届いた祈りの先に生まれたのは日本競馬最強の「わからせ」。超絶レコードを生んだテンから終いまでの強さを振り返る(第168回天皇賞秋・第12回アルテミスS・第66回スワンS回顧)
第168回天皇賞・秋
蒼山サグ(以下、蒼):本日は天皇賞秋の回顧一本勝負、色々ありましたので、なかなか回顧リアルタイムアタックも難しいレースとなったと思います。とにかく凄いレースだったっというのはみんな共通してると思うんですが、いつもの通りゆたさんからお願いする形で大丈夫そうですか?
くらみゆた(以下、ゆ):はい、よろしくお願いします。武豊騎手の直前乗り替わりというのがアクシデントとして目立って、イクイノックス・ルメールとドウデュース・武豊の対決を待ち望んでいたファンにとってはちょっと残念なアクシデントになってしまったんですけれども、結果としては素晴らしいレース、イクイノックスが圧倒的なパフォーマンス、1分55秒2というちょっと信じられないタイムでで勝ったレースとなりました。昨日の展望で「覚悟を決めろ藤岡佑介」という祈りを捧げたわけなんですけど。その結果、府中にとんでもない化け物、パフォーマンスが召喚されてしまったなと。陛下の前で「最強とは何かもわからせる」そんな走りを見せた天皇賞だったと思います。
早速スタートから見ていきたいんですけれども、大注目だったスタート。ジャックドール・藤岡佑介騎手は、最初の一完歩から覚悟を見せて走りでハナを取りに行きました。「本当にできるのか」とみんな思っていたと思うんですけれども、その中でも素晴らしい出足で良かったと思います。ただですね、その藤岡佑介の決死の覚悟を一瞬で殴り倒したのがイクイノックスのルメール騎手。スタートを切って最初の50m、おそらく藤岡佑介騎手が行けると思った瞬間、ジャックドールが内に入っていく時に軽くイクイノックスを内から張る感じで先行してくるんですよね。藤岡佑介騎手が先頭を取りにいったところの視界の左側からイクイノックスの勝負服が見えるわけです。昨日タイムトライアルのつもりでレースをして欲しいというような話をしたと思うんですけれども、その時点で逃げにも関わらず常にイクイノックスを頭の中に入れながらレースをしなきゃいけなくなってしまったという形になりました。前半の600mですね、12秒4、11秒0、11秒5。昨日の展望で話したよりは少し速いぐらいですので、藤岡佑介騎手としてはハナを取ったらもう少しペースを落としてコントロールしていきたかったと思ったんですけれども、そこまでの経過、最初の50mでイクイノックスは先行しているぞというのを擦り込まれたことで、本当に厳しい競馬を強いられたのかなと思います。なのでは藤岡佑介騎手、そうなるともう緩んだラップを刻めない、もうとにかくある意味恐怖から逃げるような競馬で11秒4が4ハロンの続くことを強いられて、結果として日本競馬の2000m、中距離戦で限界に近い持続力が問われるラップになりました。
このラップ正直速すぎなんですよね。ジャックドールにとってはもうちょっとゆったり入って11秒7ぐらいで刻まないと、彼の本来のパフォーマンスは出せなかったと思います。とはいえ藤岡佑介騎手は何のためにジャックドールがハナを取ったかといったらイクイノックスに勝つためなわけです。ここでイクイノックスが先行しているという中でジャックドールが今できるベストのパフォーマンスというのを目指していたら、明らかにイクイノックスの後ろから追走されて勝てる可能性が0%になったのは間違いない。ですから本当に0.0001%ぐらいだったと思うんですけれども、ジャックドールが勝つためにはあのペースで逃げ切るという絵を描くしかなかった、刻むしかなかったのかなと思いますの。結果として、暴走に近い走りになってしまったので、ジャックドールのポテンシャルを活かせるような競馬にはならなかったと思うんですけれども、これは本当にもうどうしようもなかったと思います。最終的にはジャックドールは11着という形で記録には残れませんし、正直この経緯を見ていない中で後からこのラップを見ると「これ暴走じゃん」、なぜこんなに暴走したのというような競馬だったと思うんですけれども、これはもう仕方がなかったのかなというか、藤岡佑介が男を見せた結果のこのラップだったのかなと思いますね。
一方でこのジャックドールの覚悟、とんでもないラップで引っ張る競馬が結果的に先ほども言いましたけれどもイクイノックスの潜在能力を全て引き出すという結果になってしまいました。ジャックドールの決死の逃げを見ながら、イクイノックスの方は余裕というか綺麗なフォームで追走していってですね、逃げるジャックドールのおそらく1秒ちょっと後ろを追走。おそらく1000m前半が59秒を切るぐらいというところで、そこから4コーナーでももうじわっと差を詰めるともう残り600mで減速するジャックドールを横目に馬なりで先頭を立つと、右下の速度メーターが一気に上がるような独壇場で後ろを2馬身半千切ってフィニッシュ。勝ちタイムが1分55秒2ですから、に昨日の話で1分56秒台ならジャックドールにも勝ち筋があるんじゃないかと言ったんですけれども、そんなものは殴り壊されたような走り。
