見出し画像

一貫して評価してきたベラジオオペラが勝利!その勝因と今後の期待を振り返り(第68回大阪杯・第56回ダービー卿CT回顧・2024ドバイ雑感)

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.03.31 16:30~からの文字起こしです。


第68回大阪杯

蒼山サグ(以下、蒼):大阪杯の回顧をゆたさんからお願いします。

くらみゆた(以下、ゆ):昨日のこひさんの展望でもあった通り、ドバイで人馬が抜けている中で行われた大阪杯。4歳馬の世代レベルが疑われる中で、ダービー以降じっくり育てられたベラジオオペラが今回快勝するという結果になりました。

レースを振り返りますと、キラーアビリティのスタートがちょっと良くなくて外に寄れる形になってしまったというのが一つありました。私の馬券はここで終わってしまったんですけれども、一方でうまくその外に馬を置かずにポジションを取りに行けたのが、その内にいたベラジオオペラ。内から馬なりで上がっていくスタニングローズの外からハナに立とうというような勢いで番手を確保することができていました。去年の大阪杯の回顧でも触れているんですけれども、阪神の芝2000mはやっぱり1コーナーまでの出口でいかにスムーズにポジションを取れるかというところはとても大事になってくる周回コースになりますので、そういう意味で横山和生騎手がしっかりやるべきことを遂行した最初の15秒だったのかなというふうに思います。

戦前の予想通り逃げ馬もいなかったというところもありましたので、スタニングローズが刻んだラップ、やっぱり1コーナー過ぎてググッとペースが落ちて向こう正面ではスピードメーターが56km台が見えるという展開になっていました。その遅いなというふうに思った瞬間に動き出したのが戸崎圭太騎手のローシャムパーク。これラップ後から見ると12秒5、12秒6というところでしたので、ここで押し上げるというのは一つの判断としてありだったのかなというふうに思いました。ローシャムパークが捲って、ソールオリエンスがそこに続くという形になりました。ただローシャムパークも、別にベラジオオペラをかわすような動きもしなかったので、その後はまた一旦落ち着くような形で11秒台中盤を続くような競馬となりました。急流とまでは言わないものの、それなりに持続力が問われる流れという大阪杯にありがちな流れで4コーナーを迎えるという形になっています。直線に入ると、抜け出すベラジオオペラローシャムパークが追いかけるというところもありましたが、ちょっと差は縮まらず、内からはルージュエヴァイユ、最後外からはステラヴェローチェが差し込んでくるも、ベラジオオペラが差し切ってG1を発生という形になりました。これも上村洋行調教師も嬉しい勝利ですね。

勝ったベラジオオペラは、一貫してこの芯力の回顧でも評価してきた馬で、特にこひさんからは昨日の展望でも強く推していただいている馬でしたので、この勝利というのは、この回顧できちんと能力評価ができた馬があったなという印象があります。個人的には2番人気まで上がっていたので、ここまで評価されるのは驚きましたが、この勝利も納得というところです。このコースにおける自在性、それからスピードというのは、このメンバーでは一枚上の結果だったのかなと思います。

最初に話した通り、横山和生騎手もしっかりやるべきことをやり切ったというところもありましたし、ダービーの後無理せずに休ませた上村調教師の判断も良かったのかなと思います。ちょっと世代レベルを疑われていた4歳世代ですが、やっぱりきちんと古馬相手に勝負できている馬というのは、結果を今回残せたというところもありました。そういう意味では、前走古馬相手の2着、ちょっと離されましたけれども2着に入ったドゥレッツァというのは、普通に評価してもいいのかなと改めて思いましたね。後半の1000mは、このコースにありがちなロングスパートでしたが勝ち切りました。最後の12秒2のラップがかかったところはありましたが、宝月記念などに向かっても、それなりに評価してよいのではないでしょうか。

2着は、ハービンジャー産駒のローシャムパークでした。ベラジオオペラの母父もハービンジャーだけに、血統が利いたと言えるでしょう。ある意味、全体のレベルが上がってきていない中で、内回り2000mの適性が問われたレースだったのかもしれません。戸崎騎手は最近、ペースが落ちた時に押し上げる競馬がちょこちょこ目立つところがあるんですけれども、今日も後半でそれが見られました。とはいえ、最後追いかけても届かなかったのは、スタート直後に前に行けなかったので、道中を動かざるを得なかった結果とも言えます。ローシャムパーク自体は先行もできたと思うので、どうしてこういうレースになってしまったかというところは、レース後のコメントも確認しておきたいところですね。やはり、道中動かないと、ポジション取った方がいいですし、各馬のレベルが接近している中では、ちょっとしたそういうロスが命取りになるのかなと思います。

