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ロマンチックウォリアーの強さばかりが目立った勝利に少しの物足りなさと秋への展望を(第74回安田記念・第77回鳴尾記念・第138回目黒記念回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.05.26 16:30~からの文字起こしです。


第74回安田記念

蒼山サグ(以下、蒼):安田記念の回顧。こちらはまずはゆたさんの方からよろしくお願いいたします。

くらみゆた(以下、ゆ):今回、香港の最強クラスロマンチックウォリアーが参戦というところになりましたので、これがどういうレースを見せるかというところが見どころだったと思います。結果を見ると、日本の今のマイル最上位クラスが能力通りに走ったけども、力の違いを見せつけられてしまったというレースでしたかなと思います。

レース振り返りますと、古馬のマイル戦線らしく、そこそこきれいに揃ったスタートで始まりました。その中でも目立ったのが、ロマンチックウォリアーの好スタートでしたね。外からセリフォスあたりも良いスタートだったんですけれども、すぐ下げましたので、そういう意味ではこの好スタートでポジションをまず取れたというのが大きかったと思います。

ハナ争いなんですけれども、予想通りドーブネウインカーネリアン。ただ、ドーブネが割とすぐハナに立ったことでペースが落ちたので、前半の3ハロンが34秒台という形。馬場状態が稍重とはいえ、だいぶ緩い流れだったのかなと思います。ロマンチックウォリアーが取りこぼすとしたら、距離短縮で前が飛ばした時にポジションを落としてしまって、うまく馬群が捌けずぐらいかなと思いましたので、このタイミングで好スタートからペースが落ち着いてしまった時点で、もうちょっとほぼほぼ勝ち確演出みたいな感じになってしまったかなと思います。

3コーナーから4コーナー、ここでまたもう一回息が入るという流れになりましたので、あとは完全に上がり勝負の競馬というところで、前をどう捌けるかというだけでしたね。フィアスプライドの坂井瑠星騎手とあとはステラヴェローチェの横山典弘騎手が結構ガチンコ勝負をロマンチックウォリアーに挑んだかなと思ったんですけれども、前のフィアスプライドがちょっと内に寄れてしまったところもあって、もう進路を確保されたらあとは独走態勢。着差以上の強さを見せつけてロマンチックウォリアーの勝利となりました。2着に追い込んできたナミュール、3着にソウルラッシュという形になっています。

勝ったロマンチックウォリアーは、とにかく今の日本のマイル路線では、ちょっと格が違ったなという勝利でした。ドーブネウインカーネリアンのあたりは、もうちょっと引っ張ってくれたら、いいレース、もうちょっと面白いレースだったかなと思ったんですけれども、今回楽に追走できていましたので、ちょっとこの流れだったら、勝って当たり前という形だったと思います。日本の今のマイル路線は、前から飛ばして力を出し切るようなレースをする馬が少ないので、そういう意味で言うと、香港勢に限らず、今後も中距離からの展開組にひねられるというのは今後も見られるかもしれないなというふうに思いました。もうちょっと、せっかくの安田記念ですので、ペースの締まったレースが見たかったなというところが正直なところです。

あとは2着のナミュールですね。今日もスタートそこまでよくなかったんですけれども、今回はヴィクトリアマイルと違って、ペースが緩んだことで、だいぶ追走が楽になっていました。あとは道中、エルトンバローズが内を狙ったタイミングで、うまく馬場の良い外に出したのも、武豊騎手上手かったと思います。4コーナーで無駄なく斜めに外に出して、あとは直線、追い込むだけという形になりまして、今日は本当に終始スムーズな走りだったと思います。能力を出し切っている2着だったのかなと思っております。

あと3着のソウルラッシュ、こちらも道中、馬場も比較的向いたと思いますし、レースも比較的スムーズだったんですけれども、最後は差されての3着というところ。ルーラーシップ産駒というところもあって、周りが速い脚を使えるときは、それなりに脚が使えるんですけれども、上がり1位は使えないというところが、やっぱり弱さとして、このG1善戦で止まりというところに出ているのかなと思いました。各馬能力を出し切って、勝ち馬のパフォーマンスも素晴らしかったレースだったと思います。それだけに、ペースを含めて日本のマイル路線は今はちょっと物足りないのかなとは思いさせられました。今後もちょっと別路線組からの殴り込みが来ると、結構その馬にやられちゃうかというところは見られるんじゃないかなと想定しています。

