのほうからよろしくお願いします。

こ:今回の日経新春杯のほうですが、割と構図としてはすごくわかりやすくて、クラシック路線である程度の競馬をしていた4歳馬たちがまとめてエントリーをしてきましたというところに対して、古馬の大将格のブローザホーン、こちら一番人気でしたが、どう迎え撃つかというような構図だったかなと思います。先週からも触れてますが、やはり京都の芝自体は引き続き重かったかなと思いまして、そういったところの適性も含めて問われたレースかなと思います。

ペースが多分誰も想定していないような形でかなり速いペースで流れてました。今回先行しようとしていった馬がディアスティマリビアングラス、そしてシンリョクカというのは私の想定外でしたが、それぞれの馬が行ければ行こうかなみたいな感じでお互いのことを見てお見合いしているうちに、馬のほうがヒートアップしていったのかなというような、パトロールフィルムを見ての動きの印象ではありました。2ハロン目が10秒4でそのまま3ハロン目が10秒6で4ハロン目も落ち着き切らずの11秒9というような形で流れていきまして、その後一旦12秒7で緩んだんですが、また改めて12秒前半が2つ続くというような形になっています。ちょっと見直してますと、向こう正面でリビアングラスシンリョクカが接触をしていたり、あとリビアングラスの鞍上の田口寛太騎手がちょっと前に入られるのが嫌だったのか向こう正面のほうでもよく追ってポジションをキープしに行ったりというところもありまして、先行しているこの3頭は既に厳しいというようなレースでした。

最終的には最後一番後ろから外に仕掛けていたブローザホーンがまとめて全体の面倒を見るというような形になりましたが、その後ろにいましたハーツコンチェルトと、あとサトノグランツですね、この2頭も結構面白い攻防をしていました。私がレースを外から見ていた感じは、初めサトノグランツ川田騎手が早仕掛けをしちゃったのかなと思ってレースを見直していたんですが、これは前にいた3頭が垂れてくるのを見越しまして、たぶんハーツコンチェルトに外から締められる前に動かざるを得なかったんだろうなと考えています。結果的に2頭が併せ馬になった形になって早めに動いたというような形で、最終的にはロングスパート合戦みたいな形になっていくところで、後から仕掛けたブローザホーンにまとめてかわされたというような形だったのかなと思います。そういったところの内外を見た攻防というところですね。川田騎手と松山騎手の攻防というところはちょっと見直していると面白かったなというところです。

そんな中淡々と自分の競馬というような形で2着を取ったのが、池添騎手のサヴォーナですね。こちらはインでじっくり我慢して直線でも進路ができるまでしっかり我慢して追い出すというような形で、こういった前がちょっとやり合っている時のインで我慢をするというところの競馬では本当にお手本的な競馬でした。さらにキズナ産駒というところで重めの馬場適性もありまして、しっかりと残したというようなレースだったかなというふうに思います。ある程度ペースも流れましたので、前で足を失った組以外は概ね能力的なものは出し切ったのかなという印象のレースでした。

勝ちましたブローザホーンですね。相変わらず馬体がめちゃくちゃ小さくて、まだ426キロ、これでもプラス12キロという馬体なんですが、本当に去年から馬が充実してきたと思います。馬場が渋ったレースを狙って、そこで結果をコンスタントに残していたというところもありまして、今の時計のかかる長丁場の京都というのはもうぴったりだったかなというふうに思います。天皇賞でもこういった時計のかかる馬場になるかどうかというところが大きな分かれ目かと思いますが、それ次第では上位に顔を出す資格は十分にあるかなという印象です。

サヴォーナも本当こういったの長丁場で先行するキズナ産駒の牡馬、というイメージ通りの馬だなというような印象でして、上手く立ち回れることや、またそういったことが上手い鞍上なので、相手強化でも流れ一つでこういった形で上位に顔を出していくのかなと思います。3着のサトノグランツはちょっとハンデ自体が結構見込まれていたのかなというところで、外を回して一番厳しい競馬をしながらの3着なので、あまり悲観はしなくて良いのかなという印象です。

最後4着のハーツコンチェルトですね。この馬は相変わらず武井先生が派手なラッパをレース前に鳴らしてはいましたが、ちょっとこういったイーブンケース、速めに流れてロングスパート合戦になると、ちょっと思っている末脚が活きないのかなと思います。もう少しちょっと瞬発力勝負になる舞台を待ちたいなと思いますが、昨今の日本の競馬でなるとその舞台設定とはどこなのかなというところで、ちょっとハマりどころが難しいなというところもあります、一旦は、準オープンからやり直すということもあるのじゃないかなというふうに思いました。以上です。ありがとうございました。