戸崎圭太騎手のコメント
「内枠だったので、スタートが決まれば前に行くことを考えていたのですが、スピードの乗りが悪く、途中から動いていく作戦に切り替えました。」

https://www.radionikkei.jp/keiba_article/news/post_31833.html

3着はルージュエヴァイユでした。1コーナー手前で内に潜り込んだいわゆるセコノリで3着に入りました。これは、やることはやった結果だと思います。4着はステラヴェローチェで、よくやったとも言えるし、もったいなかったとも言えそうな内容でした。馬自体は屈腱炎から復活し、ここで4着に入るっていうのは立派です。ただバゴ産駒ということを考えれば、ここでちょっとタイトルを取りたかったなというところはあるかもしれません。もうちょっと積極的な競馬で、このままどうなったか見たかったと思います。スタート直後ちょっと抑えてしまって、後ろからの競馬になってしまったのはちょっともったいなかったように見えました。この辺もレース後のコメントは見てみたいと思います。

酒井学騎手
「ハナに行くことまで考えていたのですが、思ったより進んでいきませんでした。」

https://www.radionikkei.jp/keiba_article/news/post_31833.html

あとは4歳のクラシックでタスティエーラソールオリエンスですね。ソールオリエンスの方はブリンカーつけて自分から動いていく競馬もしてますので、ちょっともう集中力が続かないのか、これが精一杯なのかなというイメージもあります。タスティエーラについては、ちょっとここまでドカ負けするのはあんまりイメージがわかなかったので、こちらもちょっとメンタル面の問題がありそうだと思います。4歳は全体的な世代レベルの低さもありますし、このクラシック2頭についてはメンタル面の問題を抱えてしまっているのかなと思いますので、ちょっとしばらくは馬券的には難しいのかなという印象です。

蒼:続いてこひさんからもよろしくお願いします。

こひ(以下、こ):勝ったベラジオオペラ、横山和生騎手、本当に昨日こういう競馬をしてほしいと言った通りに乗ってくれました。本当に個人的には非常に満足度の高いレースでしたね。やはり横山騎手は本当に初めからちゃんとポジションを取りに行くと決めて動いていったところかなと思います。もともとから持っている自在性、そういったところのコントロール力の高さ、あとダービーからずっと乗り続けてきたというところの一定のキャリアの間での信頼関係、そういったところ全てがうまく今回噛み合ったのかなと思います。

改めてレースの結果を見ていましても、最終的に残り1000mぐらいからのロングスパート合戦になったというところがありまして、他に前に行っていた馬は意外に残っていないレースなんですよね。なので、そういう意味でもこの馬がちゃんとこのレースを前受けして勝ち切ったというところは着差以上の強みというところはあったかなというふうに見ていいかなと思いますし、同じように立ち回りのうまさを求められる舞台設定では引き続き期待できるんじゃないかなというふうに思います。この芯力の回顧で、スプリングステークスの時からこの馬は普通のスプリングステークスの勝ち馬ではないんじゃないかという話をしていたところから、1年でこういった結果まで辿り着けていたので、継続的に競馬と真剣に向き合うということの意義というところを教えてもらった馬かなというふうに思います。

あとは他の馬でも気になったところで言いますと、やはりこういったロングスパート合戦になりましたので、ある程度道中ちゃんと内を意識して回ってくれる騎手というのがやはり自然と上に来たなというような印象です。先ほどの回答でもありましたルージュエヴァイユの菅原明良騎手も本当に決め打ちのように内をすくってきましたし、ステラヴェローチェの酒井学騎手も位置取り自体は真ん中ぐらいの中間からというところでありましたが、内から2頭目のところきっちり回ってきているというところで、そういったところでのロスのない競馬というところが結果に直結をしてきた。またそういう競馬ができる馬が上位に入るというレースがやはり大阪杯というレースだったなというようなところを改めて思わされましたね。