2000m戦を平均で11.5ぐらいですからね。本当に圧倒的な追走能力を見せた形。昨日の展望ではポイントとしては藤岡佑介騎手の覚悟とドウデュースとイクイノックスの道中の後先というのを触れたわけなんですけれども、スタート直後のルメールの圧、それから圧倒的なイクイノックスの追走性能で戦術を全て無効化された形になってしまったのかなと思います。
2、3着は最後方から控えていた、天皇賞(春)の勝ち馬というところでステイヤーが来ているという結果。勝ち馬のスピードとスタミナが強すぎて、2着以下には本当にスタミナを浪費しない競馬、もしくはスタミナに強みのあるステイヤーしか来れない結果となりました。この速さと持続力というのが、まさにキタサンブラックが強みにしている部分で、着順を見ているとガイアフォースが2番手から5着に粘っているというのがポイントだと思っています。ガイアフォースもやっぱり父親キタサンブラックなんですよね。なのでやっぱりこういう圧倒的な速いラップを刻み続けるスタミナの追走能力というのはやっぱりキタサンブラック産駒としての強みだと思いますし、ある意味ガイアフォースの上位互換みたいな話でイクイノックスがいるわけですので、ガイアフォースは安田記念4着。当然もう出ないと思いますけど、イクイノックスは安田記念、マイルCSに出ても多分勝てちゃう、そういう馬だと思います。昔、武豊はメジロマックイーンはマイルでも勝てるなんて話をしましたけども、その令和版みたいな感じですよね。ウマ娘だとキタサンブラックはトウカイテイオーに憧れてますけど、その中身は実はメジロマックイーンだったと言ってもいいような気がします(笑)。ジャパンカップこの後もう一度イクイノックスの走りが見れるっていうのは素晴らしいと思いますし、今日のパフォーマンスを見るとリバティアイランドがどうこうできるというのは、ちょっと思えないなと。それこそアーモンドアイよりも強い競馬だと思いますので、最初からで白旗を挙げるわけにはいかないですけれども、ジャパンカップはどういう走りをするかを見るだけ、そんな前提のレースになってくるのかなと思います。あとはジャパンカップはもう勝ったら、現役としてやれることはもうないと思いますので種牡馬入りも仕方ないのかなと。クラブ馬なので色々規定もありますし、出資している方はもっと走りが見たいっていう方もいるとは思うんですけれども、もうちょっと走らせるのが怖いレベルの馬になってきたのかなと思っています。
蒼:はい、ありがとうございました。では続けまして、こひさんの方からまずはご意見いただければと思います。
こひ(以下、こ):はい、私はちょっとゆたさんがあまり触れてこなかったドウデュースですね。そこを触れたいなと思います。今回武豊騎手から直前で戸崎騎手に乗り換わりというような形になりました。当たり前ですが皆さん不安の声は上がっていましたし、結果だけ見ると7着というような形ではありましたが、改めてレースを見直していると、戸崎騎手はやれることはやった上での7着。この着順になったのはやはり適性やスピードの持続力というところの能力を問われた結果かなと見ています。ドウデュースの通過順のところ見ていただくと、4-4-4というような形になっているんですが、スタートして早いうちにイクイノックスの直後に入っているんですよね。なので昨日まさにこの芯力のスペースで道中どちらが前にいるかという話をしたんですが、明確にイクイノックスのルメール騎手が先行するという姿勢を見せたので、それを見たドウデュース、戸崎騎手としては、その後ろに収まるというのは極めて正しい選択をしたかなというふうに思っております。こんなペースでも若干かかり気味な雰囲気を見せた瞬間等はありましたが、道中の位置取りもちゃんとイクイノックスを倒しに行く姿勢というものをしっかりと戸崎騎手は見せていたんじゃないかなというふうに思います。それだけに4コーナー回って直線に入ると、逆にドウデュースの方が先に追い出すというような形にならざるを得ないというようにも見受けられたのは、このペースに対する適性の差というところも如実に出てしまったのかなと思います。最終的に上位に来た組ですね。ガイアフォースを除いたジャスティンパレス、プログノーシス、ダノンベルーガは自分の末脚の方で勝負した馬ではあるので、ドウデュースはガイアフォースとこの馬とあとはジャックドールですかね。彼らは倒しに行く競馬、イクイノックスを負かしに行く競馬をした組なんじゃないかなと見ています。そういう意味ですと2強の一角に数えられて、正々堂々とイクイノックスに挑んで真っ向から負かしに行った結果、掲示板の外まで沈んでしまったというような形にはなったので、一つ、ドウデュースの戸崎騎手としては時間もない中の代打起乗としてやることはやり尽くしたのかなというふうに見ていますし、そういったところがあったからこそより一層イクイノックスの強さというのが際立ったんじゃないのかなと思います。
