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ルメールは何故内を選んでしまったのか?川田の圧倒的オーラに想いを馳せる3歳マイル王決定戦(第29回NHKマイルカップ・第72回京都新聞杯・第46回新潟大賞典・かしわ記念回顧)

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.05.05 16:30~からの文字起こしです。


第29回NHKマイルカップ

蒼山サグ(以下、蒼):東京で行われましたNHKマイルカップのレース回顧をゆたさんからお願いいたします。

くらみゆた(以下、ゆ):昨日の展望でも触れた通り、実力馬が揃った今年のNHKマイルカップ。終わってみれば2歳王者2頭の強さが目立ったレースとなりました。レーティングも結構つくんじゃないかなというレースだったと思います。

レースを振り返りますと、まずスタートですね。大外のアルセナールが大きく出遅れてしまいました。この馬はいろんなところで期待されているところがあった馬なんですけど、今日はここで終わってしまったかなというところです。一方でスタートを決めたのがジャンタルマンタル。結果的にはこのあと含めて川田騎手がスタートからゴールまで完璧な競馬だったなという印象です。そんな中でハナ争いになったのがボンドガールキャプテンシー、あとは外からマスクオールウィンで行くという形になっています。最初の2ハロンが10秒7で、3ハロン目が11秒3。スピードメーターを見ていると一気に上がって下がっていくという形だったので、この前の2頭については特にちょっと制御がきかない感じでの逃げになったのかなと思います。

好位で並んでいたのがアスコリピチェーノジャンタルマンタル、中位にゴンバデカーブースというような形になっていました。先ほど話したとおり、最初の2ハロン、特に150mぐらいを飛ばしたこともありましたので、前の2頭は息を入れたいということで4ハロン、5ハロン目が12秒0という形。ここで後続はちょっと前を詰めて一団の競馬という形で直線に入りました。したがって上がり3ハロンの勝負という形になっています。直線に入ると前にいたキャプテンシーマスクオールウィンを前に、好位の一番人気、二番人気がどう仕掛けるかという競馬になったわけなんですけれども、完璧だったのが川田騎手ですね。ルメール騎手のアスコリピチェーノキャプテンシーマスクオールウィンの間を狙って内に進路を取った瞬間に一気に仕掛けてルメール騎手がパッキング。それを尻目に一気に抜け出すと、あっという間にセーフリードをつけて最後までしっかり走り切らせて、見事なG1勝利となりました。

勝ったジャンタルマンタルは体調的には本当に皐月賞からギリギリ平行線といったところに思えましたけれども、これだけの着差がついたというのは、とにもかくにも川田騎手の騎乗が完璧だったことの証明だと思います。大外からもしっかりゲートを出すとじわっと内に寄って、アスコリピチェーノの横にきっちりつけてブロックする体勢、ここから先ルメール騎手には一瞬も外に出させる隙を作らせなかったという形になっていますね。前に馬を置かずにしっかり折り合ってブロックするという形で、道中も完璧な技術を見せておりました。

直線に入るとマスクオールウィンの斜め後ろを確保、最後の直線は焦らず慌てずに自分の進路を作りながら、アスコリピチェーノに窮屈な競馬をさせる形に。直線入り口に入ったところのパトロールビデオを見ると、アスコリピチェーノマスクオールウィンとぴったり重なって帽子しか見えないくらい、嵌められてるので、ぜひ見てほしいなと思います(笑)。あとは残り400mくらいのところで、ルメール騎手が内に進路を取った瞬間に大きなアクションでマスクオールウィンに一気に並びかけて、アスコリピチェーノを潰す形ですね。あとは直線一気に突き抜けて隙は全くなしの圧勝という形になりました。本当に川田騎手がルメール騎手に何もさせなかった競馬だったと思います。もちろん勝ち馬とも見事で、なかなか主軸が定まらないマイル路線に王者誕生といったところで、本当に秋競馬が楽しみです。ここまでのレースぶりは常にレベル高いところを見せていますので、古馬との対戦も期待できるかなと思います。