また、タスティエーラがそう考えますと、今回この流れとポジショニングで言いますと勝っててもおかしくないぐらいのいいポジションにいたかなと思っていまして、それでここまで伸びなかったのはちょっとなかなか理解が難しいなというふうに思います。こういったロンスパが向かなかったという側面はあるのかもしれないんですが、消耗性の位置づけになっていた皐月賞でも2着できているように過去そういう舞台でも一定の結果を出せてはいた馬かなと思っていまして、今回は別に騎手としては最善の与えられた枠で最善の競馬をした中でこういう結果だったというのは、ちょっと諸々の陣営の振り返りのコメントを見てメンタルなのか体調なのかといったところに原因があるのかというようなところを、注視していきたいなというふうに思います。

昨日の展望で一定の期待をした馬がみんなそういった競馬をしてくれましたし、あとは全体としてもローシャムパークの鞍上の戸崎圭太騎手がちゃんと動いたということで、数字的な完全な凡戦になることもうまく避けられたなというような側面もありまして、非常に見ごたえのあるレースになったかなと思います。スタート直後にキラーアビリティですね、その周辺のところが若干ごちゃついたというところはありましたが、本当に騎手の意志力、どう乗るというような意志が割と結果につながってという点で、非常に見直してみて面白いレースになったなという印象です。はい、以上になります。

蒼:戸崎騎手は、ここは自分が勝たなければいけないと思ったのでしょうかね。

こ:そういう意味では、本当にベストではなかったかもしれませんが、後ろからの位置取りになったときに、最善の選択はしたと思います。多分、そこで動かなかったら、上がり33秒台で先行した馬がみんな残ってしまうようなレースになっていたと思いますので、戸崎騎手の動きがこのレースの価値を上げた側面はあるかなと思いました。

ゆ:戸崎騎手としては、この馬のメンバーだったら、やはり自分が勝ちたいと思ったのだとしたら、彼にしては素晴らしいと思いますし、普段からそう思っているのではないでしょうか。ここで勝ちきれないというのが、ちょっとまた評価を上げづらいところではありますね。

こ:あとベラジオオペラは、並ぶとしぶといですよね。チャレンジカップなどでも、もっと差し込まれそうなところを踏ん張れたりしていた記憶もあります。この馬の勝負根性的なところを、うまく引き出したのは横山和生騎手のうまさかなと思いました。

第56回ダービー卿チャレンジトロフィー

こ:はい、それではダービー卿チャレンジトロフィーの回顧を進めさせていただきます。春の中山の伝統のハンデ重賞という形ではありますが、リステッドによるオープンレースの細分化というところもあって、トップハンデから最軽量までが3キロに収まるというような形になりました。一定の実績がある馬による構成になった印象です。

また、今週も天候がちょっとイマイチだった影響もありまして、中山の芝の状態というところにも左右されるレースかなと見ておりました。人気は3連勝中のディオが今戦の中での一番人気というような形になっていました。

レースとしましては、スタートからセッションが行く気をちょっと見せたんですが、その外の方でスムーズにスタートを切ったものの、気性面の懸念もあってか、あまり内に入らずに周りに馬のいないコースを選んでいた印象のエエヤンですね。この馬が外のグランデマーレからのプレッシャーというのもあってか、内に入れていってからやや折り合いが難しくなったかなというふうに思いました。ここで鞍上のM.デムーロ騎手が腹をくくってハナに行きまして、そのまま後ろにはセッション、その外に張り付くパラレルヴィジョンというような形になったところで、体勢そのものが固まりきってしまった、そういうレースだったかなというふうに思います。

先手を取りましたエエヤンはこのまま淡々と自分のペースで進めていくんですが、後続はちょっと完全にフリーズしてしまったような形になりまして、そこまで早いペースで行ってもないにも関わらず、二番手以降との差は広がる一方というところです。あとは途中の5ハロン目でM.デムーロ騎手が11秒0とやや早めのラップを刻んだこともありまして、見た目の差がさらに広がってしまいました。今は人気の一角でもありましたパラレルヴィジョンですね。先ほど申しました通り二番手の側にいた馬も前を自ら4コーナー手前から追っかけるというような形で直線に入っていきました。

最後直線ですが粘るエエヤンですね。このままだいぶしぶとく粘っていたんですが、最後はさすがに足が上がった形になりまして、徐々にパラレルヴィジョンが追い詰めて最後はかわしたところがゴールだったというレースでした。エエヤンは普通に自分のペースで進めていたところ、後続だけがドスローの競馬になってしまったなというところと、ドバイの裏らしい騎手構成だったなというところもありまして、不思議なレースになってしまった印象です。