蒼:4歳馬が2頭しかいなくて、1頭がエルトンバローズですから、新鮮味が現れてほしいところですね。若干、いつメンというか見慣れた馬ばかりみたいな感じになってしまっていて、その辺は刺激が足りないなとは思いました。

ゆ:そうなんですよね。あとはロマンチックウォリアーは本当に強かったですから、香港馬なので仕方ないですし、だからこそこの6歳までしっかり能力を出し切れているというのはあるんでしょうけど、これだけの強さを見ると本当に引退後にロマンチックなことができないのが残念だなとはちょっと思ってしまうところでありました(笑)

蒼:(笑)。続きまして、こひさんからもよろしくお願いいたします。

こひ(以下、こ):本当にロマンチックウォリアーの強さにつきましては、ゆたさんのおっしゃる通りかなと思います。個人的に馬券を買ってたところもあって思ったのは、ソウルラッシュモレイラ騎手のポジショニングですね。枠が出た時には、多分外からウインカーネリアンが行くので、それにくっついていけばいいポジション取れるんじゃないのかなという風に見立てをしていたんですが、レースを見直していても、ウインカーネリアンはなかなか行かないなと言って待っているうちに、内側の方からすでにロマンチックウォリアーが前の方に行ってしまった。そのロマンチックウォリアーの後ろが欲しいなとなるんですが、そこはもうスタートから完全にそこを狙う決め打ちをしようとしてたかのような形で、今回の回顧ではあまり存在感がないんですが、パラレルヴィジョンルメール騎手。ルメール騎手が一目散にロマンチックウォリアーのケツの後ろにつけていくところがありまして、そのポジションも取れずというところ。結果的にロマンチックウォリアーと比較をしまして、一つ後ろの列、一つ外の列というところになってしまったというところもありまして、非常にやりにくい競馬になってしまったと思います。ここら辺はモレイラ騎手らしからぬところだったかなというところで、もう少し前からロマンチックウォリアーを迎え撃つ形であれば、もう少し結果が変わったかもなというところは思わされたところですね。

あとは、ゆたさんの回顧のほうの中でもありましたが、面白かったなと思うのが、エルトンバローズナミュール武豊の位置交換みたいな動きをしていたなと思ってまして、この回顧でもよく西村淳也騎手がしっかり内を狙っていく、一言で言うとせこく乗るというところに長けているという話がよく出ますが、外の16番枠から対列で言いますと、4コーナーのところでは内につけていたというところは、さすがだなというところと、ナミュールをだから内に入らせてもらえるでしょうというような動きをしていたようにも見えまして、この辺りは武豊騎手と西村淳也騎手の双方のやりたいところがうまく噛み合ったような形で動いていたようにも見えていて、非常に面白かったなというようなところでした。

個人的には、ソウルラッシュを勝つんだったら、馬場が渋ったところもあってここしかないんかなと思いましたが、残念ですね。私も別路線組への殴り込みというところと、それに加えてNHKマイルカップで、今年の3歳馬のマイル路線がかなり分厚いというところも感じたところもありまして、秋は3歳馬がこのメンバーがやってどういうふうな形になるかなというようなところが楽しみかなと思いますし、今日のレースを見てますと、3歳馬の台頭というところも見てみたいなというような印象になりました。以上でございます。

蒼:はい、ありがとうございました。お二方から意見をいただきましたが、何か最後に補足などございませんでしょうか。

こ:そうですね。あまり攻防とかそういうものはなく、この流れになったので実力通りに来ました、というような感じのレースだったなとは思いますね。

蒼:そうですよね。ゆたさんからも話もありました。展開的に特に目新しいこともということになってくると、なかなか回顧もしづらいですね。

こ:多分後ろからの決め打ちをしていたセリフォスの川田ジョッキーはどんな気持ちだったんだろうな、というのは思いました。

ゆ:私はジャックドールが無事に来たら、もうちょっと面白かったなぐらい。

蒼:結果ともかく面白かったのは間違いないですね。

第77回鳴尾記念

蒼:今週土曜日に行われました鳴尾記念も回顧していきましょう。こちらのこひさんの方から、よろしくお願いいたします。

こ:前の週に先ほど回顧しました目黒記念があって、来週にはエプソムカップがあるというような形で、距離若干違うにしろ、合間に挟まれて結構メンツが分散しつつある形かなと思います。とはいえ、今年はで最後は先行した馬が残れるペースでもありましたので、2番手から粘ったエアサージュが3着というような形のレースでした。