あとは振り返ってすごく面白いなと思ったのは、今回の天皇賞のラップがイーブンペースで11秒5ぐらいを刻み続けているんですが、JRAの公式のレース動画では先頭の初速の時速が見えるようになった形になっていまして、あのメーターを見ていると本当に道中綺麗に62、3キロが続いてるんですよね。一般道の制限速度のあるところで安全運転をしているぐらいの速度を、ずっと哺乳類である馬が続けているということを考えると、それは大変なレースだったなと思います。本当に途中で50キロ台にならないんですよね、このレース。 そういうところでも今回の天皇賞というレースがいかに厳しい消耗戦だったかというところが見て取れますし、こちらゆたさんからのご指摘がありましたように。最後直線イクイノックスがガイアフォースを交わしていくところでグッと64キロぐらいに上がるところですとかは凄いなと思わされるので、今年の秋からかなり本格的にJRAの公式映像が切り替わりましたが、非常に価値を感じさせてくれるようなレースでしたし、我々もあの数字を見ながら道中のペースを正確に把握していけるようになりたいなと思ったレースでした。
後は後ろから差した2、3着馬ですね。自分の競馬をしたのか、この速度で流れるとあの位置取りにしかなれなかったのかと考えると、どちらかというと後者だったような気もします。プログノーシスはどうしても初速がつかないタイプという印象はありますし、ジャスティンパレスも天皇賞春を勝っているような馬ではありますので、そういう意味ではああいうポジショニングしかできないところから自分の競馬をやりきった形かなというふうに思います。少頭数で非常に厳しいペースになりましたので、適性・能力というものがそのまま現れるレースだったかなと思いますし、こんなペースだったからこそ、イクイノックスの全能力を見ることができたのかなと。1分55秒2の立役者は間違いなく藤岡佑介騎手ですので、ルメール騎手、レコードなのでメダルをもらえると思いますので、それは藤岡騎手の首にかけてあげてほしいなと思います(笑)。
蒼:はい、ありがとうございました。それではお二方から感想をいただきましたけれども、お互いの意見を聞いて改めて何か付け足しなどございますでしょうか。
ゆ:そうですね、ドウデュース、後ろから追いかけていって、先に手が動いて負けるという形でちょっと馬のメンタルに来る負け方をしてしまったのかなというのが気になります。先日の秋華賞でリバティアイランドが外から捲った時にコナコーストあたりがそれで一発で心を折られてやられちゃったみたいなコメントがあったと思うんですけど。自分のペースで行ったジャックドールはさておき、前にイクイノックスを追いかけていったのに。手を伸ばしても届かないというか、こんなに苦しいのに前を軽々抜け出していくっていうのを見せられてしまうと、やっぱりメンタルに来てしまうんじゃないかなというところになるので、どうここからジャパンカップに向けて立て直せるのか、この後どの路線に進んでいくのかっていうのは難しいなというところも含めて結構負荷が残るというか、肉体的な負荷だけじゃなくて本当にいろいろなことを本当に「わからせられてしまった」レースだなというふうに思いましたね。
こ:そういう意味ですと今回のイクイノックスが完全に古馬勢との勝負は付いたレースだったかなと思いまして、あとは使ってジャパンカップだけかもなというところではありますが、ここでジャパンカップにリバティアイランドが三冠牝馬として出てくるというマッチアップが準備できているのがすごく素晴らしいなと思いますね。普通はこれだけのレースでやりきって、あとジャパンカップとなると若干消化試合のような雰囲気になってしまいがちではありますが、斤量差4キロを持った3歳牝馬最強が来るというところは、やはり並びですとかいろんな条件も含めれば、もしかしてがないとはやはり言えない条件というのは本当に歴史が示してきているので。
蒼:そうですね。どれぐらい差が縮まるかというのはわからないですけど、アローワンスがあるというのはちょっとした期待感にはなりますね。
