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ゆる読みCEDEC2021 #1

こんばんは。大きく風呂敷広げながら始まりました"ゆる読みCEDEC2021"シリーズ。今回も張り切っていきましょう。

企画内容について興味があればこちらをご一読ください。

◇今回のセッション情報

タイトル:PlayStation® INDIES の取り組み

登壇者:吉田 修平さん(SIEのゲーム開発事業の責任者。昔ニュースで"50代男性"として取り上げられた方ですね。)
https://fpsjp.net/archives/246502

CEDEC2021サイトの掲載情報はこちら
https://cedec.cesa.or.jp/2021/session/detail/s60c846f3a0bde.html

※CEDILへの資料公開はありませんでした。

公式CHより動画もあがっているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=UV5fK75tgBI

◇本題

▶Header:目次

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この講演では以下2点が主軸になっています。

・PlayStationとして、インディーデベロッパー/インディーパブリッシャーにどのようなサポートをしているか。
・インディーゲームに対しての思い。

▶Topic1:インディーゲームの意義

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ここでは吉田さん(あるいはSIE)が想像する「インディーゲームの制作者の立場あるいは業界としての意味合い」についてお話されています。

中身を1個ずつ見ていくと・・・

「1.自分の作りたいものを作る」
一般のゲーム会社は、クライアント(発売元の会社 / 投資家 etc...)から依頼を受ける場合が多く、その都合である種の制約(ゲームの方向性 / 納期 etc...)が課せられた中でゲームを作ることが多い。
対してインディーズは、それらの制約が無く自由にゲームを作ることができる。作り初めは、あまり多くの人が受け入れてくれない可能性はあるが、完成した時に周囲をアッと驚かせるような物が出来あがる可能性もある。
-意訳-
「2.IP所有」
自分で生み出したIPの所有が可能なる場合が多く、今後IPをどう展開していくか?あるいは、そのIPの在り様を責任をもって決めることができる。
クリエイティブな部分以外にも、IPを所有する事がデベロッパー自身の価値を高めることに繋がる。
-意訳-
「3.ユーザーコミュニティへのアクセス」
パブリッシャーを介さずともデベロッパー自身が持つコミュニティを育てることができる。
ユーザーコミュニティは、開発過程のフィードバック/次タイトルへのインプット/デベロッパーにとって一番のファンの居場所など、多くの面で重要となる土壌になる。
-意訳-
「4.新しいゲームジャンルの発明」
ゲーム業界から見ると、新しいゲームジャンルの発明/遊びの変化 の多くがインディーゲームから出てきている。
-意訳-
「5.ダイバーシティ、地域文化を世界に広げる」
ダイバーシティ(=多様性)は、開発現場/作品性にも表れている。例えば女性視点の見え方や、特定の地域の文化に根差した設定など。
インディーゲームはその規模の手軽さを活かして、さまざまな視点でゲームを作り発信してくれていると思っている。
-意訳-
「6.新しいゲームクリエイターの育成」
インディーゲームの制作を介して、新たなクリエイターの育成も行われると思っている。
大規模なスタジオだと数百人規模で数年かけて作ることが多く、そこのクリエイターは一部分だけを担う場合が多い。一方、小規模だと試作~発売までのプロセスを幅広く体験できる。
-意訳-

昨今は「インディーズ特集!」みたいなプロモーションが様々なプラットフォームで行われていますが、この"インディーズ"という言葉、調べた限りでは明確な定義が無いんだそうです。(聞き馴染みは凄くあるんですけどね。)

定義を細かく検討しようとすると全然1記事で収まらないと思うのでまた別の機会を伺いますが、今回の講演が指すインディーゲームは大半の人がおそらく想像するであろう「個人~小規模なスタジオが作るゲーム」を意味しているのかな?と想像してます。

なお初めてインディーゲームという言葉に触れた時は「インド製のゲーム(B級映画的なミーム?)」って思いこんでました。

▶Topic2:プレイステーション®とクリエイター

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ここでは過去作られてきたハードウェアと、そこから生まれた独創的なゲームについて言及されていました。

大まかに言葉を拾っていくと・・・

初代PSが発売されて今日に至るまで、SIE(旧SCE)からCS機5種 / 携帯機2種 (※派生機入れると+α) がリリースされた。

それぞれの新機種が出る度に新しい技術を導入し、それを活かした作品がクリエイターによって作られた。

登壇者(吉田さん)ご自身はインディーズゲームがお好きらしく、様々なゲームイベントに出かけていらっしゃるとのこと。
そういうイベントでは開発者の方がブース等にいらっしゃる事が多く、ご自身が気になったタイトルを遊んでは開発者に話を聞く(ついでに写真を撮って、SNSで発信・紹介する)というのが楽しみだとのこと。
-意訳-

私も機会が得られる度に東京ゲームショウやBitSummit(京都)に足を運んでいますが、各ブースで試遊台が展開されていて遊ばせてもらったり、映像を見せてもらったりしています。