ヨーホーレイクは本当に久々の重賞勝ちという形で、金鯱賞、新潟大賞典と2年の休養明けから3着、3着ときて、ここで完勝というような形で完全復活というような形になりました。もともとこの馬自身も2歳の時からホープフルステークス等でしっかり走ってましたし、早めから動けたタイプですが、6歳で重賞を勝てるというような形で、非常に牧場や厩舎、友道厩舎の力というところを感じさせられるなと思いました。一線級と当たった場合にはどこまでやれるかなというところは若干ありますが、中距離重賞においてはまだまだ出番はありそうかなと思いますし、器用に自分の能力分走れるタイプでもありますので、常にケアが必要なタイプかなと思います。

ボッケリーニモレイラでもうワンパンチというところを狙いましたが、ここはもうちょっと同じ勝負服の馬、同じ厩舎の馬というような印象のレースだったかなと思います。3番人気してました4歳のニホンピロキーフについては、道中なんとなくずっと外を回らされていって、しかも早めに動いてしまったというところで、まだ田口寛太騎手の若干若さを感じるなというようなレースでしたので、改めてちょっと枠順を含めたところでの見直しは余地があるかなと思います。

あとは4着のヤマニンサンパですね。この馬が唯一後ろからしっかり足を使って伸びてきたというところで、この末脚は見どころがあったかなと思います。ちょっとキレないタイプではありますが、条件次第でオープンクラス以上で勝てるんじゃないかなというようなところは感じました。

第138回目黒記念

こ:目黒記念は、結構ダービーと似たような距離で前後しているレースですが、結構違った展開になってくるという印象になります。今年はダービーが上がり5ハロンの競馬で、目黒記念が上がり3ハロンの競馬という形で、かなり大きく質が違うレースになったそんな印象でした。

特にこのレースは、ケイアイサンデラが離して逃げるという形で、バラジが実質逃げに近い2番手という位置取りだったんですけれど、上記2頭の騎手はダービーに乗っていなかったというところも影響をしてか、道中はケイアイサンデラのラップですら完全な中だるみという形になりました。残り800mぐらいで差はさすがに詰まってはくるんですけれど、大幅なペースアップにはならず、事実上3ハロンの瞬発力勝負にという形です。序盤から先行していましたシュヴァリエローズが、本当にじわじわと伸びてきて止まらずに抜け出そうとするところに対しまして、クロミナンスシュトルーヴェが飛んできてかわしきった、そんなレースだったかなと思います。

勝ったシュトルーヴェですね。この2走前の準オープン勝ち、これ東京でしたが、この時は33秒台の瞬発力勝負で、モレイラ騎手が外へ進路が空いてから追い出す仕掛けを待つような形というところも、結果的には良かった印象です。日経賞とはちょっと違う競馬でも勝ちきれる方が、総合力の高さや充実ぶりというところも感じさせましたので、今後もかなり安定感のある形でレースを送り始めるような形で仕掛けていけるんじゃないかなと思います。

2着のシュヴァリエローズですね。この馬も直近ちょっと距離を伸ばしていいところが出てきましたが、この馬も馬券圏内に来る時には大体33秒台の足を使っているパターンですし、3着のクロミナンスも準オープンで32秒台の足で勝ち上がっているという形の馬でした。長距離戦ですが、瞬発力上がりの速さが出せる馬のレースになったと、そういった形のレースだったかなと思います。人気していましたサトノグランツマイネルウィルトスがいましたが、この2頭についてはその展開が若干この2頭には向かなかったな、それによって足りなかったかなというような印象です。あとは見直せそうなのはジューンアヲニヨシが直線狙っていたものの、直線完全に前が最後詰まってしまいました。この辺りは見直せるようなレースだったかなと思います。

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