こうなってしまうと、人気になりましたディオもそうですが、道中外を回った組は苦しいですし、中途半端に控えた組もなかなか良い脚が使えない、他の馬と同じぐらいの脚になってしまうというところのレースでして、レースから何かを得られるというよりは、エエヤンがずっと低迷していたところにある程度前に行く形でちょっと新境地が見えてきたかなというところと、何より勝ち馬のパラレルヴィジョンがいよいよ軌道に乗ってきたという、充実ぶりだけが印象に残るレースになったかなと思います。

終わってみれば荒れた内の芝を皆が避け、勝ち馬はキズナ産駒で二着はシルバーステート産駒と、馬場と種牡馬についての学びを得るレースだった、といったかたちかなと思います。

2024ドバイワールドカップデー雑感

こ:まずはドバイゴールドカップですね。このレースは日本馬がこういう長距離戦に行くと、意外に結果が出るだろうというような甘さというところが、必ずしも毎度そういうものではないんだよというところを、サウジに引き続いてちょっと突きつけられたような形だったかなと思います。サウジと比べると、たぶんリビアングラスアイアンバローズも、やりたい競馬はやれていた印象での力負けというようなところでもありまして、どういう馬を持っていくかみたいなところは改めて考えないといけないなというような印象です。

次のアルクオーツスプリントですね。このレースはまさかメイダンで新潟1000m走りがやれるのかというところで、画面に映らないというような衝撃的なレースで、面白いチャレンジではありました。結果としてこれはやらないほうがいいという教訓を持ち帰ってくれたレースかなと(苦笑)。新潟と比べると、ゲートの一番外から外ラチまでの距離が大きいですね。そこでの距離損も大きかったかなというような印象です。プラス、別にそんなに芝の状態は悪くなかったんだろうなというところは思わされました。

続いてUAEダービーですが、このレースは私個人としては日本馬が勝ち切ってほしい、坂井瑠星騎手が勝ち切ってほしいと思っていたレースでした。実際に結果もそういった形になって本当に良かったと思います。ケンタッキーダービーに向けて100ポイントを取れてほぼ確実に出られるだろうというところで、このレースで果たすべきミッションはフォーエバーヤングそして坂井瑠星騎手がきっちり果たしてくれたという印象です。この後のゴールデンシャヒーンやドバイワールドカップの結果を見ていても、今年のドバイのダートは、内からスルッと突き抜けた馬がなかなか止まらない、そういった類のダートだったという印象でして、そう考えますと、外から動いたフォーエバーヤングの強さというのは着差以上に評価できるのではないでしょうか。これはサウジでも同じような感想を抱いた気がするのですが、そういった意味では着差以上に強いパフォーマンスを、2戦続けてやっているのかなと思います。うまくキックバックをくらわないポジションが取れるという条件だけは、一点課題としては残っているかと思いますが、そこまで全ての課題を解決してクラシックに挑めるわけでもありません。日本馬としては最高の条件を整えた上で、ケンタッキーダービーに挑めるという形になるかと思います。

次にゴールデンシャーヒンについてお話しさせていただきます。日本馬にとって最も鬼門とされていたレースではありますが、今年は2着、4着、5着という結果を残すことができました。アメリカの馬のトップ層が参戦しなかったことも影響していますが、一定の成果を出せたことは非常に喜ばしいことだと思います。優勝したタズの走りは別次元でしたが、ドンフランキーは自分の競馬をしっかりと展開し、粘り込むことができました。リメイクナカトミと共に伸びてきたのは良かったですね。イグナイター笹川翼騎手のお行儀が悪かったのは残念でしたが、5着という結果は立派だと思います。日本馬のスプリント路線のトップホースが出走できるレースはこのレースしかないため、今後もこのチャレンジを続けていくことで、結果につながっていくのではないでしょうか。非常に期待の持てるレースだったと感じております。