こ:そこでイクイノックスと戦えそうな馬に乗って戦いを挑める川田騎手がどんな選択をするかというところも含めて、今回武豊対ルメールという、戦前は五分と見られるようなマッチアップが流れてしまったのは非常に残念ですが、次ジャパンカップで今度は川田対ルメールになってどういう挑み方をしていくのかというところ。まだジャパンカップにそういった興味が残るというのがイクイノックスは最強馬ではあるんですけれど、同時に戦う相手にも恵まれた馬だなと思います。「ただ強いな」という印象だけではなくて、印象的な相手と戦っていくキャリアを最後に積めるというのは素晴らしいなと思います。
第66回スワンS
蒼:まずはスワンステークスから行きたいと思うのですが、こちらではこひさんのほうから先にお願いできますでしょうか。
こ:スワンステークスは年々位置付けというのが難しいポジションになってきていまして、今年のメンバーを見ていても短距離馬とマイラーと1400専用馬がそれぞれに集まってくるようなごった煮の交差点になっているような、そんなレースかなと思います。マイルチャンピオンシップのトライアルという意味合いはもう完全に富士ステークスに移りつつある中で、出走馬それぞれがこの条件どんと来いではなくて何らかの不安を抱えていたレースだったかなというような印象でした。レースとしましてはその中でも一番分かりやすく短距離馬で距離に不安があるトウシンマカオが逃げたことによりまして、結構ペースが緩やかな形になったかなという印象です。結果的にはもう内を通ったら圧倒的なアドバンテージがあったレースと言ってしまって良いのかなと思いまして、勝ったウイングレイテストはそうですし、2着のララクリスティーヌも早めにポジションを外から取りに行った馬、3,4着は内を上手く立ち回ったロータスランド、ルガルというような競馬になりまして、結果的には枠順やポジションというところに大きく左右されるようなそんなレースだったかなと思います。
勝ったウイングレイテストですね、この馬は本当にこの夏から秋にかけて充実してきているなという印象で、今回はやはり枠的にスムーズ番手につけられる枠を引いてそれを鞍上がしっかりと活かした、そういった意味ではすごくいい騎乗だったかなとに思います。この馬自身も先行して率直に立ち回りの上手さというところもありますので、非常に今回は上手くハマったなというような印象です。特に松岡正海騎手がかなりレース後に喜んでいるような写真ですとかが上がっていまして、ずっと長らく乗ってきた馬で重賞までたどり着いていて、非常に本人的には嬉しかっただろうなというようなレースかなと思います。
2着のララクリスティーヌ、この馬は去年の秋から冬は非常に活躍していたんですが、ちょっと夏場は2戦ほど使ったんですが結果が出ていませんでした。また涼しくなってきた時期にコンディションが戻ってきたのか、こちらも鞍上の菅原明良騎手の積極策というところがすごく伝わってくるようなレースだった。そういったところも上手くかみ合いまして、今年も秋から活躍してくれそうなパフォーマンスだったかなと思います。レースとしても外目の15番枠を引いたんですが、それなりにしっかりとポジションを取りに行った上で外から塞がれないようにうまくコントロールをしていたような印象です。特にここから先マイルからちょっと短いところでいうと牝馬の限定戦も含めてかなり番組も豊富にあるので、今年もその路線ではしっかりと走るだろうなというふうに思います。
あと目立っていたのは3着のロータスランドですね。なぜ18番枠から内をすくって出てきたのかというところで、さすが岩田康成騎手という素晴らしい騎乗だったというふうに思います。改めてパトロールを見直していても本当にうまく一番後ろに行って内に入れていくというレースだったんですが、ちょっと面白かったのが後ろに誰もいないのに後ろを振り返っていたのが個人的にはツボでしたね。4着のルガルはこちらも本当に内をうまく立ち回って差し込んできたという形で非常にお上手なレースだったなというふうに思います。ただ3歳で武豊、こういった形で4着となるとちょっと次に人気になりそうな気はしまして、そういう意味ですと今回枠にも恵まれてうまく乗れた部分もあるので過大評価はしないほうがいいんじゃないのかなというふうに個人的には思います。
今お話しできました通り内をうまく立ち回った馬がみんな並んで上位に来るというようなレースになりまして、一番人気になったアヴェラーレは枠の並び的にもポジション的にも途中動きようもないようなところで囲まれてそのまま外側に運ばれてしまったようなレースでしたし、人気でしたグレナディアガーズについては、一番後ろからああいうレースをしていかないと苦しい馬ではありますので、このペースで平坦の京都ではちょっとこれが精一杯だったなというような印象です。ただ阪神カップではしっかりと走ってくるのではないかなというふうに思っています。このレース見直したいのはやはり外を回らされた馬ですね。そういったところは見直す余地は大きいレースだったのではないかなというふうに思います。以上です。ありがとうございました。
