『孟子』102 離婁上ー孟子と公孫丑の対話(12) 君子は子を教えず

*今回は、弟子の公孫丑(こうそんちゅう)との対話です。

公孫丑は言った。

「君子が、自分で子供に教育をほどこさないのは、なぜなのでしょうか。」

孟子は言った。

「自然の勢いとして、うまくいかないからだ。
教える者には、必ず模範となる正しさが必要だ。
正しいやり方が行われなければ、つづいて怒ることになる。
教えたあとに怒ってしまうならば、親子の関係を損なってしまうことになる。
すると、子どもは、こう思うようになるだろう。
〈父上は、ぼくに正しいことを教えようとされているが、父上がそもそも正しいことを行っていないではないか。〉

というわけで、親子が互いの関係を損なうことになってしまう。
親子の関係が損なわれれば、悪い結果をもたらす。
そのため、古の時代から、それぞれ自分の子どもを取り替えて教育をほどこしていたのだ。

親子の間で、善であれと責め立てあってはいけない。
善であることを強要すれば、親子関係は離れていってしまう。
親子関係が離れることほど、不吉なことはないのだから。」

*以上、『孟子』102 離婁上ー孟子と公孫丑の対話(12) 君子は子を教えず

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【原文】
公孫丑曰、「君子之不教子、何也。」孟子曰、「勢不行也。教者必以正。以正不行、繼之以怒。繼之以怒、則反夷矣。〈夫子教我以正、夫子未出於正也。〉則是父子相夷也。父子相夷、則惡矣。古者易子而教之。父子之間不責善。責善則離、離則不祥莫大焉。」

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