あとは2着のアスコリピチェーノですね。これだけの不利を受けて2着なのですから、やっぱり能力はかなりのもので、まともに走っていれば勝ち馬に迫っていたというのは間違いなかったと思います。こちらも秋が楽しみでジャンタルマンタルとの再戦は楽しみにしたいですね。直線の進路取りは、横から見てる分には「なんでこんな競馬に」という感じの進路になってしまったんですけども、パトロールビデオを見ると、確かに一瞬マスクオールウィンキャプテンシーの間は空いているので、そこを狙うのは全然不思議ではない形だったと思います。ただマスクオールウィンが手応え悪くて、ルメール騎手が進路を選んだ0.01秒後ぐらいから、フラフラっと内に流れてきてしまって、ジ・エンドという形になりました。横から見てるだけだと制裁はルメール騎手かなと思いましたけど、多分これは岩田康誠騎手とルメール騎手に両方をに制裁、もしかしたら岩田康誠騎手の方が大きい制裁になるのかなというようなイメージです。ちょっとこの辺は制裁の結果を確認したいと思います(レース後に両者に3万円の過怠金の制裁との発表)。

もう一呼吸待てば、これだけマスクオールウィンが手応え悪かったので、ジャンタルマンタルの外を狙えた可能性もあったわけなので、ちょっとあくまで結果論でというところになるんですけども、ルメール騎手はちょっと休みだけで少し勘が鈍っていたのかもしれないなとは思わせました。他の騎手だったらあれですけど、ルメール騎手ですからね。ちょっと少しだけ勝ちに焦ってしまったと言ってもいいのかもしれません。

あとは3頭出しになったモーリス産駒ですね。下位に沈んでしまいましたが、特にはシュトラウス。正直言って、マイルのこれだけ強い馬が前々で競馬して、勝ち馬は上がり33秒9で上がっている中で、後ろでチンタラついていって34秒1でしか上がっていないので、ちょっとこのままではいっても何もないかなという形。一度中距離で逃げる競馬を見せてほしいなというのは個人的な思いではあります。以上になります。

蒼:はい、ありがとうございました。こひさんの方からもコメントありましたら、よろしくお願いいたします。

こひ(以下、こ):このレースの見どころは、ルメール騎手と川田騎手の駆け引きというところでした。私はルメール騎手が「川田騎手ジャンタルマンタルが絶対にルメールが来るのを諦めるまで仕掛けないぞ、外の進路は許さないぞ」というぐらいのプレッシャーを感じていたのかなと、見直していて思いました。横からレースを見ているときには、ルメールが内に切れ込むアクションを見て、ルメールは追い出すのを川田が待っていたんだなと見ていたんですけれど、どちらかというと、このままだと本当に極限まで、絶対に間に合わないぐらいまでレースが運ばないと川田が追い出さないんじゃないかと、逆にルメール騎手の目からは見えていて、やむなく内を選ばざるを得なくなったのではないでしょうか。

待って外に出すということが、相手が並の騎手並の馬だとできるのかもしれないんですけど、今回みたいに1,2番人気が抜けた形で、しかも相手が川田騎手というふうになったときに、そこが待っても間に合わないかもしれない、みたいな仮説まで立ててこの選択をしたのかもしれません。改めて見ていて思ったところです。ちょっとそういったところが、どれぐらいコメントとかから見て取れるかというのは分からないですが、その辺りちょっと気にしてみたいなと思いました。本当に非常に騎手同士のいい駆け引きが見られたレースだったと思います。

あとは見直すべき馬という意味では、今回ですと最後のラストの3ハロンが全部11秒台前半が並ぶ形、プラス能力的に強い2頭が前にいて、その後ろを追う形になったというところで、ある意味後ろの組からすると出番がなかったというような形だったかなと思います。後方から脚を伸ばしてきて6着から10着ぐらいまでの間に入ってきたような組というのは、シンプルに見直せるかなと思います。出遅れて最後9着まで追い込んできたアルセナールは、本当にもったいない競馬だったというところです。うまくパフォーマンスが出せると、かなりこの世代でも強いところにはいるんじゃないのかなという印象を持ちました。あとはディスペランツァチャンネルトンネルアルセナールといったところも、ちょっと見直していきたいなという印象です。以上です。ありがとうございました。

蒼:最後に何か付け足しなどもしあればどうでしょうか。

ゆ:確かに川田騎手とルメール騎手、お互い手の内を分かっていたので、そこでルメール騎手が内を選ばざるを得なかったという可能性もあるので、その辺はnetkeibaの川田騎手のコラム、またちょっとドヤ顔で語られると思いますので楽しみにしたいですね。強いオーラを発揮して、もうちょっと外に絶対出させないという空気があったのかもしれないですね。

こ:ディスペランツァについて、サグ先生いかがでしたか?

