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起業を決断する前にした事

起業はあくまでスタート地点ですが、スタート地点に立つためには色々と準備が必要です。企業に関連する書籍やWebをみていると、企業で失敗する理由で一番多いのが準備不足だと書かれていることが多いです。起業自体は、書類を揃えればできてしまうので、準備するかどうかは起業家の努力次第です。そういった意味でも、起業を決意する前から色々とやっておいた方が良い準備があります。
今回は準備の中でも起業を決断する前に私が何をしたのかをご紹介します。

情報収集

まず、私がしたのは情報収集です。と言うのは当たり前なのですが、起業を決意してからはやるべき事が多く、情報を収集する時間を取れなくなってしまいます。また、起業をするかしないかを判断するための情報を持っていないと、起業自体がゴールとなってしまい、先述した準備不足の状態に陥ってしまいます。実際に調べ始めていると、意外と収集すべき情報の幅は大きかったと感じています。大きく大別すると、起業の仕方や事業運営の仕方、事業を行う市場の情報、事業を行うに当たって必要な知識が挙げられます。

まず、起業の仕方や事業運営の仕方に関してはまずは複数の書籍を読むことをお勧めします。起業や事業運営の仕方に関する書籍は、書籍によって記載内容にバラツキがあり、一冊に頼るのは結構危険だと思いました。私は事業運営に関しては、大学で習っていたり、親が経営者だったり、会社員として事業運営に関わっていたりと言う事で、ある程度知識がありました。一方で、起業に関してはあまり考えた事もなかったので、企業だけで7,8冊の本を読みました。あと、起業を支援してくれる税理士事務所さんがWeb上でいろんな情報を公開しているので、そちらもかなり参考になりました。

次に事業を行う市場の情報です。起業をするにあたり、どんな企業にするのかという事は一番の核となる部分です。ここがブレてしまうと成功の確率はガンと下がります。起業する方の多くは今まで自分が会社員として働いてきた市場で起業すると思うのですが、一社員としての市場視点と起業家としての市場視点は異なる場合があります。起業家としてはより客観的な視点を持った方が、成功の可能性は高まると思います。市場の情報はWeb上でかなり公開されています。特に、国が公開している統計情報は結構有効な物があります。自分がアプローチしようとしている市場にどのくらい潜在顧客がいるのか、どのようにその市場が変化しているのかは把握しておいた方が良いと思います。

最後に、事業を行うに当たって必要な知識です。私の場合は、ソフトウェアの開発・販売を主体に行う予定ですので、最近の開発テクノロジーや数学(文系出身なので)などを今一度しっかり勉強しなおしました。私の場合はその程度で良いですが、職種によっては資格が必要だったり、特殊な知識が必要だったりする事もあります。これらは企業の前提となるため、資格が取れないとそもそも起業ができないとなれば、事前に準備しておく必要があります。また、前述した通り起業を決断してからは時間がなく、起業してしまえば事業の運営に時間を割きたいので、先にできる事はしておくべきだと思います。

検討のための準備

起業に当たっては事業計画を立てなくてはいけません。会社の方針などはもちろんですが、それに伴う資金計画や収支計画などを作らなければなりません。実際に、起業のための準備ではこの資金計画、収支計画の重要性は非常に高いです。これらの計画をしっかり立てておかないと、起業してもうまくいくかいかないかの判断ができません。また、自分の私生活とのバランスも考慮しなければなりません。この三点は、私も非常に綿密に計画をしました。

まず、資金計画ですが、資本金をいくら入れられるか、自分以外に出資者を募れるか、起業後に銀行からの融資を想定するかなどがあります。現在、株式会社の1円起業も可能ですが、融資や会社の信用を得るためにはあまりお勧めできません。融資の場合は資本金の金額によって借入できる金額が変わってきたりします。また、これは感覚的な物ですが、資本金100万円未満の会社は社会的信頼も得づらいという話も聞きます。そういった意味で、資本金から連鎖的に用立てられる資金計画が変わってきます。事業に必要な資金を計算して、どれくらいの資金をどのように用意するかは綿密に計画しておくべきです。

また、収支計画もしっかり立てておいた方が良いです。正直なところ、収入面は事業の良し悪しで変わってくるので、予測は難しい面もあります。一方で、支出に関してはできるだけ網羅的に計画しておく必要があります。これはあまりにも緩い収支計画をしていると、予想外の支出が増え、あっという間に資金ショートしてしまうからです。これは税理士さんから聞いた話ですが、社会保険料や税理士さんの顧問料、経理ソフトの利用料など、様々な固定費を想定していなかった起業家の方が、最終段階で収支計画を見直して、結果的に資金不足で起業を諦めたというケースが少なくないそうです。そのため、収支計画は早い段階でしっかり立てておくべきです。

最後に自分の私生活を維持していく計画も必要です。税理士さんは会社の収支計画に関してはアドバイスをもらう事はできますが、私生活にかんしては基本的にはノータッチです。会社がうまくいっていても、私生活で自己破産してしまっては意味がないのです。この、会社がうまくいっていて、私生活が自己破産と言うケースにピンと来ない方もいるかと思います。実は、会社を立ち上げて役員になると、もらえる報酬は年に一度しか変更することができません。もし、起業したビジネスが運良く最初からブレークして高い売り上げを上げても、役員の報酬は次の株主総会まで変更することができません。一応、期中で増額と言う事もできなくはないですが、増額分に関しては法人税の課税対象となります。そのため、資本金を拠出したうえで、起業して1年間は最初に決めた役員報酬で生きていけるように計画を立てる必要があります。

自分の準備

最後に自分の準備です。自分の準備とは身体の準備です。何度もいいますが、起業を決断して動き出すと、時間がなかなか取れません。そのため早い段階で健康上の不安は取り除いておく必要があります。何か持病があったり、体力に自信がなかったりと言う場合は、起業を決断する前に対策をとっておきましょう。病院へいく、歯医者へ行く、ジムへ通うなどです。私は、正直健康には万全ではなかったので、この全てをしました。

もちろん、起業を決めたからって全く時間がないわけではありません。しかし、ジムに通うと言う意味では習慣化が必要になります。起業してからだと、なかなか習慣化するほどこまめに通う気力がないかもしれません。また、病院や歯医者はもしかすると、身体が重大な問題を抱えているかもしれません。起業前なら治してから起業すれば良いですが、起業を決断してからだと、せっかくの努力が長期治療で無駄になってしまうかもしれません。そういった意味で、早い段階で自分自身の身体の準備をしておく必要があります。

まとめ

起業はあくまで手段です。起業を決断するまえにできるだけ準備した上で、起業しないという決断もあると思います。私自身、以前に事業計画を何度か書いて、諦めた事が何度かあります。その時は収支計画を立てて、ビジネスとして成り立たないと判断しました。もし、起業に向けて動き出してからの判断だとしたら、自分も相当な痛手を受けていたと思います。
慎重になりすぎる必要はありませんが、やるべきことを後回しにせず、ダメなら早期撤退と言う判断が、やはり起業というシーンでも重要なのだと思います。

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