2023/06/18 吟行 大阪中之島美術館
大阪・中之島にある大阪中之島美術館で吟行を行いました。
特別展「デザインに恋したアート♡アートに嫉妬したデザイン」(https://nakka-art.jp/exhibition-post/design-art2023/)を鑑賞しました。
展覧会等の情報
吟行記録
府田確
遠い現代の言い回しに着回しで展覧会に乗り遅れた
舞い落ちる鶴翼の陣の子供たち少しの海を渡ってみせた
全員がはっきり見つめる透明の椅子に座らずにはいられない
十年は 選球眼を養って僕らの十年を見てみたい
喫煙所に踏み入るマナー、金銭を美しく折りたたんで躱す
奥村鼓太郎
Layer
ローソンとファミリーマートがここからはほとんど同じ遠さに並ぶ
知恵と知恵からまりあって長考の末動きはじめるチェスボード
大曇天 ひどく疲れて寝転ぶと顔より高い雑草もある
何枚か写真を撮った後に見た陸橋がいつもより美しい
一枚の蝶の死骸の薄さから地面の冷たさなら伝わった
球体はおもしろいけどこの街に聳えるガスタンクはいくつある
スカッシュをずっと一人でしているとみずみず冴えていく夜の箱
道路に面したガラスケースのプードルが第四の壁に気づきはじめる
意味よりもリズムが好きな雷の故事成語を使っては笑った
小画面 小さくなった情報を小さくなった分味わえる
*この連作は荒川修作『ブランク・アズ・スペース』から受けとった技法を用いて制作しました。
保科いたやど
間合い ハートマークは一歩ぶん手前 口角も少し下げて
(展示室入り口)
オオカミは足から消えてゆくI'M HEREと子オオカミを産みながら
(永井一正『I’m here』)
夏型の気圧配置の左からボーイング突っ切るような風
(荒川修作『ブランク・アズ・スペース』)
歩行玩具 運転免許がない人の地図を広げる速さに似てる
(シャープ株式会社/高橋智隆『RoBoHoN』)
避暑地の風景を吸い込む雑居ビルとその地下溢れ出そうなクラクション
(喫茶店あまでお から葉ね文庫へ)
「海の横いる。帰宅は19時半ごろで今もうすごいねむい」
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