蒼:力的にこんなものかなっていうところと、あと上がりが今回34秒1しか出せなかったので、ちょっとペース的な問題なのか、それとも他の問題があったのかっていうのは確認したいですね。

第72回京都新聞杯

蒼:京都新聞杯の回顧です。よろしくお願いします。

ゆ:今回はキズナ産駒だらけの京都新聞杯という感じでしたが、レースの流れもキズナ産駒が得意な流れになりました。結果的には少し人気薄のキズナ産駒の1、2着という形で、この春のダービーに繋がるかは分かりませんが、秋以降に楽しみな馬が賞金を積んだのかなと思います。

レースは、バラついたスタートとなりました。その中で横山典弘騎手のウエストナウが先手を取る形でハナを奪う展開。ただ1コーナー手前でアクシデント、おそらく1周目のゴール板あたりで、ウエストナウが物見をしてしまったのか、突然外へ逃避してしまいました。かなり派手に逃避してしまったので、その外にいたファーヴェントプレリュードシチーあたりがかなり外に振られてしまうことに。なおこれは完全に馬の要因の逃避という形になりましたので、ウエストナウの調教師と横山典弘騎手は制裁が科されています。

そんな感じでバタバタとした感じで始まったレースでしたが、改めてウエストナウが内に戻って逃げる形になりました。ただアクシデントもあったことで、ペースメイクするというよりは、シンプルにスローで逃げる展開で、馬群もかなり詰まって横に広がった流れ。そのまま坂を登り切るまではゆったりとした流れでしたが、レースが動いたのは京都らしく坂の頂上を越えてから。そこからは11秒台連続する4ハロンのロングスパートレースという形になりました。直線に入ったところでは、外からまくった組の勢いが一瞬良いようには見えたんですけれども、やはりこういうスローでは距離ロスも響いて、脚が続かず。直線、ウエストナウが粘るところを内を突いたジューンテイクが差し切って決着という結果。

勝ったジューンテイク。ロスが多かった各馬の中で、この馬は逃げ馬の後ろ好位のインをベタで追走と、無駄のない進路取りができていました。直線でもちょっと外が開かないと見るや、十分間隔ありました内をしっかり選択と、狙い澄ませた進路取りでの勝利という形になっています。今年好調の藤岡佑介騎手、ちょっと今は乗るだけで大変な状況ではありますが、このレースは見事の手綱捌きだったと思います。藤岡佑介騎手は、かしわ記念ではちょっと無理した競馬をして、ちょっとよくない進路取りでしたが、それを含めても去年に比べるとやっぱり攻めの気迫が目立つ印象がありますね。とにかく事故には気をつけた上で、今後の競馬は続けて欲しいなというふうに思いました。勝ち馬の血統に目を移すと、ツィンクルプライドから続く社台、ノーザンの牝系にキズナ。血統的には結構筋が通っている馬ですし、秋以降の重賞でも出番があるのかなというイメージがあります。

あとは2着のウエストナウ、こちらもキズナ産駒ですね。まだ若いですけれども、これが2戦目ですので、母父フランケル。距離が伸びても走れそうですし、今後の成長力に期待したいなと思います。以上になります。

蒼:はい、ありがとうございました。名馬さん、何かコメントなどございますか?

名馬電機社長:そうですね、先ほどゆたさんもおっしゃっていたように、このレースはキズナが5頭出していたんですが、実は京都競馬場のこの芝2200m。キズナ産駒の3歳馬に限定すると、17頭走って4勝、2着4回、3着1回、着外8回と、複勝率52.9%、勝率23.5%と非常に高い好成績を収めてるんですよね。さすがに5頭ボックス買うのはなと思っちゃって、チャンスを逃してしまいました。来年および今後行われる京都芝2200mのレースは、キズナ産駒を注目しようと心に誓った土曜日でございます。

第46回新潟大賞典

こ:新潟11レースの新潟大賞典から振り返らせていただきます。よろしくお願いいたします。いかにもローカルのハンデ重賞といったメンバー構成ではありましたが、その中に今年は明け4歳から昨年のセントライト記念を勝ったレーベンスティールが参戦するという形になりました。また、超久々に前走を重賞の競馬で復帰したヨーホーレイクと、この2頭が人気をするというようなメンバー構成になりました。