ドバイターフについてですが、昨日の予想で言っていた不安が的中してしまったような形になりましたね。ドウデュースはスタートで少し出遅れを打ってしまうと、コーナーがワンターンの競馬では挽回するのが難しいという点を改めて突きつけられた内容だったと思います。この馬は長所もありますが、少し脆さもある馬ですので、そう考えるとコーナー4つのほうが挽回しやすいタイプの馬なのかなと改めて感じました。ナミュールは予想以上に強い競馬でした。外から突っ込んできて、首の上げ下げのタイミングが悪かっただけの2着というところで、早めにペースが流れた条件であれば、どんな状況でもしっかり結果が出せる馬だと思います。ダノンベルーガは国内ではこれほど向いた条件はないので、ここでなんとかしたかったところではありましたが、今回はペース的に自分の出番ではなかったのかなという印象です。また、このレースではルメール騎手が落馬してしまいました。アメリカのキャットニップという馬に乗っていて故障したような形でしたが、ここで落馬してしまい、鎖骨と肋骨の骨折というニュースも聞こえてきています。この後の乗り替わりも含めて、影響が大きいレースだったという印象です。

それを経ましてドバイシーマクラシックですが、このレースはみなさんもそうですが想定と全然違う結果になったなというところでして、前に行った3頭がペースをうまくコントロールして、完全に自分たちの競馬に落ち込んでしまいまして、その後ろにいたジャスティンパレス以下があまり積極的に動けなかったところもあって、思わぬ形での前残りというようなところでした。とはいえ後ろから来た組も、そこまで来たほどはじけなかったなという印象もありまして、なかなか海外遠征の難しさというところを改めて突きつけられる競馬だったなと思います。そんななかで、藤原厩舎のシャフリヤールですね。この馬はまだまだ衰えていないなというところと、こういうところにしっかり合わせて馬を作っていける陣営の経験値の高さというのはすごく感じました。リバティアイランドはちょっと思ったほど弾けなかったのかな、前の馬、後ろの馬含めて動きを待ってしまったのかなというところと、ジャスティンパレスはわりといいところにいていい競馬をしていたわりにはじけなかったなというところがありました。これも私もちょっと期待してた馬ではあったので、なかなかまだ自分の中で整理ができていないですね。最後はデットーリ騎手への乗り換わりになったスターズオンアースですが、有馬記念でも見せていました。右に追い出して持たれるところがうまくデットーリ騎手の感覚的なところとインプットできていなくて、ちょっとコントロールができなかったという印象で、直前の乗り替わりの難しさを感じました。いくら相手がトップ騎手であっても難しい馬は難しいというところを改めて思わされた、そんなレースだったかなと思います。

ドバイワールドカップですね。勝ったローレルリバーが前であれだけ強く突き抜けられてしまうと、後続からするとどうにもできなかったなというところで、ここは潔く日本馬としては負けを認めざるを得ないレースだったかと思います。2着のウシュバテソーロは、なんだかんだであんなに安定しなさそうな脚質な馬でありながら、しっかりどんな舞台であってもこういった形で結果を残してくるというところが本当に素晴らしいなと思いますし、今回はちゃんとセニョールバスカドールに対してはしっかり先着をしたというところで、能力はしっかり発揮したかなというところですし、ウシュバテソーロセニョールバスカドールの2頭が、今年の中東のレースではこの2頭が強かったなという印象です。またウィルソンテソーロの原優介騎手とドゥラエレーデのムルザバエフ騎手ですね。この2人は本当にうまく能力は最大限発揮させたんじゃないのかなと思います。ウィルソンテソーロの脚の溜め方もそうですし、ドゥラエレーデも内枠で、この馬もキックバックを嫌がる性質がある中、うまく導いていたなという印象で力は発揮できたんじゃないでしょうか。最後デルマソトガケは、馬装整備もあって、ゲートの中に入ったところで頭をガンガン振っていていつもの精神状況でなく、すでにゲートの中で終わっていたなという印象でして、このあたりが乗り替わりの影響だったのかも含めて、直前のアクシデントによる難しさというところが出てしまったなというところで、この馬に関しては残念ですが、それでも6着には来るというところが素晴らしいなと思います。

蒼:はい、ありがとうございます。では、ゆたさんの方から自由に何か一言いただければと思います。どうでしょうか。

ゆ:そうですね。今回のドバイの結果自体は、日本馬の層の厚さというか、みんな掲示板に乗っているわけで、悲観する必要はない内容だったのかなというふうには思います。ただざっくり芝とダートで位置づけが違うのかなというふうには思いました。