蒼:それでは、ゆたさんのほうから補足などございますでしょうか。
ゆ:2点ほどですかね。まずはウイングレイテスト、前回も2着というところで詰めが甘いところがあり、ちょっとそろそろ新コンビで新しい姿を見たほうがいいんじゃないかなみたいなことも前回の回顧で口走ったんですけれども、今回見事に松岡正海騎手で勝利というところで報われてよかったなというふうに思いました。展開とかもいろいろ向いたと思うんですけれども、今回は本当にこの馬の良さを生かしたレースだったので、継続騎乗の良さがよく取れたのかなというふうに思っております。あともう一つですね、先ほどこひさんからもありましたが、各路線から出走馬が集まっているんですけれども、結果として一級品のスプリンターというのがなかなか出てこない1400mのレースという形になりますので、やはりペースも遅かったりというところで割と距離短縮の馬のほうが連対しがちというところがあって、今回もそういう形であまりそのスプリント能力、追走能力は問われなかったのかなというふうに思いました。その辺は来年に向けて、覚えておいたほうがいいかなというふうに思っております。
第12回アルテミスS
蒼:東京競馬第11レースのアルテミスステークスのほうの回顧に移りたいと思います。こちらはまずゆたさんのほうからよろしくお願いします。
ゆ:このレース、圧倒的にノーザンファームの生産馬が強いレースなんですけれども、今年もノーザンファーム生産馬のワンツースリーという結果になっております。ほぼ人気通りの決着ということで、結果的には改めて6月のボンドガールの新馬戦組のレベルの高さというのが示された結果だったと思います。レースのほうなんですけれども、ショウナンマヌエラが想定通りの主張というところで前半の800mが48秒0、ラップ自体も12秒0ぐらいのラップが続いていくという淡々とした流れになりましたので、典型的なラスト3ハロンの末脚勝負のレースになったと思います。
勝ったチェルビニア、前が開くまで少し時間がかかりましたけれども、終わってからは一気の伸びで、これレース自体の上がりが11秒4、11秒2、11秒0といわゆる後続ラップを33秒3の上がり差し切ってますので、ここは完勝といっていいレースだったと思います。ハービンジャー産駒らしからぬ斬れ味だったとは思うんですけれども、今日は流れ的にもかなり末脚を発揮しやすい流れだったというのも事実ですので、この後ラップペースが上がってきたときに同じ脚が使えるかというところはまだ疑問があるかなと思います。そういう意味では同じマイルでもサウジアラビアロイヤルカップのほうが厳しい競馬だったのかなというふうに思います。
2着のサフィラ含めてそこまでここで来ている組にレベルが高い印象はなかったので、ジュベナイルフィリーズに出てくるようであれば、馬券としてはボンドガール頭に人気数に流したいなというちょっと思いに絡んだレースになりました。新潟に2歳Sを勝っているアスコリピチェーノも今日のショウナンマヌエラの走りを見ているとそこまで絶対視するのは難しいかなと思っております。あとは3着のスティールブルーですね。早めに先頭に立ちながらも後ろからサッとされるのは何かもう典型的なルーラーシップって感じでちょっと切ない感じでしたけれども、能力は出し切っていると思いますので、もうちょっと上がりのかかるもしくは4ハロンぐらいの競馬になってくれば楽しみかなと思っております。以上になります。はい、ありがとうございました。
蒼:それではこひさんのほうから補足などございますでしょうか。
こ:はい、そうですね。今年のアルテミスステークスも完全に終い3ハロンの競馬になっていきましたというところですが、勝ったチェルビニアは勝ちっぷりで見ますとなかなか直線外が開くまで待ってかなり余裕を持って追い出した形であったので上積みはありそうだなと思うというところはあります。一方、母がチェッキーノ、ハッピーパスというところでいわゆるハッピートレイルズの牝系というとどうしてもG1になると一歩足りない形の牝系、プラス父親がハービンジャーというキャラクターを見るとなかなかその呪縛から逃れるのがこの血統構成を見て難しいのかなみたいなところは思うところはありまして、今後のところでも割といいところはありつつ惜しい競馬をしていくキャラになるんじゃないのかなというようなところもちょっと思わされているなというところではあります。とはいえラップとかを見ているとまだ上積みはある可能性はあるかなとは思います。
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