このレースの一番のポイントが、あまり前に行くであろう馬がいないということでした。そのため、このレースは流れが遅くなるだろうと思っていた方が多かったかと思います。その中で逃げると見られていましたセルバーグですが、鞍上が今村聖奈騎手から丸山元気騎手に乗り替わり、これが全く行く気を当初見せないという、ちょっと想定外のスタートになりました。デビットバローズヤマニンサルバムが並んで先行するという形になりましたが、デビットバローズもあまり行ききる意思がないような状態でしたので、外からヤマニンサルバムが抜け出していきました。道中は12秒3が2つに12秒4が2つ並ぶような形で、非常に落ち着いたペースになってしまいました。それを見てからセルバーグがすごく中途半端にまくっていく動きはあったのですが、正直何をしたかったのかがよくわからないようなレベルの動きになってしまいました。非常に不思議なスローペースになったと思います。

結果的に、そこでハナを取り切るという判断をしたヤマニンサルバムの斎藤新騎手の判断が非常に光ったレースだったと思います。直線は荒れた内を避けた進路取りをしっかりとしまして、中団からよく最後伸びていきました。キングズパレスの猛追をしのいで勝利するというような内容でした。僅差でしたので、斎藤新騎手のお決まりの派手なガッツポーズはちょっと今日は残念ながらありませんでしたが、最近非常によく乗れているなあというところを改めて思わされました。今日もレース後の新潟競馬場でのインタビューでも、最近流れがいいというような話をしていたところもありますので、やはり本人もある程度そういった充実感というものを感じながら乗れている、そしてそれが今回の結果に結びついたのかなというふうに思います。

ヤマニンサルバムですが、やはり左回りの中距離線でスムーズに競馬を運べると非常に持ち味が生きるなというようなところを改めて思わされたところですね。今年は夏に中京競馬がありますが、適条件のレースというのは今後もいろいろありそうで、それぞれの条件でもしっかりと評価をしていくべきかなというふうに思いました。

負けた組ですが、中段から今の新潟競馬場の馬場の状態を考えますと精一杯といえます。33秒台半ばの末脚を伸ばしてきたのが2着のキングズパレスと3着のヨーホーレイク。この2頭はもう一息というところでしょうか。やれることはやっての結果だったのかなというふうに思います。特にヨーホーレイクですね。これも超久々から2走連続の3着というような形で、完全に馬としてある程度戻っていますし、今後も一定のパフォーマンスを出せる、復活の時は近いかなというような印象でした。

逆に少し不可解だったのが、1番人気で惨敗する形になりましたレーベンスティールの方ですね。この馬につきましては、位置取りが悪かったとは全く思えないようなポジションにいましたし、抜けて出れないのは不可解な負け方だなと。瞬発力はもともと3歳時にも出していた馬ですので、少し気性面の課題なのか。今回香港からだいぶ間隔が空いて、あえてなのか中途半端なのか、新潟大賞典という意外なレース選択になりましたが、そういったところの臨戦過程も含めて、少し今後立て直しのフェーズに入るのかなというような印象を持ちました。

ゆ:レーベンスティールは、少し体調もさることながら、気性面、入れ込みとかも強いみたいな話も出ていますね。去勢をするという選択肢ももしかしたらあるのかなと思ったんですけど、母父トウカイテイオーというところのブランドで売ってる馬なんで、少し去勢をするには気持ち的にハードルが高いんだろうなと思いながら見てみました(苦笑)。

2024年かしわ記念

こひ(以下、こ):かしわ記念の回顧に入らせていただきます。今年はいろんなダートグレード競走の整備があって、開催時期の移転ですとか、格付け変更ですとかいろいろありましたが、5月の船橋開催のかしわ記念は動かないという形になりまして、今年も短距離や中距離の組がそれぞれ入り交じるようなメンバー構成になったレースでしたね。

