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秋のダート三冠最終戦にミッキーファイトが名乗りを上げるレパードSと古馬ダート重賞エルムSの振り返り

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.08.04 16:30~からの文字起こしです。


第16回レパードS

蒼山サグ:
新潟の第7レースに行われましたレパードステークスの回顧に移りましょう。こひさん、よろしくお願いします。

こひ:
レパードステークスの回顧をさせていただきます。3歳のダートローテが今年から大幅にリニューアルされたところで、このレース自体は直接的な日程変更の影響は受けませんでしたが、ここに臨んでくるローテーションは多様化した印象の3歳限定重賞となりました。南関東の重賞路線を走った馬もいれば、ユニコーンステークスで3着以下になってその路線に乗れなかった馬、春にはサウジアラビアやドバイに飛んでいた馬や、条件戦を勝ち上がってきた馬で、かなり多彩なステップから良いメンバーが集まりました。

レースは、その南関東重賞を走り抜いてさらに古馬とも戦うなど、世代屈指の多彩なキャリアだったブルーサンが、いつも以上にスムーズに先手を取れました。同じく逃げようとしたピュアキアンの出脚が鈍かったこともあり、さらに外から好位のサトノフェニックスがすっと番手に収まったところで、ある程度思った以上に淡々と流れるペースになったと思います。

ブルーサンの直後にいて、最内からスタートした1番人気ミッキーファイトが、向こう正面でうまく最内から外に出す形で進路を取れて、自ら動ける外の3番手になったのが、このレースの一番大きなポイントだったと思います。前走ユニコーンステークスでは、やや自ら動けないポジションに入ってしまってスムーズさを欠く形で3着でしたが、ここで自分で動けるポジションにちゃんと持っていくことができたのが良かったと思います。

直線に入ると、懸命に粘るブルーサンに対して、外から好手応えでサトノフェニックスが並びかけ、その外からさらにミッキーファイトが伸びてくる形になりました。最後は完全にミッキーファイトサトノフェニックスのマッチレースとなり、ミッキーファイトが突き放して勝利しました。3着は好位の内から立ち回って距離ロスなく押し上げてきたミッキークレストという結果でした。

勝ったミッキーファイトは、春に超豪華メンバーとなったユニコーンSで1番人気に推されていた馬でしたし、その内容もロスがあってもったいない競馬で、普通に回れば2着も行けたかもというような競馬でした。しっかり間隔を空けて久しぶりの競馬になりましたが、やはり世代のトップグループに迫るパフォーマンスを改めて見せたと思います。自分で動けるポジションを早めに確保できた戸崎圭太騎手も、今回は前回以上に上手く乗れた印象です。この世代のダート路線の中心となるレースはやはり、ユニコーンSなのかなと思います。

2着のサトノフェニックス。昨年暮れの全日本2歳優駿からサウジで大敗、UAEダービーで取り消しと、かなり苦しい春の遠征をしてきたのですが、久しぶりかつ距離延長でも、もともとこの世代のダート路線で厳しい競馬、トップクラスのレースをしてきたという強さは見せた内容だったと思います。同じく4着のバロンドールもUAEダービー以来の競馬でしたし、3歳春に海外にチャレンジするような動きで、やはりそういったところで厳しい競馬をしてきたこともあって、なかなか新興勢力には負けないぞという力を示した、そういうレースでもあったと思います。

ミッキークレストがいわゆる上がり馬組と言えるでしょうか。唯一の馬券圏内でしたが、この馬については本当にペースが緩んだところで、インからロスなくポジションを上げてきました。坂井瑠星騎手の上手さが非常に光った内容だったと思います。今回5着にも南関東クラシック組のハビレという形になりまして、春の実績馬がこの後のジャパンダートクラシックに向けて、まだまだ新興勢力には負けないというところを示した内容であったと思います。また恐らく傾向的にも、春の勢力がそのままこういったところを争っていく構図になっていくのではないでしょうか。