蒼:ゆたさんのほうから補足などございますでしょうか。

ゆ:先週から京都の馬場が結構悪いって話だったんですけど、今日の日経新春杯なんかもうちょっと明らかに緩くなってるなっていう感じの馬場になってきてたのが印象的でした。1年使うと新装の京都でもここまで緩くなるんだなというのがちょっと気になったところがありました。この開催での好走した馬は春に買うときには注意が必要なのかもしれないというふうに思ってます。あとはあの個人的にはカレンルシェルブルから買っていて5着だったんですけど、武豊が結構こういうところできっちり着順を狙って持ってくるなっていうのは印象的で、完璧に望んだ通りの競馬をしてくれたので、やはり京都の乗り方は上手いなと思いました。

第64回京成杯

蒼:中山第11R京成杯の回顧のほうに移っていきましょう。こちらはまずゆたさんのほうからよろしくお願いします。

ゆ:最近はクラシック本番まで間隔を開けるのがトレンドっていうところもあったので、以前に比べるとちょっと格が上がってきた印象があるこの京成杯ですが、今年も新馬勝ち、2勝馬ともに素質馬が揃って見えた一戦だと思います。ただちょっと終わってみるとレース単独に見るとペースも遅かったですし、ラップもだいぶ甘くて、ちょっと評価はできないレースだったかなと思いました。

レースのほうを振り返りますと、まずアスクナイスショーですね。こちらが逃げる形で2番手にコスモブットレアジュンゴールドは外枠というところもあって中団で、その後ろの内でバードウォッチャーで後方2番手にアーバンシックという流れの競馬になりました。スタート直後はちょっと前やり合うというか何が逃げるのかなという雰囲気あったんですけれども、1、2コーナー入ったところではグッとペースが落ちて、3ハロンから6ハロンのところにとも12秒6、12秒1で13秒0が挟まって12秒6という流れだったのでかなり緩く流れたという形になってます。

この流れで噛み合わなかったのがジュンゴールドで、向こう正面では少し頭を上げるような走りでした。ちょっと脚を溜めていいところはないのかなというイメージですね。隊列が長くなっていたので、後方待機組が不利になる流れで早めに押し上げたのがアーバンシックという形になりましたが、あんまりだからといって馬群が凝縮するという形じゃなかったので、直線完全に前残りの流れとなってます。その中で直線では人急薄の先行馬がだいぶ粘ったんですけども、ダノンデサイルが前を捉えて1着と、直線は真ん中から伸びてきたアーバンシックが2着という結果になってます。

勝ったダノンデサイル。前走京都2歳ステークスが4着で、今日は前でうまく流れに乗れたのが良かったという走りでした。ただ、ホープフルステークス上位組と比べるとだいぶ差があるのかなというところがありまして、エピファネイア産駒、春に向けてここからロベルト系ですけれども急上昇という感じはしませんので、ちょっと買い方というのは難しいかなというイメージです。

このレース一番注目だったのは2着のアーバンシックかなと思います。上がり33秒9がこのレースで出る中では最速で、一番将来性は見えた走りでした。ただコーナーで追走するところもかなり苦労していて、完成度がまだまだというところも同じように印象的でしたね。2着というところで賞金が積めたのは良かったんですけれども、皐月賞は行けるけどダービーではちょっとどうなるかわからないという数字になっています。おそらくこの後直行で皐月賞に向かうとすると、掲示板が必達というような状況になりました。

去年はハーツコンチェルト青葉賞を使わざるを得なかった武井調教師と、あとは皐月賞は勝てましたけれども、負けパターンをうまく把握できずダービーを勝ち切らせられなかった、ある意味同じようにコーナーでの加速できないソールオリエンスを勝たせられなかった横山武史騎手というこの2名が、去年の経験をどれくらい活かせるかというのが問われる春のクラシックになるのかなというところが注目だと思います。ダービーから逆算してどんなローテーション、どんな調整でレース、どんな競馬をするかというところが、本当にうまくハマらないとダービーにたどり着かないなというのを改めて思わせる結果になりました。

ただその細い道は残っているだけの賞金だったりとかレース内容だったかと思います。端的に言うと武豊騎手友道厩舎みたいにダービーを勝つためだけに腹を括れるのか皐月賞ではダービーを勝つための乗り方、まあいわゆる武豊っぽい末脚を伸ばす乗り方をした上で皐月賞でちゃんと5着以内を取れるのかというところですね。騎手も厩舎も去年からの上積み成長を見守る春となりそうです。

蒼:ありがとうございました。こひさんのほうから補足などございますでしょうか。

こ:このレース自体はかなり素質馬が揃っていたんで、クラシックに直結するところになるかなと思っていたんですが、レース後としてはそれほどでもなかったかなというのが正直な意見ではあります。やはり先ほども話してありましたアーバンシックですね。クラシック路線に通用してもおかしくないだけの最後の末脚を出したかなというような印象ではあります。

あとはこういった3歳のある程度馬のキャラが固まっていないときの中山では、3着に着ているコスモブッドレアゴールドシップの血みたいなのが穴を持ってくるなというようなところに終わってから改めて感じましたね。あとはここで負けた組の見直しどころがちょっと難しいなというような印象と、ジュンゴールドは次どちらかというと少頭数のオープン特別でハナで気持ちよく行かせてもらえると賞金詰めるチャンスがあるんじゃないのかなという印象です。


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