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第4回京阪神歌会 吟行録

 2024年2月12日、京大短歌・大阪大学短歌会・神戸大学短歌会が持ち回りで開催している京阪神歌会の第4回目が行われました。

 今回の歌会には計14人が参加し、前半は二班に分かれて神戸市内(三宮駅〜南京町〜ハーバーランド)を散策し吟行会を行い、後半は場所を会議室に移して自由詠一首の合同歌会を行いました。

 各参加者がつくった吟行詠のうち一首を以下に公開します。

横断歩道の向こうが海側でこっちは銀行側 歩きやすい /保科いたやど(神戸大学短歌会)

山側から海側へ行くもう近く贋札の古いにおいの雨が /景川神威

町中が銅鑼の響きでいっぱいに目を見開いて声吸収す /森井翔太(京大短歌)

もしぼくが在日中国人なら旧正月はこたつで祝う /柴田蓮太(大阪大学短歌会)

春祭り終わる時間に肉まんの屋台に湯気は昇りつづける /武田歩(京大短歌)

わたしたちだけのヘルツを出すための骨を忘れて生まれてしまった /國吉伶菜(大阪大学短歌会)

顔のない土鳩の群れに注目を落として道はここからはじまる /府田確(神戸大学短歌会)

多目的広場としての広場にて潮風を浴びているカップル /師村レイ(大阪大学短歌会)

高い塔の根元は遠い 鉄骨は模しても模さなくてもかまわない /布野割歩(京大短歌)

大道芸をながめる人とゆるゆると海をながめる人に加わる /光本捷吾(大阪大学短歌会)

海辺にはBEとKOBEのようにして等間隔のカップルが並ぶ /掃除当番(神戸大学短歌会)

いくつもの顔が視界を通り過ぎ忘れてしまってもまだ緋色 /千百十番(京大短歌)

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