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例年以上の馬場状態が結果を左右した函館オーラスの2重賞を振り返る(第56回函館2歳S・第60回函館記念回顧)


第56回函館2歳S

くらみゆた:
例年は函館開催組、同距離の1200から、もしくは1000mからの延長でないと通用しない函館2歳S。勝ち馬の血統をみても主流血脈から外れた短距離志向、ダート志向が強い馬が並んでいる。ところが今年は東京芝1400から短縮、キタサンブラック産駒のサトノカルバナルが勝利。今後が非常に楽しみな結果となりました。

スタートはニシノラヴァンダが二の脚で先頭に。続いてスタートはそこまでなかったものの推してエンドレスサマー。注目のサトノカルバナルは押っつけながらもしっかりレースに乗って4番手からの競馬。ヤンキーバローズは中団からの競馬。逃げたニシノラヴァンダが3コーナー手前から前も積極的に引っ張って、スプリント戦らしい競馬に。逃げ込みをはかるニシノラヴァンダを追って追ってサトノカルバナルが捉えると1馬身1/4をつけての完勝。2着には逃げ粘ったニシノラヴァンダ。3着は好位からエンドレスサマーとなった。

勝ったサトノカルバナル。堀厩舎に父親が厩務員として所属している佐々木騎手が鞍上だったが、チャンスを活かして重賞初勝利。今年は怪我で出遅れたが、一番人気をしっかり勝たせたのは立派で今後更なる期待ができそうです。そして堀調教師。キタサンブラック産駒の高額馬を函館2歳Sに使ってきたというジャッジは驚きました。日本競馬の頂点がダービーだけに、まず距離を持たせようとする陣営が当たり前の中での路線選択。もちろん兄ジャスティンスカイがスプリント路線に転向したこと、ミオスタチン遺伝子型がCC型ということを踏まえての選択肢だとはいえ、この時期に最初からダービーを諦める路線を狙うという堀調教師の決断力には恐れ入る。「とりあえずダービーを目指す」ことで、過去の短距離にポテンシャルを持つ馬が、マイル、中距離を使うことで、鈍らペースしか経験できずに、スポイルされてきたのも歴史的事実としてあるのも事実。葵Sなど短距離重賞の充実で、最近は3歳の春からスプリント路線という馬が増えてきていたが、ついに2歳夏から素質馬がスプリンターを目指すというチャレンジがはじまったことには注目しています。

個人的にはクラシック路線を目指すかと思ってPOGで一位指名した馬が函館2歳S勝ちということで、嬉しいようなちょっと複雑な気分ではあるが、ここからバリバリのスプリントのペースで鍛え上げてれば香港でも通用するような1200-1600無双の馬ができあがることに期待したい。是非朝日杯、NHKマイルカップマイルカップで生ぬるいペースで賞金を詰んできた馬達をぶった切る姿をみたいですね。

第60回函館記念

くらみゆた:
毎年データ上は、巴賞組の苦戦が前提となる函館記念。Bコースの2週目と言うことで今年ももう少し外差しが決まってくるかと思ったが、思った以上に良好な馬場での開催となり、今回は巴賞1着馬のホウオウビスケッツが連勝。穴党には難しいレースになりました。

レースはアウスヴァールが逃げる形でスタート。2番手にホウオウビスケッツが入ったところで、後続各馬が前を追い掛けず。結果的に1コーナーに入る前、1周目のゴール過ぎたあたりでラップが落ち始める、かなり前が有利な前半でレースが始まりました。そのまま向こう正面に入っても、レースの起伏はなく、12.0秒台を淡々と刻む形。その割にはかなり馬群が広がった形で、前2頭にはかなり楽な競馬で4コーナーに。好位勢のトップナイフオニャンコポンの手応えが全然なかったことで完全に前は楽逃げの状態。最後の直線はホウオウビスケッツが早々にセーフティーリード。中団の前目内にいたグランディアが2着。最後は粘ったアウスヴァールが3着にはいりました。

勝ったホウオウビスケッツ。スタート直後に楽に2番手を取れたこと、アウスヴァールが11.8〜12.1の起伏のない前が一番スタミナを残しやすい流れだったこととあって、とにかく全てが楽な競馬でしたね。勝ち馬は去年のスプリングSの回顧でベラジオオペラとともに素質を評価していた馬。中央場所やメンバーが揃うと難しいが、ローカル重賞なら馬場が良くても、悪くてもしっかり走り続けられるのでは。2着のグランディアはローカル芝2000mの鬼、ハービンジャー産駒。今日は前が手応え悪い上に、進路があっさり空いたことでスムーズにコーナーが回れたのが大きかったと思います。3着アウスヴァールは鞍上フルキチのペースメイクが素晴らしかったのと、ホウオウビスケッツに可愛がってもらえたのがよかったですね。あとはオニャンコポン、トップナイフ、デビットバローズは全く反応しなかったのが気になるところなので、レース後のコメントを確認したいところです。

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