対照的に2番人気であまり見せ場がなかったソニックスターですね。こういったところは東京の戦績ばかりのパフォーマンスというところが、新潟の1800mで問われるところが違ったような印象もありました。春に強い競馬、厳しい競馬をしてきた馬が優勢なレパードステークスという傾向が今後も続くのかというところは、しばらく傾向を見ていきたいと思います。以上です。

第29回エルムS

蒼山サグ:
それでは早速始めたいと思います。札幌のエルムステークスの回顧からお願いいたします。ゆたさん、よろしくお願いします。

くらみゆた:
海外帰りのドゥラエレーデが中心となっていた、夏のダート重賞エルムステークスとなりました。ハナを取りたい馬が多く見える出馬表でしたが、そういう時に限って隊列があっさり決まるのもよくある話で、結果として先行勢での決着となりました。

レースを振り返りますと、ミトノオーがスタートを決め、その外から早めに武豊騎手のドゥラエレーデが番手につける形になりました。この1コーナーの隊列が今回は大きく影響したと思います。人気の武豊が番手につけたので、そこから突っかけていくのは周りの馬を含めて難しく、それだけの手応えがある馬もいなかったようです。ただ極端にスローペースになったわけではなく、残り1000mからミトノオーが加速気味に上げていき、ドゥラエレーデがついていく形となりました。エルムステークスらしい持続力が問われる流れになったと思います。4コーナーでは前の3頭、ミトノオードゥラエレーデテーオードレフォンが手応え良く見え、ペイシャエスがその後ろからついていく形になりました。直線ではドゥラエレーデが押し切るかと思われましたが、最後にペイシャエスが差し切る形となりました。

勝ったペイシャエスは、隊列が固まったタイミングで内側、ドゥラエレーデの後ろにつけられたのが大きかったと思います。58kgを背負っていたこともあり、4コーナーではやや手応え悪く見えましたが、直線でテーオードレフォンを外に弾いて進路を確保し、しっかり脚を使わせた横山和生騎手の騎乗も良かったと思います。

2着のドゥラエレーデは、勝ちパターンの競馬でしたが、仕上がりがやや甘かったこともあり、最後は及びませんでした。武豊騎手は札幌1800mを上手く乗り、エスコートしやすいように見えましたが、ミトノオーの松山弘平騎手が必要以上に早めにペースを上げてしまった点が誤算だったかもしれません。松山騎手のペース判断については、割と厳しい評価をせざるを得ないことはこの回顧で何度も触れたとおりです。

3着のテーオードレフォンは、父ドレフォンで持続力を問われる流れなら、この程度は走れるところだと思います。エルムステークスは、秋のJPN1やチャンピオンズカップ、フェブラリーステークスとは異なる適性が問われる重賞でした。今回のメンバーの中では、2着のドゥラエレーデがまだ伸びしろがあると分かった程度ですかね。レースとしては例年通りのエルムステークスだったと思います。以上です。

蒼山サグ:
なるほど。ありがとうございました。こひさんの方から何か感想などございますでしょうか。

こひ:
ミトノオーは難しい馬だなと毎度感じますが、今回は序盤にかなり緩めていたように思います。この馬がハナを主張するときのラップは、どちらかというと序盤から飛ばすイメージがあるので、こういう競馬が向いていたのか、向いていなかったのか。前走平安ステークスも同じ松山騎手で勝っているのに、全然違うペース配分になったところが良くなかったのではないか?というのは、ゆたさんと同意見です。

あとちょっとピックアップしておきたい馬が2頭います。まずは4着のシルトプレですね。去年もこのレースで頑張って突っ込んできて5着だったのですが、今回もこの先行有利の中、1頭だけ後方から外から追い込んで4着というところで、こういった条件での強さを改めて見せつけたかなと思います。もう1頭は、最後ガス欠してしまった形にはなりましたが、大外からずっと運んで外を回っていたプロミストウォリアですね。この馬が1年ちょっとぶりの復帰戦という形になりましたが、序盤からこのペースにもしっかり乗れていまして、見どころはあったかなと思います。叩いた上で、この後どういう選択をしていくかというところは注目してみたいと思います。以上です。

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