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わらべうた『オラメエノタンナカデ』と、花嫁行列

昔ながらの祝言・花嫁行列が見てみたい!

母の実家でも、大叔母のときまでは自宅で祝言(結婚式)をしていたらしいのですが、行列まではしていないそうです🤔

以下は、千葉県のわらべうた。

おら前の 田ん中で
どじょうの祝言(しゅうげん)だ
ふなが提灯持ちゃ なまずが仲人で
えびの腰曲がりが 挟箱かづぎ
いもりのこのこ お供に這いだした

***
オラメエの タンナカで
ドジョウの シュウゲンだ
フナが チョウチンもちゃ ナマズが ナコウドで
エビのコシマガリが ハサンバコかづぎ
イモリのこのこ おともにはいだした

(採譜:尾原昭夫  千葉 沼南町)

『日本わらべ歌全集』柳原書店 第6巻_千葉

これはなんと、花嫁行列(花嫁道中)の唄!

『動植物の唄』という分類であったり、大人が歌って聞かせてあげる『遊ばせ唄』になっている場合もあります。とてもユーモラスでかわいい歌です☺️



おらめえのたんなかで(千葉のわらべうた)


この歌、大好きなんです!☺️

唱え(リズムだけのうた)として紹介されている本もありますが、出典の親本である全集ではメロディがついた歌になっていますので、おそらくこちらが元歌かと……。


〝どじょう〟が隠れるから花嫁さん?!

どじょうは人の気配がするとすぐ土の中にもぐってしまいます。
それが、角隠しで顔を隠している花嫁さんを連想させる、とのこと! なるほどね〜。

配役が絶妙で、光景を思い浮かべるのが楽しい✨

いろんな動物にいろんな役割をもたせることによって、昔ながらの祝言のやり方・作法を、伝え残していくための唄であったのかもしれません。


花嫁とおれ(千葉のわらべうた)

同じく千葉のわらべうたには『花嫁通れ』という、嫁入りの道中を見物するときの唄もあります。

花嫁通れ
後見て通れ 先を見て通れ
かもじが落ちるぞ かもじが落ちるぞ
(採譜:尾原昭夫  市原市牛久)

『日本わらべ歌全集』柳原書店 第6巻_千葉


昔、花嫁行列を見るのはみんなの楽しみで、必ず野次馬の人だかりができたそうです。
みんながいちばん見たいのは? もちろん、花嫁さんの姿ですよね!
それなのに、花嫁さんの顔は簡単には見れません。

この見たいけど見えない〝もどかしさ〟と〝ワクワク〟を歌った唄だそうです!☺️  あ〜、なんと、ほほえましい。

分類は一応、『からかい唄』となっています。からかって気を引こうとするような歌詞だからでしょうか? そこも面白い!




秋田県では雪のなかの花嫁道中も!


なにげなく『花嫁道中』で検索してみると、美しい写真が出てきて驚きました!


秋田のグリーン・ツーリズム総合情報サイト

雪のなかでの荘厳な行列もさることながら、馬ぞりなんですけど?!🤩✨ 超ーーーーテンション上がる。

秋田県の羽後町では、2月の農閑期に祝言を上げることが多かったそうで、こうした雪の道中がごく当たり前に行われていたそうです。


動画も上げられていました!
わーー、実際に見に行ってみたい😆

お写真、情報は、ぜひ上記の『秋田グリーン・ツーリズム』様のHPで見てみてください✨



父母にも聞いてみた


私の父母くらいの年代からは、披露宴会場でおこなう結婚式が一般化しています。このあたりが転換期なので、子ども時代には昔ながらの〝家でおこなう祝言〟に参加した経験があるそう。(平成元年生まれの私は見たこともない😭)

子ども時代に、花嫁道中(花嫁行列)を見たことがあるかどうか? 父母にも聞いてみました。

前述のとおり、母は記憶にないとのことですが、
父(昭和26年うまれ)は、見たことがあるとのこと!

父の出身は、東京の品川区。下町っ子です。
自分のご近所さんからたまたま花嫁行列が出るとなったら、隣町からもワッと人が押し寄せて、野次馬だらけに。

『提灯もち』や『挟箱かつぎ』はいたのか?! という私の問いには、
「なんという名前かは分からないが、火消しの纏のような高く掲げるタイプの提灯が先頭を歩いて、祝詞みたいな歌をうたいながら来た……」とのこと。

ふむふむ、なかなか情緒たっぷりの光景です。

(「挟箱や長持をもっている人はたぶん居なかった」とのことですが、挟箱や長持という日本語をそもそも知らない(見聞きしたことない)そうなので、父の印象に残らなかっただけかもしれません。🤔)

祝言の日にはお振る舞いがあって、家の前に小卓をおいてかっぱ巻やかんぴょう巻みたいなものを並べてあり、「かずちゃんも、おいで〜!」と近所のおばちゃんが呼んでくれたので、よろこんでご馳走になったそうです。

こういう話も、尋ねてみれば、案外と教えてもらえるものなのですね。質問してみるって大事だなぁ。


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