特に今年は、フェブラリーステークスの勝ち馬のペプチドナイルがちゃんと参戦してくれたというところと、また短距離組からマイル重賞の常連のタガノビューティーに、黒船賞を連覇してきたシャマル、中距離の方からは昨年のJBCクラシックの勝ち馬のキングズソードに、若干昨年の秋からパフォーマンスを落としていますがG1・JPN1の常連のクラウンプライド、あと東海ステークスを制してどこに行くのかなと思っていたら、あえてマイルのかしわ記念に参戦してきたウィリアムバローズというようなラインナップに加えて、地方からもミックファイアが参戦というところで、非常にドバイワールドカップデーですとかいろんなところにダート路線が分かれる中でも、いいメンバーが揃ったかなというような印象でした。

レースを振り返りますと、この日の船橋は雨が降り続けまして不良馬場になりまして、前のレースを見ていても前にいるポジショニングや内が絶対有利というところのレースが続いていた。そういったところもありまして、どの馬がハナを取り切るかというところが予想する上でも含めて非常に重要なレースだったのかなというふうに思います。そんなレースで積極的にハナを取り切ったのがシャマルというような形になりました。前走1400mの黒船賞を逃げ切るという競馬でしたが、ここも鞍上の川須栄彦騎手が絶対に行き切るんだというような姿勢でハナを奪い切りまして、同じく行きたそうな素振りを見せていたペプチドナイルウィリアムバローズを制してハナを取り切るというような形になりました。

ここから私もラップを改めて見ていてすごいなと思ったんですが、刻んでいったラップが速いんですよね。どちらかというと短い方から臨戦してきており距離不安というのがありそうなキャリアではあったんですが、12秒台前半のラップを5ハロンまで連発をしていくというような形で、積極的にペースを上げて後続をふるい落とすというような作戦に出たのかなと思います。こういった川須騎手の勇気を持った騎乗がまさにはまりまして、直線の手前では番手につけていましたペプチドナイルも追走が苦しくなりました。あとは独走するというような形で、最後は道中をインを回して直線で外に振っていくというような形で、これはこれで不良馬場としては最高の騎乗をしました石橋脩騎手のタガノビューティーも2馬身以上離れた2番手に浮上するのが精一杯というような形で、本当にシャマルと川須騎手の独壇場といってもいいような結果だったかなと思います。

勝ったシャマルですが、シャマルと川須騎手は一度はコンビ解消というような形になっていました。改めて戻ってきたタイミングで、途中で記事にもなっていましたが、毎日コンタクトを取りながら調教してきて、日々を積み重ねてきたというところが、この黒船賞と、かしわ記念というところで一気にハナ開いて報われたというような形になったかなと思います。先日の天皇賞のテーオーロイヤルと菱田騎手のコンビに続きまして、関西の中堅騎手が自分が育ててきたパートナーと大きな仕事をするというようなシーンが非常に目につくなというような印象です。

今回の逃げて速いラップを刻んで後続を振り落とすというスタイルが、果たして馬場が乾いた時にも通用するかというところは未知ではありますが、今年のダート路線については、JPN1に昇格したかしわ記念があって、秋には佐賀の1400という舞台設定となるJPCスプリントというところで、このシャマルにとっては良い舞台設定のJPN1が2つもあるというような番組になっています。今回もともとは賞金際どい立場でしたが、この連勝で賞金的にはこの後に全部出れる形にはなったかと思います。それぞれのレースの主導権をきっちり握るという点でも、非常に大きな印象だったかなと思います。

2着のタガノビューティーは、この馬は後方からの追い込み頼みなので仕方がないんですが、やれることはやりきったんですが、勝てるかどうかはやっぱりシャマルのパフォーマンス次第だなというところでした。3着のペプチドナイル。この馬も多分、藤岡佑介騎手は馬場を理解して、あわよく馬ハナを取りに行こうという意志をすごく強く感じた形で、負けはしたものの気合としてはすごく良かったなというような印象でした。ですが今回、やはりシャマルが前走で短い距離を使ってきた出足と枠順に屈したなという印象です。ただ昨年の脆さがある競馬からは、かなりパフォーマンスが安定してきたなという印象です。

4着以下はポジショニングゲームみたいな形になってしまった側面もあって、仕方がなかったかなというふうに思います。クラウンプライドがやや不利があったというところはありましたが、ちょっとここのところ展開的に不利が多いとはいえ、ちょっとここまで負けが続いてくると、コンディション面も含めた立て直しが必要にも見えてきたところで、若干そこは心配できたところかなというふうに思っています。

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