やはりダートの方は、先ほどこひさんからもお話がありましたが、基本的にここを目標にしてくる馬が多かったです。その中で今回1着が取れなかったところがありましたので、そこに関してはやはりまだまだ勝ち切るまでにはいたらない。やはり強い馬がアメリカにもどこにもいるなというところを感じさせられましたし、その中で絶対勝たなきゃいけなかったフォーエバーヤングがしっかり勝ち切ったというのは本当に、狙い済ませて勝っていたのは矢作調教師さすがだなというふうに思いました。

一方で芝に関して言うと、もちろんここで勝ちには来ていると思うのですが、言ってもやはり春の始動戦。賞金が欲しいからここは勝ちには来ているのでしょうが、ガチの仕上げでここで世界一決定戦をしてきているわけではないというところもあるので、そういう中で各陣営の甘さというか、負けたら負けたでしょうがないのかなという、仕上げ、使い方、戦術だったのかなというのは特にリバティアイランドなんかを見ているとちょっと思ったところではありました。

やはり春のG1の目標というのは、日本だと天皇賞(春)はちょっと長いですし、宝塚記念には馬場が悪い。大阪杯使うぐらいだったらドバイ使った方が賞金はいいみたいな感じなので、なかなか統一した目標が定まらないところがあるなというのは改めて思ったところです。ドバイと日本に分かれてしまうからG1層が薄くなってしまうということ自体はそんなに心配してないのですが、やはり各陣営がどこを目標にしているのかが分かりづらい分、勝ちきれないというか、やはり負けることも、掲示板には入るけど負けることが多々あるという位置づけに、サウジにしろドバイにしろ、芝のレースというのはなってきているのかなというふうには感じたところです。

逆に言うと、日本の競馬の最高峰は天皇賞・秋でジャパンカップがあり、有馬記念なのかなというのを、昨日の結果を見ながら思った次第ではありますね。その中でも繰り返しになりますが、唯一絶対に勝たねばならなかったフォーエバーヤングが勝ったということは本当に良かったと思います。

こ:ドバイの後でルメール騎手が離脱は避けられない状態になっています。それを踏まえての春のジョッキーの動き、ルメール騎手自身も暖かくなりつつ合ってようやく動くようになってきたかなという感じになってきたところでの離脱という形になりましたので、これがいつになったら帰ってこれるのか、また戻ってきてどういうパフォーマンスを出せるのかというところでは本当に心配な形かなとは思います。正直、落馬のシーンの映像を見ていると、もっと危なくてもおかしくないのかもなと直感的に思ったのはありましたので、まだ鎖骨・肋骨というと、動きとしてはある程度戻りそうな場所かなと思います。復帰の見通しが立ったのは不幸中の幸いだったのかなと思っております。たぶん来週、いろいろ乗り換わりのニュースが出てくるのかなと思いますが、そのあたりが注目ですね。

ゆ:本当にあの落ち方だとすごく心配でしたが、鎖骨と肋骨の骨折、それくらいで済んだのだったら、1か月とか2か月で乗る騎手を今まで見てきたので、なんとかダービーにギリギリ間に合うのか間に合わないのかぐらいかもしれないのかなと思うので、本当にそれくらいで済めばよかったなと思います。逆にルメール騎手がいなくなって、残った騎手はみんな目をギラギラさせていくのかなと思います。どういう騎手がここで、ルメール騎手が離脱の間に上がってくるのか、楽しみというにはよくないですが注目はしておきたいなと思います。

蒼:若手だったり、最近では北村宏司騎手とノーザンとの関係を興味深く見ていたりで、そういう騎手のチャンスがあるかもしれませんからね。

同人誌通販のお知らせ

C103「ディープインパクト 後世に遺したゲート」

#C103 にて頒布した同人誌。テーマは「種牡馬ディープインパクト」。 英雄が未来に遺し紡いだ莫大な功績をさまざまな視点から振り返り考察します。A5/44P/500円

C102「福永祐一 あんそろじー」

#C102 にて頒布した同人誌。テーマは「騎手・福永祐一」。公式本と読み比べていただけると、より楽しめる一冊に仕上がっております。A5/32P/500円

C101「ウマ娘読本Make debut!」

#C101 にて頒布した同人誌。蒼山サグと多彩な執筆陣でお届けするウマ娘合同誌です。2022年末時点のアプリ登場ウマ娘完全網羅の史実年表や4コマ漫画など。B5/34P/500円


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?