既に各ストアにリリースされているものの例として、天穂のサクナヒメやBadNorthも、かつてはBitSummitでブースが作られていたそうで。

昨今だとご時世的にも会場抑えて開催というのが難しいですが、作り手の熱量も伝わってきて楽しいのでまた参加できる日を楽しみにしています。

▶Topic3:PlayStation®5の開発環境、新しい機能

さて、ここからは少し開発者向けのお話に入ります。

PS5のSDKは過去PS機のSDK提供による知見を基に、よりPCと連携しやすくして開発しやすくなっているよ。

UnrealEngine / Unityとの親和性も高いよ。

リモートワークのしやすさ等にも取り組んでいるよ。

だから、PS5で開発をスタートしてほしい!(※ここ大事)
-意訳-

しっかりアピール入れてきましたね。
聞きなれない用語もあるかと思うので少しずつ補足をします。

まずSDK(Software Development Kit)ですが、ソフトウェア開発をするためのプログラム・技術情報(書類)をまとめたものです。今回の場合はPSゲームを作るにあたって必要なプログラム・ツール・ドキュメントが該当します。

調べる限りですと、PS2/PS3当時はCPUの性能が独特で開発環境的にも難易度が高かったというような評価があがっていたようです。とはいえ、初代PSから25年以上ハードウェアの開発・保守をしているのでその知見で常に最適化を図っているというのを売りに出しているように受け取れます。

次にUnreal Engine / Unity ですが、これらは一般の人も無料で使う事ができるゲームエンジンの代表格です。大手ゲームメーカーが採用した実績もあります。中小規模のタイトルであれば、どちらかのエンジンを使っていることが多いようです。

ゲームから話題がそれますが、統合開発環境としての使い勝手の良さから映像系のツールとしても採用されるケースもあるんだそうです。(例:2015年のドラマ「デスノート」ではUnreal Engine4 / 2016年のアニメ「魔法つかいプリキュア!」ではUnity)

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デベロッパーへのフォローを手厚くするための新機能の例として紹介されたのが、スライドにある3つの項目でした。順を追って見てみましょう。

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GameHubはタイトル情報公開と併せて紹介ページを作れる機能 / OfficialNewsはGameHubを介してフォロー・ウィッシュリスト追加した人向けに情報発信できる機能だそうです。どちらもSIEが提供するスペースで公開するそうです。

話の中心になっているインディーズ目線で見た場合だと、自身でホームページを作っていたとしても維持にコストがかかったり、あるいはアクセス数の兼ね合いで広告塔として十分に機能しなかったりと発信の場を設けるというのには課題がありそうです。

その点を考えると、他の大手タイトルと同じような条件で発信できる場が用意されているのは中小規模のタイトルにとって利便性があるのかもしれませんね。

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Activityはゲームの進捗に合わせて情報を提供できる機能らしいです。

PS5を持っていらっしゃる方は実際に触れたことがあるのかもしれませんが・・・いかんせん、私は持っていないので今一つピンと来ていません。
使用例として、マルチプレイ時にゲームルールを変更したり、タイムアタックのスコアを表示したり出来るというのが挙がっていました。

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GameHelpは(文字通りになりますが)インゲームで動的に表示できるヒント機能だそうです。

昨今はWikiサイトが多くあるので攻略情報をどこまで盛り込むのかはメーカー側次第というのがありそうですが、そういう検索が難しい人(子どもや高齢者とか?)に向けて、メーカーから直接ユーザーフレンドリーな対応が出来るという点では面白い試みかもしれませんね。

▶Topic4:インディーズ イニシアチブの取り組み例

PlayStation上でも多くのインディーズタイトルが発売されているものの、多くのタイトルは一般にはあまり知られておらず、実はユーザーの好みに合致しているのに気付かれないというケースもあるそうです。

それに対してSIEが昨年から行っている「PlayStation® INDIES」という取り組みについての事例紹介がされました。

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多くのユーザーに向けて強く勧められるタイトルについては、イベント等で発売タイトルを紹介する際に、あえてインディーズとは言わずAAAタイトル(いわゆる大型タイトル)と同列で並べるようにしている。

インディーズを幅広く好むユーザー向けには、"インディーズショーケース"という括りの中で定期的にタイトルを紹介している。

リリースのサポートだけに限らず、経済面でのフォローもしている。(例:新型コロナで影響を受けた開発者に1000万ドルの救済基金を設立)

提供しているツール・システムの改善や、開発ツールそのものの貸し出しなど、開発面でのサポートも行っている。

新しいデベロッパーは、パートナー登録からスタートしてほしい。(※ここ重要)
-意訳-

インディーズへのサポートというのも幾つか手段がありますが、大きく分けると「PR活動の支援」と「開発環境の支援」に区別できそうですね。

パートナー登録というのは、いわゆる開発者としての登録らしく、調べる限りですと開発を支援するためのフォーラムや情報収集が行えるサイトを閲覧できるようになったり、SIEに相談を持ち込めたり出来るようになるみたいですね。

もしかしたら他のプラットフォーマーも似たようなものを作っていたりするのかしら?ここについては持ち帰りの宿題にします。

◇ふりかえり

今回は「プラットフォーマー側の取り組み」という面で気になったのでピックアップしてみました。

名前をよく聞くようなメーカーが出すようなタイトルは昨今のゲーム機の性能により大規模・高コスト化が進み、かつてのSFCやPS1の頃のような黎明期みたくチャレンジの気概だけで作品を作っていくのが厳しくなったように感じられます。

ただゲームエンジンを無償(ロイヤリティー制)で広く普及された今では、規模や効率化次第ではかつての黎明期みたく少人数でゲームを作ることが出来るようになったようにも見えます。

そこにプラットフォーマー側から歩み寄ってくれる事は、遊びの在り様に変化をもたらす新しいゲームが生まれやすい環境を加速させる素敵な流れになるのだろうなと、今後のインディーズゲームの出現に思いを馳せるところでした。

では次の投稿で。

※記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。

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